ニュージーランド。
脳卒中で右片麻痺となった元判事ステファン・モーテンセンは、医療介護型ケアハウス「ロイヤルパインミューズ」で生活することになった。個室だと思ったら元ラグビー選手トニーと相部屋で、入居早々からスタッフに文句をぶつけるステファン。ある夜寝ていると、部屋に1人の入居者がいるのに気がついた。それは認知症病棟のデイヴ・クローリー。昼間はぼんやりしていたり突然笑い出したりして薄気味悪く、片時も左手に嵌めた赤ちゃん人形「ジェニー・ペン」を外さない古株患者だ。何故か夜中はシャキッとしており、床についたトニーの身体をイジメ抜いていた。その日から、嫌がらせの矛先をステファンに向け始めたデイヴ。スタッフに訴えても相手にされず、イラついたステファンは、なんとかデイヴに反撃しようとするが…
「ジェニー・ペンはご機嫌ななめ」
以下、ネタバレ・ゼブラ・誠意。




明らかにジューシー・フルーツの曲名から拝借したと解る邦題だが、インパクトはあるし予告編も好奇心をくすぐられる。しかもジェフリー・ラッシュとジョン・リスゴーのW主演ときたら映画好きなら見逃せない。
人間は老いたらどこにいくのだろうか。しがらみも世俗も気にせず静かに朽ちていくのか…と思いきや、決してそうではない。命の灯が消える瞬間まで、弱肉強食の社会で戦うことが運命づけられている。本作が描くホラー味はまさにそこ。閉鎖コミュニティの理不尽な暴力に晒されて苦しむ映画は、学校・会社・刑務所を舞台にしたものはいくつもあったけど、老人ホームというのは珍しい。老人ホーム映画でここまでの悪意とバイオレンスを描くのも型破りだと思う。というわけでフレッシュさは間違いなくあるし、キャストの演技対決ぶりを堪能できて2,000円の価値はあるんだけど、オチがなんだかしょんぼり。あの決着の付け方はスマートじゃなかったなと。しかし倫理と知恵で対抗していた人間も、結局はプリミティブな手を使うしかないという哀しい現実を表現したかった…のであれば納得。デイヴの過去など謎を残してはいるものの、スリラーとしての出来は及第。ぜひ。
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