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ここは田染中村(たしぶなかむら)。
平野だが、ところどころに岩山がある。
その一つ、八幡社の境内の境界となる岩塊に、元宮磨崖仏(まがいぶつ)は彫られている。
たいていの磨崖仏は、山道を登らなければ会えないが、
この「元宮さん」は違う。
平地である。バリアフリーだ。
しかも、想像した以上に高く、大きい。
威風堂々たる諸仏の偉容に対峙したら、襟をただして拝むべきだ。
「国東半島入門」
鏡子さんがわけのわからないことを言った。
僕は疑問のなかにいた。
──なぜ、ここに、仏が要るのか?
神仏習合と簡単に片付けていいのだろうか。
集落の守りだろうか。
「公共のもの、という気がする。奈良の大仏と同じ目的の仏様じゃないかな」
田染──仏が見守る里。
ここに生まれなくても、
ここを知っていることを、
ここに来れたことを、
それぞれが誇りに思うなら──それでいい。
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