George Maciunas/1931ー1978
フルクサスの主導者はリトアニア系アメリカ人のジョージ・マチューナス(George Maciunas、1931年 - 1978年)であり、現代美術の祖であるマルセル・デュシャンの活動や1950年代のジョン・ケージやアラン・カプローらのハプニング、イヴェントといった活動に刺激を受けて、ジョージ・ブレヒトらとともにパフォーマンス・アートを行っていた。彼が1961年にニューヨーク市で行った講演のタイトルを『フルクサス』としたのがこの言葉の広がるきっかけだったとされる。「流転」という言葉どおり彼らのパフォーマンスは一回限りで繰り返されないもので、日常生活に芸術を見出そうとし、日常生活の中でのパフォーマンスや日常生活の要素を取り入れたパフォーマンスを特徴としていた。1962年、マチューナスは債権者から逃れるために友人を伴って西ドイツへと渡り、以後フルクサスはアメリカ合衆国と西ドイツ、デンマークを中心とするヨーロッパで展開された。また欧米以外では日本からの参加者も多かった。
フルクサスにはヨゼフ・ボイス、ディック・ヒギンズ、アル・ハンセン、ボルフ・フォステル、ラリー・ミラー、レイ・ジョンソン、ラ・モンテ・ヤング、ナムジュン・パイク、オノ・ヨーコ、靉嘔、一柳慧、久保田成子、小杉武久、刀根康尚など、パフォーマンス・アートから詩、音楽、映像などさまざまなメディアの実験をする芸術家が集まり緩いつながりで成り立っていた。彼らはそれぞれの芸術分野での伝統的な規範やジャンルの区別には反対する立場をとり、作品よりも芸術家の行動、個人差、思想に力点を置いた。