コペンハーゲン警察・緊急通報室のオペレーターとして働くアスガー・ホルムは、今夜も様々な通報に対処しているが、イマイチやる気がない。実はアスガーは元刑事で、ある事件をきっかけに緊急通報室に左遷されてしまった身なのだ。そんな彼が、シフトの終わり近くに受けた一本の電話。それは、怯えた声で子供に話しかける母親からのものだった。最初はイタズラかと思って切りかけたアスガーだが、聞いているうちに彼女が子供に電話をかけているフリをして警察に通報してきたことがわかる。電話の主はイーベンという名で、どうやら移動中のクルマに拉致られているらしい。拉致犯はさかんにイーベンにプレッシャーをかけて電話を切らせようとしている。アスガーは何とか彼女から情報を引き出し、救出の手段を探るのだが…
「ギルティ」。デンマーク産で、通報室だけしか映さないワンシチュエーションドラマ。アスガー以外の主要キャラは声だけの出演で、緊迫した状況もすべて電話からの音だけで描くというツクリです。
以下、ネタバレトマト、驚異の満足度100%


この映画におけるアスガーは、まるで神。すべての情報を持ち、状況を把握しているのは彼だけなのです。だから観客は、絶対的存在であるアスガーに頼るしかない。ハラハラしながらも、きっとアスガーが事件を解決してくれると信じてね。ジャンル映画なら、彼はいわゆるヒーローなわけですよ。
しかし、この映画は普通のジャンル映画ではありません。絶対的ヒーローの、独り善がりの正義感の〈危うさ〉を描いて見せたアンチジャンル映画というべき作品で、たまらなく苦い結末を用意しています。後で思い返すと、実はアスガーがイーベンや娘マチルデに指示した行動がたびたび裏目に出ている点や、警官や相棒への言動に横柄さが滲んでいる点など、アスガーが全くヒーローとは遠い存在である描写がたくさんあるんですよね。そして最後の「告白」…もう、そこには観客が予想していた〈サスペンス映画〉の爽快感はありません。なんて暗い映画なんだ…と鑑賞後は疲労感だけが残ります。だからこそ、俺的な満足度も高いかな。サスペンス映画の定石を外した脚本に敬意を表して、オススメ!!と叫んでおきましょう。観るべし!
ログインしてコメントを確認・投稿する