新宿、歌舞伎町…
半グレ集団「メディアグループ」の一員タクヤと舎弟マモルは、カネに困っている独身男たちから戸籍を買い取り、新たな身分を必要とする者たちにそれを売る闇ビジネスに精を出していた。ある日、タクヤは幹部・佐藤からの誘いに乗り、ボスの〈ジョージ〉が秘匿している一億円を強奪する計画に加わってしまう。頼れる先輩・梶谷から偽造免許証を手に入れ強奪後にマモルと飛び、真っ当に生きようと考えるタクヤだったが、佐藤の裏切りでジョージに狙われることに……
「愚か者の身分」
以下、愚か者のネタバレ。



原作の力と脚本の力もあるのだろうが、ここまでリアルな反社を描いた映画を、魅力的な大人の女性監督が作っているのがまず驚き。キャスリン・ビグローの登場にも柚月裕子の登場にも驚いたが、暴力とノワールから全く逃げていないこの永田琴という監督にも驚き、とりあえず名前を覚えておこうと思った次第。ただ、タクヤとマモルの関係性は兄弟愛なのに、梶谷とタクヤの関係がほとんどBLに近かったのが「女性監督らしいなぁ」と。今の時代、女性らしいとか男らしいとかのレッテル貼りは無意味だとは思うけど、あの洗髪シーンは趣味としか思えなかったな^_^
闇ビジネスを生業にしている若者たちにも情があり良心もあり切実な過去があるという話を、湿っぽくも説教くさくもなくエンタメに徹して活写した秀作。「羅生門」的に視点を替える構成を使いつつ、巧みに3人の男たちの過去・現在・未来を描いているのが素晴らしい。セリフでの情報量より、仕草や喋り方からの情報量も多いんですよね。初めて魚の煮付けを振る舞うシーンで、タクヤが腕を挙げるとマモルがすかさず防御姿勢を取り、その前腕にタバコの押し付け痕があるというショット。それだけでマモルの過去が判りますよね。ラストの刑事の張り込みでタクヤたちの未来も読めるし、こういうスマートなとこが好きですね。オススメ。
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