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2019年01月16日02:16

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司法試験論文式刑法 昭和59年第2問

昭和59年・刑法第2問
問題文
 不動産業者甲は、事業の行き詰まった友人乙から資金の融通を求められたので、たまたま丙からその所有する土地を担保として2000万円の金員借り入れのあっせんを依頼され、白紙委任状、権利証等を預かっていたことを奇貨とし、丙の代理人名義でほしいままに借用書を作成し、これを金融業者丁に交付して同人から現金5000万円を借り受け、そのうちの2000万円は丙に渡したが、残りの3000万円は乙に融資してやった。
 甲の罪責を論ぜよ。

 甲が丙の代理人名義で借用書を作成した行為は権利を証明する文書を偽造したものであり、私文書偽造罪に(159条1項)にあたる。甲は丙から2000蔓延の資金融通のあっせんを依頼されたのみであり、丙代理人甲名義の5000万円の借入文書を作成する権限はなく、丙への効果帰属もないからである。右(当時は答案は縦書き)文書を丁に交付した行為は、偽造私文書を行使したものとして偽造私文書行使罪(160条)にあたる。丁から5000万円のかりうけをした行為は、みずからが5000万円の借り受けをする権限を有しないのにそれがあるとみせかけ(詐欺行為)、それによって錯誤におちいった丁の消費貸借契約を締結させ5000万円の交付を受けており、詐欺罪にあたる(246条)。表見代理が成立する場合でも詐欺罪成立には支障はないと解する。現金の交付自体が損害だからである。
 甲が丙に5000万円のうち2000万円しか渡さず3000万円を乙に融資した行為越権行為であり。業務上横領罪にあたる(253条)。甲は不動産業者であり、社会的反復的に継続して他人の金銭を預かる地位にあり(業務性)、本来丙に帰属すべき金銭を甲が保有している点で占有が認められるうえ(占有)、自己の計算で丁に3000万円をかしつけて金銭を交付して(横領行為)からである。横領行為を領得行為とする説は他人への貸借の場合は領得行為が認められなくなり、常識に反するのでわたしはとらず、計算を基準とする(判例同旨と思われる)。
 以上より甲について、私文書偽造罪(159条1項)、同行使罪(160条)、詐欺罪(246条1項)、業務上横領罪(253条)が成立し、前3者は手段目的の関係にあるので牽連犯となり(54条1項後段)、後者とは併合罪(45条)になる。以上

最長期15年ということになりますが、殺人と同じレベルまで悪性が高いといえるかどうか。

 今の目でみると出資法やら貸金業法(金員借り入れあっせんで儲けるにはいろいろと問題あり)やら宅地建物取引業法やらの違反もいろいろと併合していそうである。
 昭和59年の犯行だと平成元年くらいまでは土地は値上がり続きだったから。案外3000万円くらいは値上がりでカバーできたかもしれません。

当時の刑法の問題だと問題文にムダはないことになっていたので1文1論点くらいはあることになります。いまは問題文にムダがあっていいとなりますからより大変かも。
土地の値段が問題文にないのが気になりますね。


代理人の権限逸脱と文書偽造罪・同行使
表見代理が成立する場合の詐欺罪の成否
背任と横領の区別で権限濫用と権限逸脱で量的逸脱がある場合の処理
乙へ融資したことについての罪責

ということになる。
団藤説だと領得行為の認定で困っていたのではなかろうか。


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