「のじゃー!? うちの社がー!?」
パチパチと音を立てながら燃える社を前に崩れ落ちる。
小さくてボロっちい社だったが、4,50年も住んでいれば愛着も湧く。
それが、一瞬で消えてしまった。
「Noooooo! Oh God, why do you challenge me?」
ハッ、思わず英語で神に愚痴ってしまった。
「って、今はうちが神やないかーい!」
パチンッ、と火の手も合いの手を入れるかの如く音を立てる。
やるやないかお前、うちの相方にでもなる?
そうこうしている内に火の手が収まった。
元々大きくもない社だ、燃えるものもそんなにない。
「おぉぉ−−寒いわぁ」
そういえば、もうそろそろ冬やないの。
身体を震わせながら、どうしたもんかと考える。
とりあえず賽銭箱を漁れば、なんと500円もあるではないか!
「とりあえず、飲んでから考えましょ」
どろろん。
今の姿では子供にしか見えないので、Nice bodyな姿になっておく。
最近はなにかと厳しいのだ。
===
「イラッシャァセー」
「あら、今日もご苦労様」
「ウィッス」
「これと、これ。 お願いね」
「ネンレイカクニン、オナッシャー」
「ねぇ、どこからどう見ても私大人よね?」
「キソクナンデー」
「はぁ、人間って細かいわよねぇ」
「ソッスネ」
「まぁ昔みたいに身分証明書の提示じゃなくなっただけマシかの−−」
「アザッシター」
===
深夜のコンビニから出てため息をつく。
吐いた息は白く、嫌でも冬の訪れを感じさせた。
「はぁー、ほんまうち、明日からどうしたらええんやろうなぁ」
お湯の入った『赤いきつね』を片手に持ち、コンビニ横の車止めに腰掛ける。
晩秋の冷気にブルっと身体を震わせながらカップ酒も取り出した。
「ほんま、ついとらんわぁ−−」
先程の嵐で焼け落ちた社を思い出して憂鬱になる。
まさか雷のせいで社が全焼するなどと誰が思うだろうか。
少なくとも、うちは思っとらんかった。
ペリペリとカップうどんの蓋を剥がし、粉末を投入する。
この時、油揚げは蓋の上に避けておくのがポイントだ。
「ま、気にしても仕方あらへん。 今はとりあえず飲んで食べよか」
蓋の上に避けておいた油揚げを齧る。
ジュワッと滲み出た濃厚な甘みが口いっぱいに広がるこの瞬間は、
何度味わっても至福のひとときやね。
「とっとっと」
ワンカップ大関の蓋を開けて、ちょっと零れた酒をペロッと舐める。
そのまま油揚げの味が消えぬうちにゴクッと一口。
「ぷっはぁー! この瞬間が最高や!」
心なしかさっきのコンビニ店員がため息をついた気がしたが、
賽銭箱から掻き集めたなけなしの銭でできる贅沢なんてたかが知れている。
今は、この瞬間がうちの一番の幸せなんや!
〜 セッションに続く 〜
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