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「オウム真理教の事件は全部陰謀で、でっちあげだったと言われました。本当でしょうか」
心理学者や弁護士などでつくる日本脱カルト協会の理事で、オウム真理教問題に詳しい弁護士、滝本太郎(56)=横浜弁護士会=の元に平成23年ごろ、こんなメールが届いた。
差出人は関西出身の女子大学生、ユキ(仮名)。滝本はすぐに連絡を取り、ユキがオウム真理教の後継団体「アレフ」に入会していることを知った。
今も元信者らと接点のある滝本によれば、地下鉄サリン事件(7年)など一連の事件を「国家によるでっちあげ」などと教え込むのは、アレフが信者獲得で近年多用する手法だ。陰謀説に疑問を持たれると「一部信者の暴走」と変遷し、オウム真理教教祖の麻原彰晃(58)=本名・松本智津夫=の事件への関与を否定。最終的には「正しいポア(悪行をなすものを転生させる)だった」などと殺人を肯定するという。
ユキは入会当時、事件のことをほとんど知らなかった。麻原の写真が掲げられた道場に何回か通った後、不安になってインターネットで調べ、道場で事件のことを問うと「でっちあげ」と言われたというのだ。
滝本から説得を受けて、内容証明郵便で脱会届を提出したため深みにはまらなかったが、麻原のゆがんだ教義に染められる恐れは、十分にあった。
ユキはなぜ、アレフに入会したのだろうか。
「まるで遊牧民」
話は脱会の半年ほど前にさかのぼる。
大学進学で上京したユキは、高校時代の部活動の先輩で20代のアイコ(仮名)から「久しぶりに会おうよ」と連絡を受けた。何度か会ううちにヨガの話題になり、アイコの自宅でヨガをするようになった
「教室に行こうよ」。今度は都内の公民館で行われるヨガ教室に誘われた。何回か通ううち、インストラクターから「筋が良い」「前世では修行者だったのかも」と絶賛された。本格的なヨガを、と勧められ、連れて行かれたのがアレフの道場。何気なく「書いておいてね」と手渡された書類に、住所や名前を記入した。これが入会届だった。
アレフは入会時こそ教団名を隠さなかったが、ヨガ教室では告げなかった。アイコは先輩後輩関係を利用してユキに近づき、数カ月かけて信頼関係を築いた。
滝本によれば、ヨガ教室を公民館で開くのもアレフの常套(じょうとう)手段。通常のカルチャー教室を装う。アレフだと発覚すれば次の公民館に移り、「まるで遊牧民のように渡り歩く」という。
信教の自由阻害
こうした勧誘について、アレフはどう考えるのか。アレフ広報部は取材に対し書面で回答を寄せ、法令や教団内の規定の順守を説明した上で、こう強調した。
「会員は信教の自由(憲法20条)を享受する日本国民として、それぞれの判断で自由な宗教活動を行うことが認められている」
これに対し、全国カルト対策大学ネットワークの発起人の一人、恵泉女学園大学長の川島堅二(54)=宗教学=は「仮にアレフがオウムの後継団体で麻原を最終解脱者として信じる−などと説明して入会させているなら別だが…」と述べ、こう指弾した。
「だますような形で新たに信者を募るのは信教の自由の阻害にほかならない」
善良な人々が…
「派手でもなく地味でもない、まじめな、どこにでもいる女の子」。ユキをそう評した滝本は、スムーズに脱会させられた理由を、本格的な修行の段階に移っていなかったためだと分析した上で、こう明かした。
「アレフは、神秘体験によって信者をマインドコントロールしている」
その一例が呼吸法。息を吸い込みすぎたり吐きすぎたりすると、「光が見える」「尾てい骨から力がわき出る」などの幻覚が生じるとされ、これを「麻原の力」と信者にすり込む。
公安調査庁によると、麻原への帰依を誓う文言を唱えながら、立ち上がったり床にはったりする立位礼拝を実施。休憩・睡眠を与えず極限状態に追い込む修行を課すこともあるという。
滝本は「修行が過激さを増すと、アレフが再び危険な活動へとエスカレートする恐れがある」と指摘する一方、こう強調することを忘れなかった。
アレフ信者は「善良な人々」ばかりなのだ、と。マインドコントロールを受けているだけで、麻原とその教義にだまされているだけ−というのだ。
かつてオウム真理教に命を狙われた滝本は「オウムの恐ろしさは、『善良な人々』が化学兵器やサリンを使って無差別殺傷行為に及んだ点にある」と語る。
善良な「心」を支配するマインドコントロール。ユキはアイコの脱会も試みたが、アイコは今も滝本と会うことを拒否している。 (呼称・敬称略)

オウム真理教
教祖の麻原彰晃死刑囚が昭和59年、ヨガ修行道場「オウム神仙の会」を設立。62年にオウム真理教に改称、平成元年に宗教法人格を取得した。坂本弁護士一家殺害事件(元年)、松本サリン事件(6年)、地下鉄サリン事件(7年)などを起こし、一連の事件で29人が死亡、6千人以上が負傷し、麻原死刑囚ら多数の幹部が逮捕された。13人の死刑が確定している。8年に宗教法人格を失い、今は「アレフ」と「ひかりの輪」に分派して活動。両団体とも団体規制法による観察処分を受け、公安調査庁の監視下に置かれている。
オウム真理教は、2000年アレフ破たんに伴い「アレフ」と改称。
その後、さらなる改称と分裂を経て、現在は「Aleph」と称する団体、および「ひかりの輪」と称する団体が教義や信者の一部を引き継いでいる。
当時オウム幹部だった上祐氏は、「ひかりの輪」として今も続行しているが、「オウムとは違う」と言っても内容はたいして変わらない。
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<過去記事>


「心理教」と書く学生の無知、つけこむ「オウム」…事件を“風化”して再び若者の入信が激増
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1907036155&owner_id=5325383


スパイ送り込む教団、東京拘置所を「パワースポット」と言うアレフ信者…カルトの脅威今もなお
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1907676928&owner_id=5325383
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