ローカル・マニフェスト推進ネットワーク関西
趣意書
地方分権改革の進展、市町村合併、逼迫する財政事情、激化する都市間競争など、地方自治を取り巻く環境は激変を余儀なくされています。こういった激変期であればこそ、自治体のトップ・マネジャーである首長には、難関を乗り越えるリーダー・シップと能力が期待されています。また、主権者である市民、有権者には、有能なマネジャーの選別力が求められます。
しかしながら現状は、代表制民主主義のシンボルである地方選挙の投票率が低下し続けています。その原因の一端は首長や議員にあります。理念や政策を掲げて有権者に判断を仰ぐのではなく、地縁、血縁、組織を当てにした、政策に頼らない選挙をやってきたからです。またそれを善しとしてきた有権者にも責任があります。
いま、求められているのは、有権者と政治家とのそのような因果関係の悪循環を断ち切ることにあります。そのためにも、有権者が選挙に興味と関心をもって積極的な投票行動を起こしたくなるような状況をつくり出す必要があります。また、分権時代の地方自治を担う有能な人材が首長選挙や地方議会議員選挙に数多く立候補し、激しい政策競争が展開される状況をつくり出さなければ有権者の関心や期待も高まりません。
ローカル・マニフェストは、そのような状況をつくり出すための有効な手段となり得るものなのです。マニフェストは、自治体経営の理念と、理念に基づく体系化された政策を、市民や有権者にわかりやすく示し、個別政策の具体的な目標、目標の達成手段、財源、スケジュールなどを約束する、立候補者と有権者との契約書です。また、主権者の責任として、市民やNPOが「私が市長になったら、こういった理念で、こういった政策を実行したい」と、自らの手で市民マニフェスト(市民からの政策提案書)をまとめ上げ、それを立候補者に逆提案する「市民マニフェスト運動」の展開もあります。マニフェストを掲げた候補者どうしの政策論争に、市民マニフェストが加われば、有権者の候補者選択も容易になります。市民や有権者に選挙をわかりやすく、身近なものにするための手段がマニフェストなのです。
ローカル・マニフェスト推進ネットワーク関西は、関西におけるローカル・デモクラシーの活性化を目指し、市民や有権者の選挙への関心を高めると共に、分権時代の有能なリーダーを選出できる可能性を秘めたマニフェスト型選挙を普及させたいと思います。もちろん、特定の候補者、政党、会派を推さない、支持しないことはいうまでもありません。
皆様方の積極的なご参加とご協力をお待ちしています。
2005年2月
ローカル・マニフェスト推進ネットワーク関西
代表
新川達郎
(同志社大学大学院総合政策科学研究科教授)
木原勝彬
(特定非営利活動法人NPO政策研究所理事長)