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2017年03月12日22:28

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どうやら、状況は我々が考えているよりも悪いらしい。しかし、状況に向き合わなければ更に悪いことが起きるだろう――映画『スノーデン』――

 映画館では様々な感情に襲われるが「愕然とする」という経験は、なかなかできることじゃない。
僕の腰かけているシートが、際限なく僕を飲み込んでいき、二度と立ち上がれなくなるんじゃないか…、という思いをしたのは、この映画が最初である。

 映画『スノーデン』オフィシャル・サイト
  http://www.snowden-movie.jp/

…というのも、NSAなどの米国の組織がしでかしていた、地球規模での「無差別・大衆規模の監視=mass surveillance」の醜さが、僕の想像を遥かに超越していたからだ。

盗聴していた側は、全世界の人間の、メール(人間関係がすべて判る)、電話通話、web閲覧履歴(何がほしいのか?何を知りたがっているのか?)などを、全て盗聴・検索できるという恐るべき権力資源を手にしていたのである。


別の言い方をすれば、携帯電話(特にスマートフォン)と、パソコンを持っている人々の情報が、2000年代後半あたりから「すべて、筒抜け」という状況だったという…。


ここまでの情報収集能力は、むろんのこと、戦争にも利用された。イラクやアフガニスタン等における無人攻撃機を使用した暗殺・殺人に多用されたのだ。ここまでだけでも十分に醜い事実なのだが、そのうえ、これらの殺人の約90%が「人違い」であり、無実の人々が殺害されていたという…。



 ともあれ、このような権力資源を行政・政府側が手にすれば、さすがに1960年代のような激烈な運動を展開するのに、しり込みする気持ちもわかる。

 …そして、もはや我々を恐喝する必要すらない。なぜならば、ジョージ・オーウェルが『1984年』で不気味に予言した通り、我々から「私生活が無く」なりつつあるのだから。

米国政府による無差別かつ大衆規模の監視・盗聴を暴露したのちに、ロシアへと亡命したのがスノーデン氏であったことは2013年のニュースにて、我々が知ったことである。
しかし、彼が「暴露した内容が、何を意味するのか?」を、噛み砕いて映画にしてくれたのが、オリバー・ストーン監督による本作である。

 ちなみに、米国は日本に対しても「無差別・大衆規模の監視」を展開していた。
残念ながら、このような醜い話に限って、「海の向こう」限定の話ではない。
米国が、同盟国へと「暖かい友情のまなざし」を注いでくれていたと思ったら、大間違い!
 かの国が我が国へと注いでいたのは「侮蔑と猜疑心、そして覗き見趣味に満ちた、(日本という)人質へと向ける誘拐犯の持つまなざし」であった。
 
 というのも米国は、日本列島に住む人々に対して「無差別・大衆規模の監視」をしていたのみならず、日本が米国の同盟国ではなくなった場合にそなえて、我が国のインフラ(ダム、発電所、病院、各省庁、運輸関係等)を破壊するソフトウェアを忍び込ませていたのだ。
タイトルにあるとおり「状況は我々が考えているよりも悪い」らしい。そして、人口の1割以上が「秘密警察関係者」であったという東ドイツを、我々は笑えなくなった(滝汗)。

 


 


 この、「どうしようもない」までの醜い事実を前にどうすればよいのか?

スノーデン氏は、米国政府による「無差別・大衆規模での監視」に対して、疑問と罪悪感を抱いていた。そして、恋人と暮らす自宅が、上司に盗聴・監視されていたことを知った時に我慢ができなくなり、亡命と情報の暴露を決意した。
その結果、マスコミ報道と世論の後押しもあり、米国議会はNSA等による「無差別・大衆規模での監視」を憲法違反とすることができた。
また、スノーデン氏にインタビューした小笠原みどりさんは、次のように述べる。

「インターネット等の技術の「負の側面」が、今回の事件であきらかになったが、だからといって、“コンピューターを使うな”というのは、間違っています。“原発がイヤなら電気を使うな”という意見が、間違っているのといっしょです。」

また、小笠原さんは、次のことも述べている。

「確かに、まわりの現実はどうしようもないです。でも、このような現実に向き合うことをやめれば、もっと酷い現実が続くだけです。」

 


15世紀のボヘミアのヤン・フスは、「真実は勝つ= Pravda vítězí」という言葉を残して殉教者となった。この言葉はチェコ共和国の標語となっているが、スノーデン氏の亡命事件は、どれだけ為政者が権力資源を手にしようとも、「真実」という武器が、我々に残されていることを示唆しているような気がしてならないのである。

 祝福をこめて(皮肉ではなく!)、『マトリックス』に出てくるモーフィアスの台詞を読者諸賢に贈り、筆を置くとする。

―― 現実の世界へようこそ = Welcome to the real world. ――





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