JR四国が走らせている典型的な普通列車である。
予讃線・観音寺を16時07分に出て、終着松山に着くのが19時50分。
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単線のため一駅走っては対向列車待ち、二駅走っては後からやってくる特急列車の通過待ち。
駅に滞留する時間が走っている時間より長いかもしれない。
それほど行っては停まり、また停まる。
いらいらする。
JR四国管内の線路を走る普通列車の常として車内にトイレも付いていない。
2両編成のワンマン列車。
どこがええねん、こんな列車の。
青春18きっぷの長年の使い手でも敬遠してしまう普通列車、その中でもトップクラスに入るかもしれない。
ただ一点。
このただ一点の出来事がなければ人にも到底勧められないのだが…。
車窓外の景色がいい。それも飛びぬけて。
海のかなたに沈みこむ夕日が、海際を長く走るその線路沿いから絶え間なく見えるのだ。
線路から見える夕焼けは日本海側沿線の特権ではないことがこの列車に乗るとよく分る。
日本海ではなく、瀬戸内海の西隣、周防灘に沈む夕日。
夏あたり、この風景が絶品になる。
今治過ぎて波止浜・波方・大西と過ぎれば列車は大きく南西にカーブする。
そこから海が、西方向、茜色に染まる大海原が車窓外に大きく広がるのだった。
夕日が水平線の下にまで沈みこんでも空の上はまだ赤い。
日本海側沿線以外、四国から見る車窓からの飛び切りの夕日。
その夕日を時間をたっぷりかけて見させてくれる観音寺16時07分発松山行き普通列車。
ここはゆっくり走ってくれてOKさ。
実際、ゆっくり。
乗った人、これから乗ろうと思っている人、お集まり下さい。