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2019年08月10日22:03

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一番嫌いでした。

「座頭市」シリーズは全26作。
こんな長いシリーズは今後出てこないであろうが、
それだけ座頭市と言うキャラクターが愛されてきた証拠であろう。

あまりにも長いので、「007」シリーズ同様、時代の変遷とともに
シリーズ中にどんどんイメージが変わってきたり、
キャラがぶれたり、
当然、監督も持ち回りなのでそれぞれに色合いが変わるが、
シリーズ24作目・・・・・

「新座頭市物語 折れた杖」

と言う作品はシリーズ中異色中の異色である。
確か高校を卒業するかしないかの時期にこれを見て
後味の悪さ、切れの無さ、倦怠感・・・・ともかく抜群に
理解できない気だるい雰囲気が充満していて嫌になった作品である。

ただ、「忘れられない」と言う意味では最高に忘れられない作品であった。

逆に言うと、「観るんじゃなかった。忘れたい・・・」と
記憶からなるべく消し去りたいくらいの作品であった。

ほぼこの作品だけ、1度しか見た事が無く、
1回見た時から随分年月が経ったが、
2度見てない理由には、気軽に見ることが出来なかった事が大きい。
どこにも置いてないし、
パブリックドメインの切れた作品の様にYouTubeにも落ちてない。

今回意を決して借りて観てみた。



・・・・・・・・・・・・・・抜群の倦怠感である。\(^o^)/


勝新太郎が初めて監督した座頭市であり、
勝新太郎の濃い出汁が「これでもか!!!!!」と
充満している感じである。

この作品の評判が悪かったのか?
この作品の直後に「新座頭市物語 笠間の血祭」と言う作品を最後に、
89年の「座頭市」まで16年間の空きが有る。

「折れた杖」を見た後に「笠間の血祭」を見ると、
不思議な感覚が襲ってくる。「何なんだ?」と・・・・・。

「折れた杖」は、カメラ、雰囲気、流れ共に、日本映画とは
かけ離れた不思議な作品に仕上がっている。
フランス映画とか、その辺の空気感が漂っているのである。
とは言え、あくまで日本のこお・・・・・
因習だとか、そんな空気も感じる澱んだ空気である。

見てもらわないと理解できないだろうが、おじさんが小学生の頃とか、
一番見たくなかったドラマの感じである。

座頭市シリーズ恒例の「ラス敵とのチャンバラ」も、
とある理由により不完全燃焼で、当時、座頭市と言えば
やはりチャンバラ・・・・
さんざん嫌な空気の中、ラストで悪役をぶった切る所が救いなわけで、
そこすら解消されないというと、もう最悪である。

「2度と観るもんか・・・・!」

その当時は思っていたが、月日を重ね
「もう一度見てみるか?」
などと感じるようになってきた。

内容はともかく、どんな感じか知りたければ
春日太一さんが解説しているので、それをお聞きになると良いであろう。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm31365603

この「折れた杖」はタイトルに「折れた杖」とか付けてるわりに
杖は折れない。\(^o^)/

何がしか座頭市の命である仕込み杖が折れたりして、
座頭市にピンチが!?と期待させたが、
そんな事は一切無く、カタルシスも一切無い。

そんなタイトル付いてなくても座頭市の仕込みの刃が折れた作品は
「座頭市鉄火旅」と「座頭市と用心棒」でそれぞれ折れてる。

特に「座頭市鉄火旅」は傑作で最初の頃に、
東野英治郎演じる刀鍛冶の老人に

「−あと一人斬れば刀が折れる。」

と予告されて、「どうする座頭市!?」の緊迫感と共に
作品が進んで行く。
おじさんは最初の頃にこの作品からは入れて良かった。\(^o^)/
あまりの傑作ぶりに1発でファンになったからである。

で

久しぶりに見直したんであるが、やはり印象は変わらないが、
昔より大人になった(?)分、やはり高校生の頃よりも
全然に嫌なシーンに耐性が付いてた。

もちろん今見なおしても嫌なシーンが有るんだが、特に
薄弱児の様な、物語に一切かかわらない男性が
(いつもヘラヘラ笑い声をあげている。)
いつも手元に抱えている女の子の人形があり、
それをヤクザが取り上げて、その人形でその男性の物を摩擦し・・・・・

あのシーンの後味の悪さ、

上記した通り、物語に一切かかわらないシーンでも有るのに。\(^o^)/

その他、物語に関係無く、海の波間に消えていく女性、

みんなみんなが作品の世界観に暗い影を落として
世界観を完璧に構築させている・・・・
(町山智弘さんが”プロットの途中で〜”みたいに言っていたが、そうでは無く
 作品世界の一つの背景セットと言う事なんだと思う)

ただ、「映画」と言う世界観で見直してみると少々話は違う。

映像・・・・あの空気感・・・・・・・

座頭市中、あんな作品は前人未到である。
皮肉にも、シリーズの中では「異色」であったが、
シリーズ中断中に制作されたTV版座頭市は、
勝新太郎監督の元、この「折れた杖」に極めて近いムードが
濃く漂っている回が多いのである。

暗く、カタルシスの無い世界観、澱んだ空気感・・・・・

更に皮肉な事には、最終作「座頭市」ではその空気感は
更に進化(?)し、
あの様に時代に則した時代劇を作り上げたのである。
傑作であった。

通じるのは、シナリオ…と言うか、筋立ては一切見るべき所は無いが、
とにかく「そこに有る」と言う空気感が凄いというところである。

座頭市が、留置場(?)で、味噌汁をこぼされた時、
土下座するように地面に口を付けてすするあのシーン、
それまではただただ陰惨でしか無かった所に、
何だろう?「これが座頭市なんだよ・・・・」と錆びた鉈を突き付けられるような、
そんな迫力を感じる・・・・・・・。

ともかく、おじさんが「折れた杖」で感じた事を
皆が感じたかどうかは知らないが、
次に制作された「笠間の血祭」では、「折れた杖」とは一転して
スタンダードな普通の「座頭市」になっていた。
カメラアングルだけであんなにも空気感が「普通」になるんだなぁ・・・・・

いっぺんスタンダードな座頭市シリーズを見て、
直後に「折れた杖」を見て度肝を抜きつつ、

更に「笠間の血祭」を見て、気の抜けたコーラを味わう感じ。
(一応、書いとくと”普通”になっただけで駄作では無い。)

良くも悪くも「新座頭市物語 折れた杖」は特異な作品である。

ただ、絵作りは本当に素晴らしい、と言うか参考になる。
独特過ぎるのである。

人生で一度はあの作品を見て「何じゃこりゃ!!!!!」
と叫ぶのも必要だと思う。

そう言う意味で、一番嫌いな座頭市シリーズ作品は、
良くも無く、悪くも無く、チャンバラも冴えず、
どう〜〜〜〜〜でも良い・・・とまでは行かないが、

「座頭市地獄旅」と「座頭市暴れ凧」あたりであろうか?
見ても見なくてもあまり変わらないのである。\(^o^)/


「新座頭市物語 折れた杖」


この日記で少しでも興味があれば1度見ても損は無いと思う。


ちなみにラスボスは「コロンボ」の声優でお馴染み小池朝雄、
中ボスには丹下段平演じる藤岡重慶さんが出ている豪華な顔ぶれである。

シリーズで、「怖い」と感じる存在感を出しているのは、
強烈なライティングと撮影効果で、この作品の小池朝雄さんがダントツである!
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