1970年のメキシコシティ。医師アントニオの家で住み込みで働くクレオ・グティエレスは、しっかりものの家政婦だ。ちょっとヒス気味の奥様ソフィアに言われるたまの嫌味や、ひっきりなしの犬の糞掃除はイヤだけど、幸せな毎日だ。何よりこの家の子供たちが可愛いのだ。無口な長男トーニョ、わんぱく次男のパコ、体重を気にする割に甘いもの好きな長女ソフィ、そして天使のように愛くるしいペペ…クレオはこの四人を深く愛していた。ある日、クレオは生理が遅れていることに気づいた。妊娠かもと彼氏のフェルミンに告げると、彼はデート中に姿を消してしまうのだった…
「ROMA/ローマ」。ベネチアで金獅子賞を獲ったキュアロンの新作です。
冒頭、石畳に掃除の水が流れてきて頭上の景色が反射する映像から「おーっ!」と感嘆してしまう、まさにキュアロン節な美しくかつマジカルな映画です。が、前半の話は極めて平坦。家政婦の日常を淡々と描くだけですから。しかし、なんだか懐かしい感触もあるんですよね。名もなき貧しい市民の目を通して社会を映し出すという骨格とモノクロ映像からして、ビットリオ・デ・シーカとかピエトロ・ジェルミなんかのネオリアリズモを想起させるんです。中盤からのクレオさんは、出かけるたびに地震・山火事・デモ騒乱に巻き込まれて、なかなか人生ドラマチック。彼女が後半に経験する悲劇が、最後に子供たちへの献身に繋がるという展開には唸りました。確かに大手シネコンで集客できる映画じゃないけど、シネスイッチやシャンテでは受けるんじゃないかな。スクリーンで是非とも見直したい一本。
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