<Wカップ企画(3)欧州予選未勝利でもW杯へ 日本が警戒すべきスウェーデンの実像>
Wカップ2026北中米大会は、ついに予選リーグ最終第3節を迎える。過去と同じように、最終節に関しては、グループ内では公平を期するため同時キックオフで行う。オランダに2対2のドロー、続くチュニジアに4対0で勝利したF組の日本代表は、日本時間19日午前8時からスウェーデンとの大一番を迎える。今回は、スウェーデンのWカップまでの道程、また秘密兵器について紹介する。
目次
第1章 システムが生んだ逆襲—— 「敗者復活」の罠
第2章 個のタレントと「未完の切り札」 —— 日本が警戒すべき脅威
第1章:システムが生んだ逆転劇 —— 「敗者復活」の罠
2節終えた時点で日本はオランダと共に勝ち点4、得失点差+4で並ぶ。総得点7のオランダが、6点の日本をわずか一点上回り首位に立つ。
対してスウェーデンは、勝ち点3、得失点差±0の3位である。トーナメント進出に向けては、最低勝ち点1は積み上げたいところだった。
スピードのある身長190cmのイサク、ポジショニングに優れる身長188cmのギョケレシュの2トップは、個の力で局面を打開する力がある。
チュニジアを相手に5対1で勝利する一方、オランダには1対5で大敗し、得失点差において貯金を全て無くした。
写真� .好ΕА璽妊鸞緝修離�ョケレシュ(真ん中)とイサク(右側) 初戦のチュニジア戦にて
実のところスウェーデンはWカップ欧州予選で大きく低迷し、負け続きだった。本戦へ進んだ分けは、2022年カタール大会から始まった欧州予選ならではの奇妙なからくりにあった。
Wカップにおける欧州枠は16.大陸内の予選は、無期限参加資格停止のロシアを除く、加盟54カ国が、それぞれ12組に分かれて戦う。一つの組に所属するチームは4ないし5である。各組最上位となった12チームが、Wカップ本戦へストレートインする。
予選の首位通過のチームが本戦へストレートインするシステムは、従来から変わっていない。本戦16枠のうち、残り4枠は、プレーオフによって決まる。プレーオフ参加は16チーム。そのうち各組2位で通過した12チームが無条件で進む。残り4枠は、2年に1度のサイクルで行われる直近のUEFA NATIONS LEAGUEの成績を基に、欧州予選の順位に関係なく拾われる。
プレーオフは、4チームを一つのブロックとする一発勝負のミニトーナメント方式である。最初の1回戦は、AからDまで4つのパス内において、それぞれ2カード、計8カード組まれる。それぞれのカードのホーム権は、予選の成績上位チームが持つ。対して決勝戦のホーム権は、予選の順位を問わない。それぞれ4つのPass内における、1回戦2つの山の勝者のうち、予め抽選によって決められている
スウェーデンは、実のところレベルごとに4つのカテゴリーに分かれる第4回2024−2025ネーションズリーグは、上から3つ目のリーグCで戦っていた。リーグCのグループ1において、5勝1分0敗勝ち点16をとり、スロバキア(勝ち点13)、エストニア(勝ち点4)アゼルバイジャン(勝ち点1)を抑え、首位通過を果たす。次回2026−2027シーズンは、一つカテゴリーが上のリーグBへ昇格をする。
写真�◆‖�5回2026−2027シーズン UEFA NATIONS LEAGUEのカテゴリー分け 国旗表示
リーグCで好成績を収めたことは、後のWカップ予選の制度上非常に有利な立場におかれた。
2025年3月から11月まで行われた欧州予選。4チームが属するグループBに入り、対戦する3カ国とホーム&アウェー方式で計6試合戦った。その結果、首位スイス(勝ち点14)はWカップへストレートインした。2位コソヴォ共和国(勝ち点11)はプレーオフへ進む。3位スロベニア(勝ち点4)4位スウェーデン(勝ち点2)の順位である。
スウェーデンは0勝2分4敗の最下位だったものの、同じグループ内で一つ上の3位スロベニアを差し置いて、プレーオフへ回った。
プレーオフへ進む16チームのうち、ネーションズリーグ枠から4つ与えられる。前回から設けられた同制度は、カタール大会の予選は2つ。参加国が13から16へ増えるに従い、新たに2つ追加された。
ネーションズリーグ枠は、リーグAからリーグDに属したチームのうち、カテゴリーのレベルに問わず、上位に入ったチームほど優遇される。
Wカップ欧州予選グループBでスウェーデンより一つ上の3位だったスロベニアは、不利な立場だった。直近の2024−2025シーズンのネーションズリーグにおいても、一つ上のカテゴリーにあたるリーグBで戦っていた。リーグBのグループ3内で、4チーム中3位にとどまっていた。Wカップ欧州予選において、ネーションズリーグ枠で救済される可能性は低かった。一方、スウェーデンは欧州予選が始まる前から、救済には有利な立場だった。一つカテゴリーが下のリーグCに属した16チームにおいて、ルーマニアに次ぐ2番目の成績を残した。カテゴリーのレベルが高いリーグAやリーグBのそれぞれの上位チームが、欧州予選で各組1位でストレートインする、または2位でプレーオフへ進むことは想定済みだった。従って、リーグCの上位だったスウェーデンは、予選の結果に関わりなくプレーオフ経由のチャンスが与えられる目処が高かったのである。
