西海岸に住むフリーランスの記者デビッド・シェフは後妻カレンと結婚し2人の子供を育てている。そして家にはもう1人…前妻ヴィクとの間に生まれたニックも暮らしていた。18歳のハンサムボーイで成績優秀、受験した大学全てに合格したばかりの自慢の息子だ。カレンと結婚するときに引き取ったので、カレンも母のように愛してくれているし、文学や音楽に造詣が深いので私とウマが合っている…とデビッドは思っていたが、ニック自身は疎外感と閉塞感を抱いて成長していた。そんなニックに異変が表れる。夜間の外出、引きこもり、感情の激しい変化…デビッドが問い詰めると、ニックは薬物依存を告白した。更生施設に連れていきニックを治療させるデビッド。効果はすぐに出て、無事大学進学も済ませたニックだが、すぐに薬物を再開したことが判明する。この2年で、大麻やコカインのみならず依存性が高いクリスタルメスにまで手を出していたと白状するニック。デビッドの重なる説得と保護にも関わらず、ニックはメスを止めることができず…
「ビューティフル・ボーイ」。当直明けにヘビーな一本。
以下、ネタバレはやめた。本当だよ、父さん。


クリスタルメス、いわゆるメタンフェタミン=シャブです。やめられない苦しみも理解できますが、依存者に翻弄される家族の苦しみもまた、想像できないほどの物でしょう。父親デビッドの頭に去来するのは、まだ無垢だった頃の息子の笑顔。その笑顔を取り戻すためデビッドはあらゆる手を尽くします。最後に下した苦渋の決断…同じ父親として、あの決断に至るまで回り道したのはよくわかりました。
が、共感度という意味では私的にはゼロに等しい。確かにデビッドは「よきパパ」ですし、「すべて」という合言葉と共にするハグは間違いなく本物なんですが、ニックの「よいこ」ぶりを見抜けなかったことが問題だったのではないかと。価値観をさりげなく押し付けてはこなかったかと。私自身は、子は全くの違うイキモノと認識していて、あまり関心を持っていません。たとえ未成年でも、倫理観や将来のビジョンは自分で見つけるものだと思っているので、デビッドと同じ立場に置かれたら息子を家に二度と入れないですね。冷たい父親と言われたら否定できませんが、俺なら即座に「勘当」のカードを切ります。結局は自分自身で乗り越えるべき壁なんですよ。見える形でのその場しのぎの援助は本人のためにはならない。そう思います。しかし、依存者の社会復帰に尽力する方々は心から尊敬しますよ。薬物依存=犯罪と短絡的に片付けていた時代から大きく変わった現代、依存を疾患として治療に当たることはとても重要です。
本作の主人公であるデビッドとニックを演じたのはスティーブ・カレルとティモシー・シャラメ。特にカレルは、いつものデフォルメされたキャラではなく、ごく普通の人間をオーラを消して演じていて、とても良かったです。あと、神経科医師役でティモシー・ハットンもちらっと顔を出します。使い方がもったいねー(笑)
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