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宝陀寺は清水寺の隣である。
臨済宗である。
池があり、真ん中に道があり、そこを渡っていく。
「半島一小さい仁王様」がいる門を通る。
清水寺のトタン屋根の残像に比べて、
宝陀寺の本堂は、コンクリートで造られていることが一目でわかる。
「コンクリなんて、国東らしくないわねぇ」
鏡子さんは不服そうだ。
僕には、広い平らな境内に現代の墓が並んでいることが国東らしくない。
苔むした五輪塔が地面に生えているのが、国東の寺の墓だ。
臨済宗か。
天台宗と違って、多数の檀家が必要なのだろうか。
寺宝といえる十一面観音がいるのは、観音堂である──拝観自由というか入堂無料の。
禅宗の寺の本堂には檀家しか入れないから、
観音様が「別居」しているのはありがたい。
そして、堂内は雰囲気がいい。
心を浄める空間である。
ただし、上には上がある──随願寺である。
鏡子さんは沈黙している。
ここに僕がいないほうがいい、
そう願っていたとしても不思議ではなく、むしろ望ましいとさえ思った。
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