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2019年03月31日17:58

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岡田2019年3月30日

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大論争を読んだガンダムの元ネタ『宇宙の戦士』
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今日は【岡田斗司夫アーカイブ】から選りすぐり
2016/07/17放送の『ニコ生ゼミ』
のハイライトをお届けします。

## 論争を呼んだ『宇宙の戦士』の「暴力」

 『機動戦士ガンダム』から故意に削除された政治思想というのがテーマになっ
てくるんですけど、「リバタリアン入門」っていうの語ってみようと思います。
 これが『宇宙の戦士』ですね。

- [『宇宙の戦士〔新訳版〕』(ロバート・A ハインライン)](http://amzn.to/
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 ロバート・アンスン・ハインラインという人が書いた、1959年ですね、昭和34
年、『ALWAYS 三丁目の夕日』の1年後に書いたやつです。
 その頃にしたら先駆的な作品ですね。この表紙に書いてあるのがパワードスー
ツ。人間が着て、なかの動きが何十倍にも増幅されるスーツ。
 これジャンプしてるんですけど、軽くジャンプするだけで、背中のロケットブ
ースターに点火されて、10メートルとか20メートルの高さに上がって、数百メー
トルくらい前進することができる。すべて人間の動きを何倍にも拡大することが
できる。聴力、耳の力にしても視力にしても、何倍にも拡大された。
 これは最近のSF映画では当たり前のように使われているんですけど、それを初
めて小説の中で体系的に書いた、兵器として集団運用したら戦争はどんなふうに
なるのかということを書いたSF小説なんですね。
 この『宇宙の戦士』というのは当時のアメリカでも軍国主義とか暴力肯定と言
われて、わりと大騒ぎになりました。『宇宙の戦士』『スターシップ・トゥルー
パーズ』というのが原題なんですけど、宇宙の歩兵っていうんでしょうね、トゥ
ルーパーズ。

(中略)

 60年代末から70年代はベトナム戦争で、反戦つまり戦争行為に対してはめちゃ
くちゃ反対運動が盛り上がったんですけど、核兵器をアメリカが持つことに関し
て、一番盛り上がったのが1958年『宇宙の戦士』の執筆当時ですね。
 アイゼンハワー大統領に色んな団体、学校から婦人団体から核兵器を放棄しま
しょうとか使うのやめましょうという署名が殺到してた時代でもあります。アメ
リカ自体が、戦争という行為に疲れてた時代なんでしょうね。朝鮮戦争もあり、
第一次大戦でヨーロッパがもう戦争は嫌だ、と思ったのと同時に、第二次大戦で
アメリカは勝ったんですけど、国が経済的にもすごい疲弊して若い人の労働力が
奪われると。もう戦争はこりごりだと。やっと核兵器なりなんなりをもって、地
球最後の戦争を終わらせたという実感があったんで、反戦気分もかなりあった時
代です。

 その時代に『宇宙の戦士』という、これは子供向けの小説なんです。ジュブナ
イルっていわれる、青少年向けって言うんですけど、どちらかというと中学生高
校生を対象にしたハインラインの一連の作品のひとつです。相手に軍隊へ行くこ
との正しさ、戦争をする正しさを語ってるんですね。ラノベの元祖みたいなもの
ですね。

 『宇宙の戦士』のかなり最初の部分、主人公がもうすぐ高校を卒業する。その
中で道徳哲学の時間というのがある。あまり聞いたことがない言葉ですけど、こ
れはもちろんハインラインの造語です。
 道徳哲学という授業があって、それはいっさいテストとかない。聴いてるだけ
でいい授業。その道徳哲学の授業は元軍人の先生が来て、子供たち学生たちに怖
い考えというのを教える。たとえば公民権に関して読み聞かせたりとか憲法の権
利に関して読み聞かせたりとか、というようなわりと過激な授業をするんですけ
ど、最後の授業で学生たちに自由に質問させるんですね。

 そんななかである女生徒から、「暴力はなにも解決しないと母から言われまし
た」と言われるんですね。これよく聞く考えですよね。基本的に今の現代の日本
でも、反戦の話とか自衛隊の話とかすると、暴力では最終的に何も解決しないと
いうのは、すごくよく聞く考え方です。

 それに対して、この道徳哲学のデュボア先生という元軍人の人は、「暴力は歴
史上最も多くのことに決着をつけてきた」、解決するとは言ってないんですね、
最終的な解決とは。「これに反対するっていうのは、最悪の希望的観測にすぎな
い。この事実から目を背けようとする民族、種族は、その命と自由という高い代
償を支払わされる」と言いました。

 『宇宙の戦士』を僕が初めて読んだのは、高校生くらいでちょうど主人公と同
じくらいの年齢だったんですけど、すごいショックだったんですね。暴力でしか
解決しないとは言ってないんですね。暴力によって、歴史上だいたいのことは決
着がついてきたと。このことから目を背けるなと。暴力で何も解決しないという
のはそのとおりなんですけど、それを言いだしたら話し合いでも何も解決しない
し、金でも解決しない。

 解決っていうのはなくて、歴史の中では決着というのがあるだけだと。だから
勝者と敗者というのがあって、敗者は恨みを残すと。それはもう一回繰り返しま
すけど、話し合いであっても金であっても合理的な解決法であっても、成田闘争
とかを見てもわかるとおり、どんなに話し合いをつくそうともどうしようとも、
解決はしないんですよね。ただ決着があるだけ。
 で、暴力が歴史上最も多くのことを決着させてきた。
そのことから目を背けてはいけないという授業。ここまでは別に、暴力主義でも
なんでもないんですけど、ハインラインがこれを書いた1959年のアメリカでは、
これを学校の先生が生徒に言ってるってだけで、すごいスキャンダラスな内容だ
ったんですね。

つまりこれって非武装中立とか非武装による平和、軍を捨てるっていうことを望
むのであれば、暴力による決着っていうのが最も単純で最もありがちなんだから
、非暴力による決着を望むのならばものすごい、暴力によるより何倍も手間やコ
ストや時間がかかるっていうことを覚悟しておけ、っていうんですね。そういう
お話にもなるんですよ。


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