2024−2025シーズンにおいて、最上位リーグAで戦っていたセルビアやハンガリーなどは、欧州予選でグループ内において3位にとどまり、敗退した。
写真�� 欧州プレーオフのカード
「敗者復活戦」とも言えるシステムが、皮肉にも「上のカテゴリーで苦戦した強者」を切り捨てた。一部のメディアからは「下のカテゴリーで無双した弱者」を拾い上げる、制度の歪みとも指摘されている。まさに序列の逆転現象だった。
2025年11月に欧州予選で出場12チームと、プレーオフへ周る16チームが決まると、予選最下位のスウェーデンの扱いに疑問が投げかけられた。
直近のUEFA EURO2024(欧州選手権)ドイツ大会でも不出場。実力が疑問視されていたのである。
一方で個のタレントの高さから、壷にはまれば強さを発揮するとの見方もされていた。2026年3月下旬に行われた欧州予選プレーオフ。スウェーデンはパスBに入った。初戦はウクライナ。ネーションズリーグ枠だったスウェーデンはアウェー扱いである。ただしホーム権のあるウクライナは、戦時中による安全性の観点から第3国での開催が義務付けられている。舞台はスペインのバレンシアだった。一部のサッカーファンが予言していたとおり、個のタレント力が、チームを牽引した。ギョケレシュがハットトリックの活躍を見せ、3対1で勝利し、ホーム権のあるファイナルへ進む。相手はポーランド。奇しくも前回2022年大会もプレーオフファイナルで顔を合わせていた。当時ホーム権のあったポーランドが、スウェーデンに2対0で勝利した。2026年大会のホーム権はスウェーデンにある。大声援を味方につけて、再び個のタレントが躍動する。スウェーデンが先手をとりながらポーランドが追いつく展開。後半43分ギョケレシュが決勝点を決めて3対2でポーランドを下したスウェーデンが2大会ぶり12度目のWカップ出場を決めた。
写真�ぁ.檗璽薀鵐廟錣之莨.粥璽襪魴茲瓩織�ョケレシュ
予選で一勝もできずにWカップの出場は前代未聞といえる。本戦で欧州プレーオフPASS Bの勝者は、日本が属するグループFに入ることが決まっていた。日本の3節目の相手がスウェーデンと決まるや、欧州予選未勝利からの出場を非難する向きもある。続いて、弱者救済ともいえるネーションズリーグ枠に助けられたスウェーデンの切り札に迫っていく。
第2章:個のタレントと「未完の切り札」 —— 日本が警戒すべき脅威
大会本番直前、6月に入り、本戦の舞台に立つノルウェーに1対3で敗れた。最終テストマッチの相手は、欧州予選で敗退したギリシャである。結果は2対2で引き分けた。確かに勝てなかったとはいえ、調整の意味合いでは収穫もあった。
最大の発見は、スーパーサブとして期待されている左サイドのタハ・アリ(1998年7月1日生まれ)の活躍である。ギリシャ戦にて、圧巻のプレーを披露する。後半18分、左サイドからボールを両足に交互に置き換えながら、相手を4人も交わして、エリア内からクロスを送り、二ルソンの2対1となる逆転ゴールをアシストした。試合はその後ギリシャに追いつかれ、2対2のドローとなったものの、チームはスピードのあるドリブル力を持ち味とするアリの起用方法を学んだ。
写真�ァ.織蓮Ε▲蝓―蠡哀�ラブのマルメIFのユニフォーム着用
彼は西暦2020年のコロナ禍までフットサル選手として活躍した。サッカーより狭いコートでのプレー経験を経て、軽やかなボール裁きを獲得する。よりコートが広いサッカーに競技が移っても健在だった。パスを受けて前を向いた際、相手選手と間合いを計り、ボールを両足に交互に置き換えながら、隙を突く。フェイントを入れて、ボールを縦へ運ぶ際、緩急をつけることで、相手を出し抜くのである。フットサル仕込の足技は、抜群のコントロール力を秘めていた。その真骨頂ぶりがギリシャ戦で現れていたのである。大会の登録メンバー入りするまでスウェーデン代表としてのプレー歴はわずか1試合。入手できる情報も多くはない。
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所属はスウェーデン国内のマルメIF。国際試合での経験地はクラブ、代表共確かに不足していた。ただし対戦側からみれば、対応には苦慮する。ボールの置き所を正確に把握できず、足を引っ掛ければファウルをとられる。ペナルティーエリア内はもちろん、ゴール前でフリーキックをとられることは避けたい。ただし恐れてズルズル下がれば、相手の間合いに乗せられてしまう。どのタイミングでボールを奪うか、正確に掴むには少々時間がかかりそうである。
少ないデータこそが、秘密兵器としての切り札になる。日本代表の守備陣にとって、この無名のドリブラーは未知の領域だ。泥臭く勝ち上がってきた強運と、予測不能な個の閃き。予選で一度も勝てなかったチームが、大敗したオランダ戦から修正して、チュニジア戦のような破壊力を発揮する可能性も捨てきれない。グループ突破を懸けた最終第3節、日本は「数字以上の何か」と対峙することになる。
