サントゥールは古代ペルシアで生まれた楽器で、台形の箱形の胴にチェスの駒のような駒を並べ、金属弦を各音に4本ずつ張り木製の撥で打奏する弦楽器である。全部で25音有ったので弦の合計数が100となり「サント(100)トゥール(弦)」と言われた。中央アジアでは竪琴の名を得てチャングと呼ばれるがイラク、トルコではサントゥール、ギリシアではサンドゥーリと呼ばれる。ギリシアから北の東欧にかけてはジプシー(ロマ)演奏家が好んで用い、ルーマニアでツァンバル、ハンガリーでツィンバロムと呼ばれる。オーストリアでハックプレット、イタリアとアイルランドでダルシマーの名で用いられアメリカにも渡りハンマード・ダルシマーと呼ばれる。中国には不思議なことに中央アジアからではなく西洋から近年に伝わり、楊琴の名の他に洋琴も当てられる。タイの近代古典音楽のキムチンは中国楽器が伝わったもの。これらの楽器は皆兄弟親戚であるが音の並びが異なる上に撥の形と硬度が違うので複数種を弾く演奏家は居ない。
サントゥール奏者、サントゥールの音色が好きな人、是非どうぞ。