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ヘルミーナ・ティールロヴァー

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詳細 2019年6月4日 06:34更新

チェコのオブジェクト・アニメーションのお母さんのような人。そして作品たち。

* * * * * * * * * * *
1900年、チェコのボヘミア中部ブジェゾヴェー・ホリ生まれ。プラハのウラニア劇場でバレエ・歌などの経験を積み、1926年から夫のカレル・ドダルを手伝う形でコマーシャルやPR映画などに関わりはじめる。夫とともにチェコ初のアニメーション作品『恋に落ちた水の精』(1928)も制作。これは同時期アメリカで成功を収めていたディズニーのミッキー・マウスやワーナーのバックス・バニーに倣ったカートゥーン(漫画)だったが、チェコ最初の人形アニメーションといわれる『ランタンの秘密』(もしくは『カンテラの謎』1938。1935とする資料もある)の制作にも、夫との共同作業で携わっている。
そのような草分け的パートナーだったドダルと後に離婚。彼の2人目の妻イレナが作った映画会社イレ・フィルムで制作をするが、ナチス・ドイツの侵攻により、1939年に夫がイレナとともにアメリカへ亡命してしまい、ティールロヴァーは失意のあまりしばらくはアニメーションから離れるが、ロシアのアレクサンドル・プトゥシコの『新ガリヴァー』(1935)を観て衝撃を受け、人形アニメーションへの興味を取り戻す。ズリーンのアトリエに移り住んでまた制作を始めた時期、チェコにおける2大国立アニメーションスタジオのひとつズリーンのスタジオから資金援助を得ていたともいわれ、ティールロヴァーの存在はすでに知られていた。設備の悪さから未完成だった蟻のフェルダの人形が、スタジオから来たメンバーの目に止まって招かれ、完成したのが『蟻のフェルダ』(1944。1942とする資料もある。また前述『ランタンの秘密』が依頼による広告映像だったため、こちらをチェコ初の人形アニメーションとする場合もある)。この作品により、初の女性人形アニメーション監督となる。戦渦4年ほどスタジオがナチスに占領されるなどで小さな作業しかできなかったが、1945年のチェコスロヴァキア解放によってようやく作業に打ち込めるようになり、早速『おもちゃの反乱』を制作。完成は解放の翌年である。内容は反ナチス・反戦映画であり、制作翌年にヴェネチア国際映画祭子ども向け部門グランプリ及びブリュッセル国際映画祭人形アニメーション映画グランプリ受賞。
作品において一貫しているのは「こどもへの女性としての正義感」であり、人形及びオブジェクトアニメーションを極めることではなかったかもしれない。ゆえにか、作品には必要であれば繰演が取り込まれるし、吊りワイヤーも使う。しかし、動かないものが動くことへの面白みを表現することには全力を尽くしており、さまざまなオブジェクトの動きに挑戦している。『迷子の人形』(1959)『結んだハンカチ』(1958)『二つの毛糸玉』(1962)などの作品にて、その試みは発揮されている。
晩年、ティールロヴァーは自分特有のオブジェクトとして「毛糸」を選んだ。しかも毛糸を画材として使う半立体の手法でいくつも作品を制作、素材感を試した。『毛糸のお話』(1964)は、『雪だるま』(1966)とともにその作風が存分に生かされている。
ティールロヴァーが多くの作品を制作したズリーンのスタジオには、後にチェコ映画界において語るに欠かせないカレル・ゼマンや、ティールロヴァーの感性を引き継ぐガリク・セコが参加し、彼らはティールロヴァーの作品のアニメーターをつとめている。
「チェコ人の誰もが、ティールロヴァーのアニメーションをどこかで見て育っている」といわれるほどに多くの作品を残し、チェコとスロヴァキアが無血で解体したその年、ズリーンにて93歳の老齢で没した。(2007.1.1)

* * * * DVD情報 * * * *
「ヘルミーナ・ティールロヴァー『結んだハンカチ』その他の短編」
発売元:レン・コーポレーション、チェスキー・ケー
販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
収録作品:
『ミーチェク・フリーチェク』
『カラマイカ』
『十人十色』
『結んだハンカチ』
『機関車くん』
『仕返しの日』
『青いエプロン』

「ヘルミーナ・ティールロヴァー『二つの毛糸玉』その他の短編」
発売元:レン・コーポレーション、チェスキー・ケー
販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
収録作品:
『二つの毛糸玉』
『毛糸のお話』
『雪だるま』
『豚飼い王子』
『知りたがりの手紙』
『玉』
『迷子の人形』


* * * * 作品リスト * * * *
『恋に落ちた水の精』(1928)
『泡くんの戯れ』(1936)
『ランタンの秘密』または『カンテラの謎』(1938もしくは1935)
『蟻のフェルダ』(1942)
『おもちゃの反乱』(1946)
『ララバイ』(1947)
『何を損ねたか』(1947)
『カノン』(1948)
『夜のロマンス』(1948)
『仲間はずれの人形』(1950)
『9羽の鳥』(1952)
『竜のお話』(1953)
『金髪姫』(1955)
『民謡の花冠』(1955)
『ミーチェク・フリーチェク』(1956)
『カラマイカ』(1957)
『十人十色』(1958)
『豚飼い王子』(1958)
『結んだハンカチ』(1958)
『機関車くん』(1959)
『迷子の人形』(1959)
『仕返しの日』(1960)
『知りたがりの手紙』(1961)
『二つの毛糸玉』(1962)
『玉』(1963)
『毛糸のお話』(1964)
『青いエプロン』(1965)
『男の子?それとも女の子?』(1966)
『雪だるま』(1966)
『イヌの天国』(1967)
『サンゴのお話』(1968)
『クリスマス・ツリー』(1968)
『ベツレヘムの星』(1969)
『ペイント』(1970)
『くちぶえ』(1971)
『旅をする牛』(1971)
『誘拐』(1972)
『心配するアヒル』(1972)
『少年とフィリップ』(1972)
『イヌの夢』(1972)
『イヌと荒くれ者』(1972)
『動物たちのクリスマス』(1973)
『少年のいたずら』(1973)
『赤いめがね』(1973)
『青い目をしたネコの話』(1974-1976)
『耳長のろば』(1974)
『僕と僕の二本足』(1974)
『僕と赤毛の白ひげ』(1974)
『僕とグリフォン犬』(1975)
『僕とキキ』(1976)
『フェルダの体験』(1977)
『フェルダ、外国で』(1977)
『アリの巣のフェルダ』(1977)
『虫くんの体験』(1978)
『ヤプクの命中』(1979)
『子守唄』(1979)
『冗談と悪魔くん』(1980)

* * * * 関連コミュニティ * * * *
Czech[チェコ]
http://mixi.jp/view_community.pl?id=102634
[animation]
http://mixi.jp/view_community.pl?id=86673
50〜70年代の人形アニメーション
http://mixi.jp/view_community.pl?id=456641
チェコの絵本
http://mixi.jp/view_community.pl?id=50487
カレル・ゼマン
http://mixi.jp/view_community.pl?id=45624
ガリク・セコ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1195176

* * * * 関連書籍 * * * *
『チェコアニメの巨匠たち』(エスクァイア・マガジン・ジャパン 2003)
『人形[パペット]アニメーションの魅力』(おかだえみこ著・河出書房新社 2003)
『ユーロ・アニメーション』(フィルムアート社 2002)

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2005年7月27日

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カテゴリ
映画