我らが郷土の犬「山陰柴犬」を紹介します。
「へえ、山陰柴犬?そんな種類があるんだ」と興味を持つ方もいれば、「要するに、柴犬の一種なんでしょう」と感じる方もいるかもしれません。でも、実は「山陰柴犬」は日本犬全体の中でも特別な存在なんです。
現在、日本犬(日本固有の犬種)は一般に、大型犬の「秋田犬」、中型犬の「紀州犬」や「四国犬」、「北海道犬」、「甲斐犬」、そして小型犬の「柴犬」という6種類に分類されます。
かつては日本列島の各地、特に山間地に、『地犬』と呼ばれる地方色豊かな猟犬たちが数多くいました。しかし、明治の文明開化以降、西洋犬や他の日本犬との雑種化が進んだため、純粋な血を持つ地犬はどんどん絶滅していったのです。
例えば、上野の森の西郷隆盛像の右脇に控える愛犬ツンは、彼が東京に連れてきた薩摩の地犬ですが、その隆盛の愛した「薩摩犬」も、数十年後には純血種が絶えてしまいました。
しかし大正末から昭和初期になると、絶滅の危機から救うため、純粋な日本犬の保存活動が活発になりました。その結果ようやく、先に挙げた6種類の犬が国の天然記念物に指定され、多くの人々の努力により現在まで大切に保存されてきたのです。
さて、ここで注目していただきたいのが、それらの犬の名前。秋田犬、紀州犬、四国犬、北海道犬、甲斐犬と、その名前からも明らかなように、これらの5犬種は元々、それぞれの地域に固有の地犬でした。
それに対して柴犬は、特定の地域の地犬を指さず、小型の日本犬の総称です。そのため一口に柴犬といっても、実際には「信州柴」「美濃柴」「三河柴」「山陰柴」など多くの地犬が含まれます(このうち、国の天然記念物に指定されている柴犬は「信州柴」と「山陰柴」)。
でも、山陰柴犬は単に「山陰に住んでいる」柴犬、というわけでもないのです。山陰柴犬が、特別な存在であることを証明したのは、岐阜大学の田名部雄一教授らの研究でした。
田名部教授らは、世界の色んな犬の血中たんぱく質の遺伝子型を分析し、犬同士の遺伝的な遠近を調べ上げました。その結果「北海道犬」や「信州柴犬」など多くの日本犬が遺伝的に台湾の犬に近いのに対し、「山陰柴犬」は韓国の犬と遺伝子面での類似性がきわめて高いことをつきとめたのです。
こうした犬の遺伝子研究に基づき田名部教授は、日本人の祖先はまず南方から(台湾系の犬を引き連れて)日本に入り、その後、北方から新たに(韓国系の犬を伴って)日本に移住してきたと推測できることを、『犬から探る古代日本人の謎』という著書の中で書いています。
このように「山陰柴犬」は、他の日本犬とは違う独自の血を有史以前から今に伝えていると考えられています。そしてそれが、日本人のルーツ研究にも大きな力を与えているのだそうです。
「山陰柴犬」は全国に自慢できる『郷土のたから』といってもいいかもしれません。「山陰柴犬」という独立した貴重な種として全国に知られるようになってほしいと願っています。
(AK)メールマガジンとっとり雑学本舗 第523号(2005.12.13)「とっとり豆知識」より転載
★山陰柴犬育成会の方のお話
鳥取県政便りより
http://
読売オンラインより
http://
★山陰柴犬を家族の一員に加えたい方はこちらへ
鳥取県東伯郡北栄町(ちなみに名探偵コナンの作者が生まれ育った町)在住
松本守人さん(山陰柴犬育成会員)
090 3639 1381
私が松本さんに譲っていただいて飼っている山陰柴犬の写真
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山陰柴犬飼ってる方、飼ってみたい方の情報交換の場になれば幸いです。