1941年春…
組合中央金庫職員・宇治田洋一は、農村の負債算定を行うごく平凡なサラリーマンだが、実は帝大主席の秀才で数字のプロであった。そんな彼のもとに、近衛首相名義の「呼び出し状」が届いた。陸軍省に新設された〈内閣総力戦研究所〉への参加要請だ。そこには軍人、官僚、民間の若きエリートたちが集められていた。彼らに課せられた任務は、日本軍が仏印侵攻した場合の米英の出方の予測、そして万一アメリカとの開戦に踏み切った場合の戦況予測を立てること。各省庁から集められた情報をもとに、彼らがシュミレートした結果は、果たして…
「開戦前夜」
以下、東條大臣、どうか、どうかネタバレを見てください!



もちろんフィクションもあるんだろうけど、「太平洋戦争秘話」としてなかなか興味深かった一本。外国の海軍学校に倣ったとはいえ、この〈総力戦研究所〉はかなり画期的で、現代的に呼ぶならシンクタンク…もっとも今ではAIが担う役割だろうな。ドラマとしての醍醐味は、この理想的システムが陸軍省の思惑で結果ありきのデキレースと化していくところにあります。軍部に刃向かう恐れが最も低い宇治田を長に据えたのも國村隼の計算に見えたりもします。開戦推進派・反対派の議論はさながら「十二人の怒れる男」。個性のぶつかりと宇治田の過去もドラマの求心力になっていましたね。
東條英機が首相就任後に対米外交で戦争回避に動いたのは知られていますけど、やっぱり開戦やむなし、に至るきっかけが「戦争やるぞ!」という国民・軍内部の空気の醸成であったこと、そして真珠湾攻撃の日時を総力戦研究所がシュミレートした通りの12月初旬に設定したことは皮肉にしか見えませんでした。戦争は、一握りの人間の頑迷さと国民感情の爆発さえあれば簡単に起こせるのだというのが、改めて理解った気がする鑑賞後感。演者の豪華さも楽しめました。
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