日本における性的自由に対する罪に関する刑法・特別法・条例 弁護士 岡本哲
刑法典における性犯罪としては、明治40年(1907年)の現行刑法制定以来、基本的に強制わいせつ罪と強姦罪の2類型が処罰対象とされていました。いずれも暴行・脅迫を手段として、相手の意思に反してわいせつ行為を強制し、または女子を姦淫する行為であった。ただし、刑法典は、相手方が13歳未満であるときは、その手段を問わず、かつ、同意があっても両罪が成立するとしています。集合論以前の立法なので、原則・例外がややこしい。その後、平成16年(2004年)の刑法改正により、強姦罪および強姦致死傷罪の法定刑が引き上げられ、集団強姦罪が新設されました。ここでも、性犯罪処罰の基本的な構造は維持されてきました。もっとも、このような性犯罪の罰則は、現在の性犯罪の実態に必ずしも十分に対応していないのではないかという問題意識から、平成26年(2014年)に法務省に「性犯罪の罰則に関する検討会」が設置されるなど、改正に向けた検討が進められてきました。これを受けて、平成29年(2017年)に刑法等が改正され、性犯罪の罰則の内容が大きく変更されました。重要な改正点は、
�� 姦罪の構成要因の見直しおよび法定刑の引上げ、
�� 強姦罪等の性犯罪の非親告罪化、
�� 監護者わいせつ罪および監護者性交等罪の新設、
�� 強盗強姦罪の構成要件の見直し
の4点です。
なお、刑法典以外においては、児童福祉法34条1項6号により「児童に淫行させる行為」が処罰されています(同法60条1項、10年以下の懲役または300万円以下の罰金)。淫行とは、本来性交を意味するものであったと思われるが、判例は性交類似行為にまで拡張しています(最大判昭和60・10・23刑集39巻6号413頁参照)。「淫行をさせる行為」であるから、少なくとも淫行(たとえば売春)の相手方となる行為は除かれると解すべきとうのがというのが学説上有力です(西田等)。刑法総論の対抗犯の理論などから導かれます。もっとも、判例は、中学生男子に少女売春のあっせんを依頼して、少女と性交した青年男子を自動福祉法34条1項6号の罪の教唆犯とし(名古屋高判昭和54・6・4刑月11巻6号515項)、教師が教え子の女子生徒にバイブレータを使用して自慰行為をするに至らせ場
場合に同罪の成立を認めています(最決平成10・11・2刑集52巻8号505頁)。
また、地方自治体のいわゆる青少年保護育成条例においては、児童に対し淫行をする行為、児童との性交自体を処罰の対象とするものが多く存在します。条例によれば、刑法、児童福祉法といった法律レベルで不可罪の行為が処罰されることになり、法律主義に反するのではないかという疑問が存在しています。昭和のころから憲法で議論されていました。判例は、趣旨・目的を異にするから合憲であるとしている(大阪高判昭和48・5・9刑月5巻5号899頁、最大判昭和60・10・23刑集39巻6号413頁)。
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