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2018年12月16日06:07

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新規事業と子会社設立

新規事業と子会社設立
 2015年にかいたものです。              弁護士 岡本 哲


1 100パーセント子会社の設立の理由
2015年2月のメールマガジン「環境ビジネスオンライン」によると、丸紅は、福井県敦賀市でバイオマス発電事業を行うと発表、同事業は、同社の100%出資の子会社である丸紅火力を通じ、同市内にある東洋紡(敦賀事業所第二事業所)の敷地内、約22,000平方メートルを賃借し、実施されるもの。事業主体は、丸紅火力が100%出資する敦賀グリーンパワーであり、2015年11月よりバイオマス発電建設工事に着工し、2017年夏に運転を開始する予定、となっている。
このように大企業が新しい事業を行うときに新たな子会社を興してなすことがおおい。これは親会社にとって、どのようなメリットがあるのだろうか。
会計的メリットはあるのか。昔はあった。1980年代以降連結決算が普及したため現在はあまりない。親会社が上場企業である場合、連結対象となってしまえば、親会社の事業部門と会計的にはおなじである。100パーセント出資となれば当然連結の対象となる。会社設立費用や内部の雑務などで100万円程度のコストは、かかっている。なぜ、このような一手間をかけるのであろうか。

2 会社法から
まず、会社法の観点から検討してみる。
子会社による新規事業が成功した場合、100パーセント出資である以上、会社法上の会社であれば株主総会や社員総会で特別決議だろうと普通決議だろうと合法な範囲でやりたい放題であり、成果を自分のものにできる。事業を売却するときに営業譲渡よりも株式の譲渡のほうが買い手もわかりやすい。知的財産権や労働者の移動について親会社の取締役会・株主総会の承認決議や労働組合の同意をいちいち得るのは相当めんどうである。下手すれば検査役による検査まで必要になりかねない。
それなら子会社の資本取引で。規模によっては取締役会決議で承認としたほうが、手続が少なくなってやりやすくなっている。職業柄悪いことばかり考えてしまう弁護士の観点からすると、親会社からの子会社で新規事業をおこなうことの、会社法的な最大のメリットは、子会社の株主・社員としての有限責任である。子会社が独占禁止法違反や製造物責任や公害、大事故の原因などとなった、アメリカの懲罰的賠償を含む巨額損害賠償訴訟で
負けた、などと親会社にも手に負えないような巨額負債をかかえた時に、出資の限度しか責任を負わないことになる。リスクの計算ができるわけである。
企業の社会的責任の観点から親会社がどこまで鉄面皮になれるかは別論であるが、親会社が上場企業であるなら株主利益を守らざるをえないであろう。

3 その他の法律から
労働法的には親会社と異なる給与体系にできることが大きい。特に親会社が大都市、子会社が地方都市や田舎にある場合は、子会社が親会社と同じ東京と同じ給与体系だと物価に比べて高すぎることになる。全体として調整が必要となる。
例えば裁判官や検察官だと大都市手当が給与についていて東京だと12パーセントつい>ている。逆に言うと同じ金額で田舎暮らしをしていたら給与は12パーセントアップしたといえるわけである。ベア1パーセントで大変な思いをしている企業としてはみすごせない。親会社の労働組合が強い場合に、給与が業績に比べて高すぎてもなかなか賃下げとかはできない。現状にあった就業規則にするには子会社で最初からやるほうが楽な場合もある。むろん不当労働行為にあたるような場合は例外である。
社会保障法からは補助金・奨励金をもらいやすくすることもある。親会社が上限に達している場合は子会社をつくる意味もわかりやすい。例えば、障害者や母子家庭の母の雇用をおおくおこない、補助金・報奨金をもらいやすくすることができる。(逆にいうと分社化をうまくやれば障害者雇用義務はまぬかれてしまうのも問題とはいえる。分社の手間のほうが大変だから、あまり例はないようだが)
税法的には、会社ごとに認められる控除を複数会社にすることによって拡大するということがある。上場会社ではない例で、交際費の経費算入上限を複数社化でふやすために分社化したのではないかと思われる場合がある。交際費の恩恵を当該社長や役員が受ける場合は利益相反ではないかという問題もあり、法人格否認の可能性もあるので、あまりおすすめはできない。


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