mixiユーザー(id:2940502)

2026年05月22日07:43

71 view

水曜クビ×4日記1464:廃用身


デイケア医療施設「異人坂クリニック」では、認知症や脳血管障害による麻痺などで苦しむ老人たちにリハビリを施行している。院長・漆原は、両下肢・左上肢の麻痺を患う岩上さんに心を痛めていた。もはやリハビリによって運動機能回復は見込めない状態であり、重い体重から褥瘡も悪化、左下肢の難治性な蜂窩織炎を併発してしまったのだ。その上、介護疲れの妻と息子にはネグレクトと虐待をおこなっているフシがある。悩んだ漆原は、岩上の動かない上下肢(廃用身)を切除することを思いつく。体重を削ぎ落とすことで介護の負担が軽減されるし、岩上さん本人の車椅子移動も楽になるはず…漆原の説明で切除を決心した岩上老人。果たして切除手術の結果は…


「廃用身」


以下、予定ネタバレ量1000ml。


引き算引き算引き算引き算

ハードカバーが出た時に話題になった原作。その存在は知っていたけど結局未読でした。映像化されるまでかなりの時間を要しましたねえ。正直、「ロストケア」「月」「PLAN75」などの後に出されてもインパクトは弱いんだけど、〈死〉ではなく〈手足を斬る〉という点で異質かつ不気味さを醸し出す独特な作品ではあります。

フォト


医者が良かれと思って実践した突飛な治療が思わぬ波紋を呼ぶ、というプロットには「レナードの朝」など、〈今では一般的な治療〉となっているものが多い。本作は真逆で、現代の常識・倫理観とはかけ離れた治療がいかに真っ当かと観客を納得させてくるんですよね。この部分がSF的エンタメ要素と言えるかな。四肢切断を受けた老人たちのADLが向上する=元気になるという点はペットセメタリー系の死者蘇りホラーを想起させ、やがて岩上さんがそれを実践してしまいAケアの理想が地に落ちていくわけですが。というわけで、医療ドラマの衣を借りたホラー映画と認識していいと思いますよこれ。俺は「震える舌」の系列作品だと言い切ります。「患者のため」「家族のため」「現場の介護負担軽減のため」と耳触りのよい惹句で行う切除は間違いだと思うし、漆原は本質的にハイター博士と同じだと感じたな。ま、ハイターは単なる趣味で人間くっつけてムカデにしたけど、あれだって「究極のSDGsだ!」と主張したかもしれないし。



フォト


ちなみに、やるなら美容整形と同じ扱いで自由診療でやるべきだよな、と思ったり。これ保険収載されたら国民の医療費負担はたまったもんじゃないよ。

というわけで、黒沢清風のホラー映画として観るなら正解(つまり面白い)の一本。認知症や構音障害が改善したという結果についてはまるでロジックが無いので、まともな医療映画・社会問題提起映画としては到底受け入れ難いというのが俺の意見です。以上。


3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2026年05月>
日 月 火 水 木 金 土
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31