昨日、とある方から長時間お話を伺った。
関西出身で、世界中を飛び回って仕事をしておられた方で
実際に体験された濃い話を色々と伺ったので、ちょうど
「湯あたり」のように「話あたり」をしている自分がいる。
「話あたり」を和らげるために少々吐き出しを。
※ ※ ※
『パッチギ』という映画がある。
戦前生まれの親世代を持ち、関西圏で育ったその方が見ると
これが「笑えないくらいそのまま」なのだという。
ちょっとは映画らしい誇張や荒唐無稽さがあっての良いと思うのだが
どの細部をとっても「ここまで本当のことを描いて良いのか?」と思うほど
そのままなのだ、と。
※ ※ ※
第一次世界大戦後のとある主題について講演を行う。
と、(おそらくは在日朝鮮人やサヨクの)団体が会場に押しかける。
そして、彼の話す主題とは全く関係のない「在日についての論難」をはじめる。
「あの騒ぎ方というのは並のものじゃありませんよ」
おそらくは質疑応答に名を借りた朝鮮人得意の『声闘』なのだろう。
慰安婦問題をはじめ、各所でこれをやる「彼ら」をその人は実際に体験している。
※ ※ ※
同級生に在日朝鮮人もいた。
だが、少なくとも彼の知る限り、日本人による朝鮮人への差別はなかった。
男心に男が惚れるような、そんな男気のある在日もいた。
今でもあれは凄い男だった。
格好いい男だった、と思う。
※ ※ ※
彼らの家に招かれる。
いくつもの瓶につけ込んだキムチの凄まじい匂いがする。
初めてのことだし、友人の両親に正座してきちんと挨拶をする。
「あんなあ、○○くん。それ、わかるけど
朝鮮じゃ罪人の座り方だし、挨拶や。気ぃつけや」
と笑って教えてくれる。
※ ※ ※
礼儀の概念が違う。作法の常識が違う。
ことごとくが日本の逆を行く。
正座して卓に正対し、茶碗を手にもって背筋を伸ばして食べる
日本式食事作法は「彼ら」にとっては驚くほど不作法なのだという。
身体を斜めにし片膝を立て、膝に右肘をかけ、左手は卓の下に隠し
決して食器に手を触れず、食卓の上に顔を伸ばして食べる。
それが「彼ら」の正しい食事作法だ。
初めて日本に来たときには、日本人の不作法さが信じられなかった、と
彼らの一人は笑った。
※ ※ ※
日本人が作ったキムチはまがい物だ。
ただ唐辛子をまぶした白菜の漬け物だ。
彼らは夕食に出された焼き魚の骨を音を立てて吸い
舐めつくした骨から頭と尻尾を取って
そのまま脇にあるキムチの瓶に放り込んでいく。
その骨が溶けて、あの、何とも言えぬぬめりを生み出すのだ、という。
日本人には抵抗がありますけどね。
そうやって発酵させたアレが本物のキムチなんですよ。
また、うまいんだ。
話を聞きながら「口噛み酒」を思い出す。そんな原初の発酵の形。
※ ※ ※
僕はもともと海上自衛隊にいましたからね。
デモで掲げられる旭日旗を見ると違和感がある。
あれは朝な夕なに僕等が敬礼していた旗だ。
それを振り上げて、沿道の人間や警察ともみ合うような真似はして欲しくない。
サッカーの応援で掲げられる旭日旗も嫌だ。
日章旗でいいじゃないですか。
整然と並んだ日章旗は本当に美しい。
どうして自国を応援するのに、国の旗じゃなく、軍の旗を掲げるんですか?
※ ※ ※
オカルトはよくわからないけど、自分の体験した不思議な話ならありますよ。
そう言って教えてくれた二つの話。
高校の寮で、下級生に割り当てた部屋の窓から
じっと中を覗いていた二つの女性の顔。
写真を貼ったようにぺったりと
恨みがましさはなく、ただ、ぽかんと部屋を見ていた女達。
窓の下は垂直な壁で沼で地面は沼。
それで、そこ、二階だったんですけどね。
スイスだかドイツでのモーターショーの取材。
遅い取材依頼だったため、町の宿は満杯。
少し離れた場所に二週間の宿を取った。
毎夜、二階の回廊をひたすら歩き続ける片足を引きずる誰かの足音。
一週間ほどした頃、部屋の掃除に来た若い女性に尋ねてみた。
愛想の良かった従業員が、途端に肩をすくめて知らないと言う。
そのまま別の宿の食堂でその話をしかけたら
「コレコレの宿の二階に泊まってるんだけど」と言いかけたら
食堂のおやじさんが耳に手を当てて
「ああ。(これが)聞こえたかい?」と言う。
バレリーナを目指していたその宿の娘が
回廊の階段か落ち、片方の足を悪くして
やがて世をはかなんで自殺したのだという。
※ ※ ※
ハンブルグの飾り窓。
あれね、売春婦は部屋を借りてるんです。
で、あの一帯の建物の家主は誰だと思います?
ドイツの有名な銀行の副頭取なんですよ。
だからなくならないの。
国の上層部とつながってますから。
※ ※ ※
ブラジルの国土は日本の23倍。
一言じゃ言い表せませんよ。
地方ごと、都市ごとにまるきり違う。
で、面白いのはね。
日系人はやっぱり湿気てて暑いサンパウロを選ぶんです。
ドイツ系はね、絶対にそっち行かない。
もっと南に下って、寒くて、牧草があって、牛が飼えて
腸詰めが作れる気候を選ぶの。
民族ごとに選ぶ気候が全然違うの。
※ ※ ※
江戸の匂いを残していた、幼い頃にあった戦前生まれの大人達のこと。
大阪の人々が本来持っていた、何とも言えぬ「軽(かろ)み」のこと。
彼自身の人生のこと……
聞きづめに聞いて。
ちょっとばかり話し酔い。
それにしても
大人になるとこうした話を人様から聞けるから面白い。
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