実用法律雑誌
判例時報
発 行 平成28年6月11日
発行通巻2291号
編集人 下平健一
発行人 判例時報社
発行・発売所 株式会社 判例時報社
雑誌 26332−6/11
ISSN0438−5888
細目次
◆記 事◆
許可抗告事件の実情
――平成二六年度…………………………尾島 明
佐古 智昭
法曹実務にとっての近代立憲主義
――第六回 参政権――…………………宍戸 常寿
現代型取引をめぐる裁判例(397)……升田 純
二〇一五年安保関連法強行採決事件・私の意見(8)
――『法服の王国』――…………………梶村 太市
◆判決録◆ 本誌掲載時に、上訴等の状況が詳らか
でない場合は、判示事項直後にある事
件名等の情報欄に記載しておりません
◆判例評論◆
─行 政─
○総代会を設けた土地区画整理組合が解散して清
算法人となった場合、総代会は清算人を選任
する権限を有するとされた事例
(札幌高決27・12・10)
─民 事─
◎抗告提起の手数料の納付を命ずる裁判長の補正
命令を受けた者が、当該命令において定めら
れた期間の経過後にこれを納付した場合の抗
告状の効力
(最一決27・12・17)
○頭部を殴打され脳脊髄液減少症ないし低髄液
圧症候群を発症し、後遺障害が残ったとして
不法行為に基づき損害賠償を請求した事案に
おいて、後遺障害診断書記載の症状固定日よ
り前の時点で「損害を知った」と認められる
として、消滅時効の抗弁を認めて請求を棄却
した事例
(大阪高判27・5・28)
○面会交流の具体的取り決めを当事者の協議に
委ねる調停合意の後、協議ができず面会交流
が実施されなかったことにつき、一方的に原
審被告らの責めに帰すべきものとはいえず、
原審被告代理人弁護士が原審原告への連絡方
法に書面郵送を用いたことが不適切とはいえ
ない等として、誠実協議義務違反による共同
不法行為の成立を否定して、これを肯定した
原判決を取り消し、原審原告らの請求を棄却
した事例
(福岡高判28・1・20)
○債権者が金融機関からの借入金を債務者に貸
し付け、金融機関に対する弁済条件と同様の
条件で債務者が分割弁済を続けている事案に
おいて、債権者と債務者との金銭消費貸借契
約では右条件による分割弁済の定めがされて
おり、保全の必要性はないとして、債権者の
仮差押命令申立てが却下された事例
(札幌高決27・11・17)
▽第三者への転貸を目的とする建物の賃貸借契
約の期間満了を理由とする明渡請求につき、
賃借人が当該建物を使用する必要性は転貸に
よる経済的利益に尽きること、契約終了時に
賃貸人が転借人の賃借権(転貸人の地位)を
引き受ける旨の条項があるため転借人の事情
を考慮する必要はないこと等を理由に、五〇
万円の立退料をもって正当事由の充足を認め、
指図による占有移転を命じた事例
(東京地判27・8・5)
▽太陽光発電設備を設置して発電事業を行おう
としている事業者の設置区域の住民に対する
説明会において、生活支障や環境破壊のおそ
れを貸したり主張したりして反対の意見を述
べた住民の言動が、事業者の信用や企業イメ
ージを不法に毀損するものではなく、右事業
者の、反対住民に対する損害賠償請求本訴の
提起がいわゆるスラップ訴訟に当たり違法と
された事例
(長野地伊那支判27・10・28)
▽会社の再生手続の進行中に同社の代表取締役
個人についての破産手続開始の申立てを受任
した同社の再生手続開姶申立代理人である弁
護士において、当該代表取締役が同社の人員
削減案等に係る労使交渉を早期に妥結させる
ために同社の従業員を会員とする団体に対し
て積立金の返還資金の補てんを目的として私
財から金員を無償で譲渡する行為をやめさせ
るための措置を講じなかったことが、当該代
表取締役の破産手続開始申立代理人としての
財産散逸防止義務に違反するとはいえないと
された事例
(青森地判27・1・23)
―知的財産権―
○サポート要件違反を理由に特許を無効とした
審決を維持した事例
(知的財産高判27・10・8)
―商 事―
▽被保険者が被害者に対して支払うべき損害賠
償金から、被保険者が被害者に対して損害賠
償金を支払うことによって代位取得するもの
の価額を控除した額の限度で保険金を支払う
旨の賠償責任保険普通保険約款条項(二条一
項一号)の適用範囲
(東京地判27・8・18)
―労 働―
▽一 上司から説得を受けてした減給に対する
同意の意思表示につき、Xが自らの意思で
同意書に署名押印した以上、Xが減給に納
得していなかったとしても、これは意思表
示をすることについての表意者の感情に過
ぎないとして、心裡留保の成立が否定され
た事例
二 Yが、減給に同意する代わりに退職パッ
ケージを提案したとしても、Xが減給に同
意しないと解雇されると誤信したと認める
ことはできないとして、減給に対する同意
の意思表示につき錯誤の成立が否定された
事例
三 上司が、会議において、強い口調で質疑
を繰り返したとしても、職務上必要な議論
であったとして、不法行為の成立が否定さ
れた事例
(さいたま地判27・11・27)
―刑 事―
○被告人両名が、共謀の上、被告人Aの実母に
暴行を加え、全身にわたる多発性障害を負わ
せて死亡させたとの事実を認定した原判決は、
被告人両名が被害者の致命傷となった損傷の
原因に関わった可能性が大きいことから両名
の故意の暴行によるものと判断したものと解
されるが、被害者が認知症の影響により暴れ
るなどし、これへの対応次第では、被告人ら
が被害者と共に転倒するなど、故意の暴行に
よらずに致命傷となった損傷の原因に関わる
ことも十分にあり得ると考えられるから、こ
の点を十分考慮せずにされた原判決の右判断
は、論理則、経験則等に照らし不合理である
とされた事例
(大阪高判27・3・11)
◆最高裁判例要旨(平成二八年二月分)
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