時間というのは全ての物に対して地球上では平等に流れる。何故かと言うと地球が自転し1周する時間を24時間としてわざわざ人間が作った基準だからだ。厳密に言えば多少の微妙なズレはあるだろうし、宇宙空間に行けば地球上の物理法則が当てはまらないケースもあるのだが、地球上で人間が普通に暮らすにおいては然したる差はないと断言しても間違いではないだろう。
しかしこれが自分の中での時間となれば、個々に依り全く違う。単純に目をつぶって1分経ったと思ったら手をあげて下さいといったような実験ですら、結構なバラつきが見られると思う。この自分の中での時間の事を便宜上今回は『MT(マイタイム)』と呼ぶ事にする。これは時間、時刻とは全く違うもので、個人の中に流れる時間だと思ってもらっていい。
MTは相反する立場の人間でその長さを大きく変える。「待たされる場合」「帰りが遅い子供を心配する場合」「たいくつだと感じる場合」こんな時MTは実際の時間より遥かに遅くなる。5分なのに10分にも20分にも感じる事があるだろう。逆に「楽しくて仕方がない場合」「好きな相手とデート」「張り詰めて仕事をした場合」などはものすごく短く感じると思う。こういう風に状況によってMTはその速度を変える。
そして普段の日常生活においても、その速度は個人差がすごくある。「のんびり屋」「おっとり系」なんて言われる人はMTが遅く、「せっかち」「イライラ系」はMTが速い。
職場や学校といった集団が一緒の空間でいなければならない時に、MTは特殊な作用をする。側にいる人間を同じ速さにシンクロさせようとするように働く。そして大まかに吸収していき、気流のようにその速度差からある箇所にはウズを巻きながら、混じり合う。ところがあまりにも大きな速度差があると、そこに少し無理が生じ滞る。これには子供達はとても敏感でイジメの対象になりうる。この気流のようなMTの流れを読める人間は僕だけじゃなくて、結構存在するだろうが、MTには正式名称がないので他人とMTについて話した事はない。空気を読むという行為は、MTを見る行為も含んでいると思うのだが、空気を読むにはこのMTだけじゃなく、他にも個人個人の性格、話している内容、話の間を読む必要があるので、MT読みを含むという事ではあるがイコールではない。
このMTは同じ空間の中で長く一緒に暮らしている人間にはかなり似た速度で流れる。当然無理にこの流れに逆らう事は可能だが、かなりしんどい。このしんどさを感じた人間は耐えられなくなり、その場から立ち去りたくなり、自分の部屋とかの個室に別の空間を確保し、他人のMTに左右されないように遮断する。これが長く続くと、他人のMTに触れたくなくなる状態に陥る。これが所謂、引きこもりの症状だろう。小さい子供と一緒に24時間を過ごしている母親とかだと分かりやすいと思うが、子供とのMTは100%に近いくらい同じ速度の流れだ。主に子供のMTに巻き込まれるからなのであるから、それによる疲れやストレスは当然あるだろうが、MTが同じだから子供との間に、わだかまりはない。これが子供が大きくなり自我を持ち、自分のMTの流れを確保しだすとそうは簡単にいかない。これを調整するのにはかなりの努力が要ると思う。
僕が一番面白いと思うのは人と待ち合わせとかした場合、その出会う瞬間までは別々の行動をしており、全くMTの流れが違うクセに、合った瞬間に一斉に高速道路にでも乗って合流したかのようにグーーッっと混じり合うのを感じる時だ。 これが一緒にいるというパワーなんだなと感じる瞬間でもある。一緒にいないと心が離れると感じる大きな要因のひとつだと言える。
しかし、この速度差が激しすぎたり、大人数でまとまりがなかったりすると、人間は無意識にこのMTを近くの人間と合わせようとする習性があるから、ものすごく疲れる。
またこのMTの面白い特性はこれだけじゃない、過去にすでにあった出来事のMTを思い出として速度を自由に変える事が出来る。「この1年早かったなぁ」などと言いつつも1個1個ふりかえり直してみたら「いや、やっぱ長かったわ…」って思う事だってある。これは脳内でMT速度処理が思い出により変えられたという結果だろう。
30歳で生涯を終えた人間と、90歳で生涯を終えた人間とで、どっちが自分の人生を長く感じたか?というにはおそらく5分5分で同じだと思う。なぜなら30歳で死んだ人は90歳で死んだ経験がなく、逆もそうだからだ。人生にやり残した事がある可能性は当然30歳で死んだ人の方が高いが、それはMTとあまり関係がなさそうだ。という事は30年と90年とが同じ時間だとすると平均速度3倍のMTという事になるが、個人により相対量が変動するので、単純な割り算ではない。30歳で亡くなった方のMTと90歳で亡くなった方のMTの速度が同じでも相対量に対して同じなのであれば、そこに3倍の実際の時間の差はないと同じになる。
これって心の部分を論理的にした実験的な理論で、本を読んだ訳でも、参考文献があった訳でもなく、晩飯食いながらふと文章にしてみようと思った事なので、説明が難しかったけど、賢明な皆様なら、僕の下手な文の真意を読み取っていただける事と思います。
このMTの存在を知りコントロールする事は、人間関係の摩擦、セクハラ、引きこもり、イジメ、育児ノイローゼ、色んな事柄を解決に導くと思います。まずは自分のMTを自由にコントロールできるように訓練し、次は周りの人間のMTを読み、全体のMTの流れを、海流を読む航海士のようにするどく読み、うまく通る。最終的には他人のMTをもストレスを感じさせずに無理なくコントロールしてあげるテクも身につける。これが出来るか出来ないかで人生においてそれだけの得があるのか計り知れない。
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