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2020年06月10日20:09

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最もウマかったウニ


以前、象眼UPしたが、
「O森時代の尾道、中年、独り旅」
ウィークデーで観光客もいない
尾道駅前アーケード商店街を抜けると
夜の歓楽街エリアがある。
勿論、
昼間は誰も通らん。

真夏、タンクの短パン、異常な日焼け
の風体で、独り、ぶらりと「AM12時の割烹」の
のれんをくぐった。

カウンター×4〜5席/テーブル×3席
程度の小じんまりした普通の割烹。
大将がひとりで夜の仕込みだろうか、居る。
小生「やってますか」
大将「(静かな口調で)どうぞ」
カウンターに座り、大将とふたり。

小生は間髪入れず
小生「旅の者ですけど、1万円以内でおまかせ、イイですか?」
大将「はい、できますよ、飲み物はどうしましょ?」
小生「日本酒ひやで。
   なんにも解らないので地元の酒が飲みたいっス」
大将「はいはい・・・そうだねえ・・・
   さいじょうつる、飲んでみてください」
小生「はい」

「西條鶴」らしい。

1口、飲む。

口当たりは、辛過ぎず、甘いという訳でもなく、
強いて言えばチョイ辛口って感じか。サラサラでもない。
キンキンに冷えてもいない。

大将「どうです?」
小生「そんな辛口でも無いですかね?」
大将「そうねえ、最近は何でも辛口!ってお客さん多いけど
   料理と一緒に飲むなら、コクうまみも無いとね」

ふむ。ワイの御用達日本酒バー!
「辛口!って言ったら店主が不機嫌になるっス」
納得!プロはそうなのね(笑)

大将「じゃあ、お酒はこれでイイですか?」
小生「OKです、おいしいです」
大将「よければ、途中で別のに変えましょうね」
大将「じゃあ、おまかせで、やらせてもらいますね」

そうして、
前菜から閉めのご飯ものまで5品程度、出してもらった。
普通の割烹、1万円予算、まあ・・・マズい訳がない。
どれも皆、大変、ウマかった。

会話もふたりだけなので、調理しながら、双方から
話しかけ、とっても心地よかった。
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ウニだったな(笑)

先付けの次に出た2品目が、ウニ。

北海道のナンチャラうに、それに、うずらの黄身が
乗っている。ダシがベース。

大将「黄身にうずら使うのがミソなのね。濃厚で」
大将「ウニの濃厚、卵の濃厚、濃厚と濃厚って、結構
   難しいんですよ」
大将「なに食ってんだが、解んなくなっちゃうのね(笑)」
大将「ウニのうま味も欲しい、それを更に濃厚にしたい、
   最近のニワトリ卵は濃厚を売りにしてるのが多いんで
   卵がウニに勝っちゃう、っつ〜か、ウニの濃厚さが
   逆にボヤけちゃってね。おいしいウニがもったいない」
大将「濃厚と濃厚をつなぐのがダシなのね」

サッパリ解らない世界だが、食通ではない客に、
料理の素材(産地や特徴)/調理方法など、とっても詳しく
話しながら出してくれた。
大将「このウニもね、仕入れて、どんな風にしようか、
   まあ、コッチもプロだから、お決まりの調理方法は
   沢山あるんだけど、作ってるコッチが飽きちゃうのね
   同じ事やってると(笑)」
大将「だから、このウニも、定番レシピなんだけど、お客さん
   若いし、ダシを少しアレンジして変えてみてね」
小生「へえ、プロでも思いつきみたいなので変えてるんですか」
大将「そうよ〜、毎日努力してるんですよ、コッチも(笑)」

カウンター独占、かつ、プロの調理人のガッツリ・トークも
あり、1万円はとても安いプライスだった。
(何せ、割烹店、貸切りだからね)

まあ、
ハッキリ言って、味などよく解らん(笑)。
只、
ウニの粒ひとつひとつがしっかりしていて、
トロっとした(ネットリとした)感がまったく無かったのは
初体験だった。

笑ったのが、
料理も進み、会話もはずみ、笑い声も増え、
終盤、大将が、
大将「でも、お客さん、若いのに、よくこんな割烹のれん
   入ってきたねえ、怖くなかった?(笑)」
小生「(爆笑しながら)だって、暴力バーじゃないし(笑)」
大将「いや、自分もね、メニューも無い日本料理屋、入るの
   けっこう勇気いるよ(笑)。時価で、とんでもないの
   出されたらカミさんに殺されちゃうからねえ(笑)」
小生「でも、ちゃんと1万円までって言ったら、やって
   くれたじゃ、ないっすか(笑)」
大将「まあ、プロだからね。それがプロってもんでしょ?」
大将「千円で!って言われたら、お客さんが千円以上の満足
   が得られる様に考えるよ。そういうの楽しいよ」
大将「だからね、お客さんが若いのに1万円以内で!って
   言ってくれたの、とっても嬉しかったのね。おまかせ
   もコッチの腕を信用している訳でしょう?そうなれば
   相手が若かろうが、飛び込みのお客さんだろうが、
   やる気出ちゃいますよ」
大将「だから、今日は、楽しく調理できました。ありがとね」

いやはや!

ミシュラン3つ星とか騒いでいるが、

アナタの住む街の、
普通の店、
普通の調理人、
その普通のプロの仕事が
とんでもないスペシャルなのである。
それがプロの世界なのだ。

料理は
料理・・・だけじゃ無いのである。
味・・・は、料理の味だけじゃ無いのである。

「味わい」

これが、飲食の醍醐味なのである。

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