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2019年03月13日16:51

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水曜クビクビ日記545:運び屋

イリノイ州に住む老人アール・ストーンは、デイリリーの栽培に人生を捧げてきた園芸家である。しかし仕事にかまけて家族をないがしろにしてきたおかげで、妻とも離婚、娘はもう何年も口をきいてはくれない状態だ。そんな孤独に花畑を営んできたアールにも、老いと時代の波に負ける時がきた。倒産、そして自宅の差し押さえ。ただ1人懐いてくれていた孫娘が結婚するというのに、祝儀すら出せない有様になってしまった。しかし、あるキッカケで、美味しいバイトにありつくことが出来た。エルパソからシカゴまでの長距離を、ピックアップトラックでドライブするだけで大金が手に入ると言うのだ。トラックで運ぶのはメキシコカルテルの麻薬である。法に触れる行為と知りながら、アールはこの「仕事」に手を出してしまい…


「運び屋」。イーストウッド御大の話題作。


以下、いくらネタバレを積んでも、時間は買えない


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最初に言いますが、これ、今年のベスト1に決定です。揺るぎません、あしからず。



「グラントリノ」をイーストウッドの遺言と思った人は多いでしょうが、いやいや、「運び屋」こそが彼の遺言です。グラントリノは男というか戦士のケジメの映画だったのに対し、本作はイーストウッド自身の〈業績〉と〈やらかし〉と〈後悔〉を描いてケジメをつける映画だったのです。映画の構成やストーリーに目新しさもキャッチーさもないですよ。これ観て「さすが名監督!」と言いたくなることは無いんですよ。俺たちは、ただイーストウッドの遺言に耳を傾け、ブラッドリー・クーパーに託されたバトンと、その一言一言に込められた人生訓を噛み締めるだけなのです。1970年代に生を受け、マカロニ以降とはいえイーストウッドの作品の大部分をスクリーンで観ることが出来た人間にとっては、この作品を家庭を持つ中年のトシで鑑賞できたことは神に感謝としか言いようがありません。というわけで、もう今年ベスト、と断言しておきます。


とか言いながらも、いち映画として普通に面白いよ!と付け加えておきます。非常にチャーミングなんですよ、主人公アールさん。マイペースでユーモアがあって、そのくせ、若い人間からモノを教わる素直さもあるという…カルテルの連中がどんどんアール・ファンになっていってしまうのがたまらなく可笑しいですよね。元妻メアリーを演じるダイアン・ウィーストも、馴染みある良妻賢母ぶりで良かったなぁ。笑顔がチャーミングなんですよねー。そして実娘アリソンね。「タイトロープ」のあの美少女も、立派におばさんになってましたよ(笑)。でも、アールとの会話シーンではリアルを超えたいい芝居してましたよね。

そしてブラッドリー・クーパーの存在。この役にこの人を起用した点で、もはや奇跡ですよ。「アリー /スター誕生」を観た後だからこそグッとくる、2人の会話…まさにハリウッドにおけるバトンタッチですよ。いや、まだまだ現役だぜと御大は言いそうだけど、俺なんか涙止まらなかったよ、あのワッフル屋のシーンと後半のツーショット。さいたま新都心のシネコンじゃ誰も泣いてなかったけど、俺はもうハンカチ手放せずですよ…

挿入歌の歌詞がいちいち映画の内容に合致してるのも楽しいし、アンディ・ガルシアの登場や、アールがジミー・スチュワートと間違われるクダリは映画ファンなら楽しめますよ。確かに瘦せ型で長身だけど、スチュワートとイーストウッドって演じたキャラ真逆だし(笑)


とにかく、イーストウッドを愛する人は、いますぐ劇場で観るべき作品。確定申告の納税以上に国民の義務exclamation ×2exclamation ×2
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