初戦のオランダ戦でゴールをあげたイサク、ギョケレシュの2トップはもちろん、ヤシン・アヤリ(2003年10月6日生まれ)も警戒すべき相手である。インサイドハーフを主戦場にする彼は、初戦のチュニジア戦では前半7分と後半ロスタイム5分にゴールを決めて、1試合2得点を達成している。若さゆえ、運動量も豊富で、足元が柔らかく、高いパスの精度を誇る。所属はイングランドのブライトン、怪我で代表から漏れた三笘薫のチームメイトだった。
写真�А.船絅縫献∪錣農萓�のミドルシュートを決めるヤシン・アヤリ
スウェーデンのW杯出場は、多くの欧州諸国にとって「不条理」であり、「例外」だったかもしれない。しかし、ピッチに立てばそんな政治的な経緯や予選の成績など意味をなさない。戦火のウクライナ、そしてポーランドとの激闘で、彼らは確かにその権利を力で掴み取った。未知なるフットサル出身のアタッカーをベンチに擁し、背水の陣で挑む北欧の雄。日本代表にとって、このグループで最も「計算の立たない」相手との決戦が、いよいよ幕を開ける。
出展先
・写真� .好ΕА璽妊鸞緝修離�ョケレシュ(真ん中)とイサク(右側) 初戦のチュニジア戦にて 出展 FIFA 掲載元 瞬刊Mot's 2026年6月15日付
https://mots.co.jp/20260615-fifa-sweden/
・写真�◆‖�5回2026−2027シーズン UEFA NATIONS LEAGUEのカテゴリー分け 国旗表示 掲載元 UEFA.comより
https://www.uefa.com/uefanationsleague/news/02a2-1fe8e0405d9d-cc8f1ee7068b-1000--draw-for-the-league-phase-of-the-2026-27-uefa-nations-league/
・写真�� 欧州プレーオフのカード 掲載元 ロイター通信 2025年11月20日付
https://www.reuters.com/sports/soccer/european-playoff-draw-2026-world-cup-2025-11-20/
・ 写真�ぁ.檗璽薀鵐廟錣之莨.粥璽襪魴茲瓩織�ョケレシュ 掲載元 UEFA.comより
https://www.uefa.com/european-qualifiers/news/02a3-204787cdd9bb-045ee7618426-1000--sweden-3-2-poland-highlights-viktor-gyokeres-sends-sweden/
・ 写真�ァ.織蓮Ε▲蝓―蠡哀�ラブのマルメIFのユニフォーム着用 出展所属クラブ関連サイト
https://www.mff.se/en/team/men/players/taha-ali/ 掲載元 Football Databaseより
https://www.footballdatabase.eu/en/player/details/424658-taha_abdi-ali
・写真�Α.織蓮Ε▲蠅離疋螢屮襯廛譟次―佚検Д▲侫蹇〃悩楔機�FOOTBALL ZONE 2026年6月23日付
https://www.football-zone.net/archives/655479
・写真�А.船絅縫献∪錣農萓�のミドルシュートを決めるヤシン・アヤリ 6月14日メキシコのモンテレイにて 出展:時事通信
https://www.jiji.com/jc/p?id=20260615112105-0091547479
過去関連作品
・Wカップ2026北中米カリブ大会企画(1)6月20日付 日本対オランダ戦の試合結果 初出場のキュラソー島について
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直近のスウェーデンの戦いを記したレポート
以下 UEFA EURO2020の戦い
UEFA NATIONS LEAGUEの仕組み説明
・2021年1月22日付更新 オリンピックと共に1年延期のサッカーUEFA EURO2020の初出場国北マケドニアについて、サッカーと共に旧ユーゴスラビアの歴史
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■森保ジャパン、決勝トーナメントの対戦相手確定 GS首位通過でモロッコ 2位通過でブラジル 明日第3戦でスウェーデンに挑む【W杯北中米大会】
(TBS NEWS DIG - 06月25日 10:44)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=8841597
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