「つらい思いを」小2の父会見
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父が、その昔 オレが留年した時のことを、繰り返し話しては、カラオケで、「五番街のマリー」という歌の替え歌で、”五番街のラギ”を歌う。
♪らぎ〜 という息子と、遠い昔に暮らし 悲しい思いをさせた〜 それだけが 気がかり〜♪
と。
こっぱずかしくて、やめてくれ〜〜〜と思うのだが、どうやら 自分が脳こうそくで倒れて、会社を辞めるまでの間、オレに経済的に苦しい思いをさせた、という記憶だけが残っているらしい。
オレはオレで、身体の弱った父に、いたわりの言葉をかけるどころか、身体を壊すくらいなら 家族に恩着せるより、そんな恩知らずな会社なんか辞めちまえという、ひどい事を言うのだけど。
父は、さすがにキレて「お前なんかに、今までの わたしの何が分かる

」と掴みかかってきたが、オレが逆に背負い投げで布団の上に押し倒すと、力までも叶わないのかと悔し紛れに、男泣きに むせび泣いていたが。
オレは、とうの昔に、すっぱり気持ちを切り替えて すでに社会人になっていただけに 父は まだ、どこかで記憶の片隅に、引っかかっていたのかと思った。
息子と父は、反発しながらも、挫折経験や共有体験を通して、母親とは違う 絆をかたちづくっていくものらしいと思った。
父が、人生で一番 大変な思いをしていた時、オレもまた 及ばずながら 子供なりに、大変な思いを肩代わりしていたつもりでいたけど、お互いに まったく違う人生経験を歩んでいるだけに、なかなか面と向かって、その事を話す機会はないんだよな。
なぜか、この親子の 不器用で意固地な親愛の情には、似たようなものを感じたり、無事でよかったと思ったり。
お互い、生きていられるうちに、いい思い出も、わるい思い出も、たくさん作っておいて下さい
なんだかんだ、ぶつかりあっても、その人がいなければ、自分はこの世に存在しなかったのだから。
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