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死者の着物を奪うから奪衣婆。
その着物は懸衣翁(この人、影が薄い)に渡され、そばにある樹に懸けられる。
その枝のしなりが罪の重さだ。
悪人と認定されると、紅深淵(こうしんえん)と言う急流ゾーンを必死に泳がなければならない。
善人には、なんと金銀と宝石でできた橋が用意されている。
中間層は浅瀬を渡る。
つまり、三通りの渡りかたがあるから、三途の川という。
注意したいのは、着物は返却されないということだ。
豪華な橋を渡れるといっても、つまるところ全裸という、なかなかシュールな図柄だ。
しかし、室町期に事情が一変する。
渡し船が就航するのだ。
運賃は、そう、六文。
そして、六文持っていない者だけが、奪衣婆に身ぐるみはがされる、というシステムに変更された。
婆さんが失業しないのは喜ばしいが(?)、地獄の沙汰も金次第──金持ち優遇というのは、なんとなく悲しい。
──私、六文ないから、脱がされちゃうのかな。
そのつぶやき、わけがわかりませんよ、鏡子さん。
(つづく)
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