■ペール・ファビアン・ラーゲルクヴィスト(Par Fabian Lagerkvist)
スウェーデンの作家・詩人(1891〜1974)。
キリスト教の信仰を作品の世界観の基礎としつつ、善と悪、光と闇、神性と人性といった相矛盾する二元的対立を一貫して探求しつづけた。その作品群の特徴は主に次の3つの時期に区分できる。
①人間における悪の意味をめぐる究明:
『不安』『カオス』『永遠の微笑み』『人生をやりなおした男』
②台頭するナチズムのうちに、統御すべき内なる悪に逆に支配される人間を見抜き、そうした力に脅かされる人間の有様を剔抉:
『死刑執行人』『こびと』『魂のない男』
③死への不安をかかえる求道的人間像を追求:
『バラバ』
代表作『バラバ』(1950)では、キリストのかわりに釈放されて磔刑を逃れた主人公のバラバに託して、いかに神を拒絶しようとも、その神にどこまでも縛られている人間の有様を描いた。
1951年、『バラバ』などによりノーベル文学賞を受賞。
(以上、『岩波キリスト教辞典』(2002)「ラーゲルクヴィスト」の項を参照)
■主な作品
『バラバ』
『巫女』