吉野家で食べられるものって、「吉牛」と呼ばれるほどお馴染みの牛丼、そして豚丼、さらに焼鳥丼やら焼肉丼など、およそ「ご飯ものの丼または定食」と相場は決まっていたはず。
しかし今、吉野家内部でさえ密かに、他のメニューが浸透しつつあるのをご存知か?
実はそれは「ソバ」である。
それもなんと十割蕎麦なのである!
衝撃の事実だ。
吉野家ホームページではまだ一切公表されていないが、少なくとも関東地区ですでに数件のの吉野家の蕎麦屋の存在が確認されている。
従来の吉野家とは意匠が異なり、紺と橙色のロゴデザインと店舗内外は純和風。
さらに「十割そば」と大書した白いノボリが立っていたら、間違いなくそこは吉野家の秘密の蕎麦屋なのである。
もしも発見した暁には迷わず入店し「盛りそば!」と頼んでみよう。
ものの1分で竹ザルに盛られた十割蕎麦が出てくる。
つなぎの小麦粉を一切使わないため若干ボソボソ感があるものの、手打ち風情あふれる乱切りのそばを手繰れば、普段あまり食することのできない十割蕎麦の芳しい香りと蕎麦粉の食感にあなたの喉は身悶える。
その蕎麦をくぐらせるツユもまた秀逸だ。
出汁とかえしの具合が見事で、天然素材の出汁の風味とじっくり寝かしたかえしのコクとのバランスが素晴らしい。
どうして蕎麦湯がないのだろう、と残念なほど。
以上300円。
盛りそばを食い終わる直前、すかさず「かけそば!」と注文しよう。
先ほどのそばツユが使われていると思しき、暖かく香り高いツユに十割蕎麦が泳ぐ。
伸びては台無し、命懸けですすり上げるべし。
最後のツユは思わず飲み干してしまうことだろう。
なんとしめて600円。
君は幸福の中で店の階段を降りることになる。
二度目の来店時には「ミニかき揚げ丼」や「牛丼」とのセット、あるいは大きなエビが二尾載った「海老天そば」、かき揚げの玉葱の甘みと卵黄のハーモニーが滋味深い「天玉そば」、あるいは胡麻油香るパリパリの揚げたて「天丼」にトライするもの宜しかろう。
さぁ、今日から君は我々「吉そば調査隊」の一員である。
『吉そば』を発見したなら速やかに当本部まで店舗情報の報告を上げるとともに、ぜひともメニューすべてを制覇していただきたい!
健闘を祈る!