ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

milestoneコミュのJT2兆円の大型買収 2006/12

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
マスコミ各社は、日本たばこ産業(JT)が、英国たばこ大手ガラハーを買収することで、同社と基本合意したと報じました。報道によると、買収総額は約2兆2千億円で、ソフトバンクによるボーダフォン日本法人買収の約1兆9千億円を上回り、日本企業による企業買収では今年最大となります。JTは、9月末で約4千億円の現金と約8千億円の有価証券、合計で1兆2千億円の手元資金があります。これに約1兆円の借り入れを実施することで、JTは買収資金を用意する方針です。

ガラハーのタバコ販売本数シェアは世界5位で、英国など欧州と旧ソ連圏で高いシェアをもっています。JTは旧ソ連圏を含む欧州のシェアが10%程度ですが、ガラハーを買収することで欧州全体でのシェアは23%程度まで上昇する見込みです。すでにJTは、国内でのタバコ販売本数の減少を海外販売でカバーする方針をとっています。今回のガラハーの買収で、JTは海外市場での成長戦略を強化することになります。

JTによるガラハー買収は、買収金額が大きいだけでなく、現在の日本のマクロ経済を象徴するイベントとしても興味深いものです。

まず注目すべきは、JTが買収のために1兆円もの借り入れを実施する点です。JTは株式の半分を政府が保有しているため信用力が高く、1兆円の借り入れは不可能ではないとの指摘があります。ただ、たとえ信用力が高くても、米国などで1兆円もの資金を借り入れると、借り入れコストが莫大となり、採算性を低下させる懸念があります。しかし、日本の場合、政策金利が0.25%と、米国(5.25%)、英国(5.00%)、ユーロ圏(3.50%)に比べ非常に低く、借り入れコストが他国に比べ圧倒的に安い状態です。タバコ事業は安定的なキャッシュフローが見込まれますので、1兆円と多額であっても、低金利であれば借り入れを実施することは、ある程度合理的と思われます。

海外市場の強化を目的とした買収という点も現在の日本経済を象徴しています。日本は今後人口の減少が続く見込みで、生産性の上昇が続かない限り、日本の経済規模は縮小する傾向を強めることになります。JTに限らず日本の大企業が、今後も成長を続けたいのであれば、日本市場に固執せず海外市場を開拓することは必要といえます。

JTが1兆2千億円もの巨額の手元資金を保有している点も、日本経済の現状を象徴していると思われます。マクロでみた日本企業は、ここ3年は利益拡大を続けています。しかし、日本企業の多くは、設備投資を大幅に増やすこともなく、従業員に支払う賃金も抑制気味にしてきました。この結果、稼いだ利益の多くは内部留保として企業の中に滞留している状態です。財務省の法人企業統計によると、日本企業全体の自己資本比率は33.3%と、今から50年前の1956年以来の高い水準を記録しています。これほどまで溜め込んだ利益を、そのまま滞留させず買収資金とし利用することは、企業成長を促し、資金効率を高めるといった点で合理的な選択肢の1つといえます。

JTによるガラハー買収は、規模が大きいこともあり、あくまで特殊な例と考える方も多いかもしれません。しかしJTのビジネス環境や財務状況などは、マクロの視点で考えると、決して特殊なものではなく、日本企業全体にある程度当てはまるものと思われます。言い換えれば、JT以外の日本企業が、規模の違いこそあれ、さらなる成長を求めて海外企業を買収することは、今後も目にすることがあってもおかしくないように思えます。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

milestone 更新情報

milestoneのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。