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2024年02月12日22:18

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春日部〜4〜落城

カローラスパシオは実家にあった。



玉子っぽい楕円形の青い…濃紺?の車。


いわゆる5人乗りファミリーカー。


お飾り程度にルーフレールみたいのが付いている。


当時は(2000年前後〜?)よく走っていた車だ。




初心者マークの頃にコスった傷が左のドアにある。

ブロック塀に擦り付けてできた三本のライン…

を補修ペンで塗ってある。







…ちょっとアディダスっぽい。






コスった時は大分ヘコんだものだけれども。。。。





実家の車、というやつ。



俺しか乗らない、まあ俺の車。


父親名義の車だが、父は免許を持っておらず、母は足を悪くして運転をしない。





俺が実家を出ていけば、誰も乗らない。






しばらくして実家に帰った時に



「お父さんが車持ってっていいってよ」


と母に告げられて、再び乗り回す事に。





アパートには駐車場がないので、使う時は自転車で一駅。実家で乗り換えていた。




実に面倒くさい…。




その日も彼女と出掛けようと思い、自転車を車に乗換えた。
















基本昔からウンコ症候群に悩まされていたので、デートというのはあまり好きでなく。



電車なんか時間通りにしか動けないしトイレもそんな無いしで不安で仕方ないですよね。








ですよね?







というわけで、デートは基本車での移動。







車は良いよ車は。




待ち合わせは彼女の家の前とかで良いですし、


冷暖房ありますし、座れますし。トイレもコンビニが貸してくれる。いや、コンビニ様が貸してくださいます。


自分の立場を弁えることだ。




行きたいとこまで横付けできて、彼女に逃げられる心配もあまり…ない?





二人だけの時間を演出する。持ち運べる空間。



それが車。







日本自動車工業会からのお知らせでした。

















すいません嘘ついてました。









すいませんでした。



で、なんの話だっけ。




彼女とお出掛けといっても、あまり遠出はしない。




その日も春日部市内をフラフラしていた。



武里にあった珈麦屋というパスタ屋で昼飯を食って、ウインナーコーヒー飲んで。


ドライブして公園とか歩いてみたり。



BOOKOFFでCD探してみたり。




ダラダラと時間を過す。


くだらない話を時間の限り続けて。





夕方になればまた飯でも食べて家まで送ろうか、という流れになる。



「何食おうか」




国道4号を武里の方から春日部の方へ。


左手のマクドナルドをパスして藤塚橋交差点は黄色で通過。


右に中央病院、そして信号がもう一つ。赤に変わって引っ掛かる。



信号待ちで携帯が鳴った。


俺の携帯電話…、Vodafone(ボーダフォン)という会社の折りたたみ携帯電話だ。



画面に出る電話の相手は


【キタオ部長】


とある。



「あれ、部長だ…」



一ノ割駅入口交差点の信号が青に変わったので車を発進させつつ、左手で携帯の通話ボタンを押して電話に出る。


当時はまだ運転中の通話は違法ではなかった。まあ危ないとは言われていたんだろうけれども。





「お疲れ様です〜、利根川です〜」

努めて明るく。媚を売っているわけ…だ。


「あ、お疲れ様。キタオです、いまよろしいですか?」


部長の関西弁が耳に入ってくる。



「ちょっと運転中なので、駐めます。少々お待ちを…」





車をセブンの駐車場に駐めて、話を伺うことに。


「あ、車駐めました。どうされました?」




「人事の件なんですけれども、」


「えっと…え?」



勤めていたメガネ屋の人事…というか店の人員配置の仕組みをザックリ説明すると、


各店に【店長】がいて、店の規模に応じて【パート従業員】が数名。

店長の休みの日に代理で店を回したり、忙しい店に店長と一緒に入ったりする【ラウンダー】

がいる。


新卒で入社後、【草加】の店で研修を受けた俺は【竹ノ塚】でラウンダーになり、各地を転戦。



2年目になりロープライス業態のメガネショップ、

【A-Young】(エーヤン)の御徒町店や高田馬場店、で下っ端として働いていたわけですが、


そんな平社員に部長から電話が来るとはめずらしいモノです。







「利根川クン、先程社長とお話しまして、君を長野地区の新店の店長にするという許可がおりました」






「えっ?」




「おめでとうございます」




昇進ですよ。


とキタオ氏は言う。





「あ、ありがとうございます」




「須坂市っていうところに社宅を用意しますので、次の出勤時に事務のトザワさんから連絡がいきます〜」



言いたい事を言った部長は電話を切った。





「えっと…」


車内に取り残されたのは俺と彼女。



何に取り残されたのかもよく分からんのだが。



「転勤…?らしい」


「転勤?」


彼女は不安そうだ。



「長野だって…」


「え?」

「なんか、社宅らしい」



その日のデートは終了、といってもいい雰囲気だった。


何かを楽しもうという雰囲気にならない。



フラフラと、4号から16号を周り、無言。




「飯でも食おうか…」


「…」


「サイゼリヤでも、寄るかな」


何も考えずに言う。二連続イタリアンになるけど、この時は気付かなかった…。


「…」


彼女は無言だった





しばらくして



「寂しく、ないの?」

呟く。



俺の答えは決まっていた。





「帰ってくるから」




「え?」



「毎週帰ってくるよ」




「…」


「だから、毎週会えるよ」




俺は決意していた。


長野から春日部まで、毎週もどって来る事を。


きっと、寂しい思いはさせない事を。












それから半月。






俺は長野行きの新幹線に乗った。


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