音声で表される言語{Fly me to the moon}、その文章が表現する意味[私を月まで飛ばすイメージ、あるいは本当にそういう行動]、唄っている彼女の気持ちを表す言語{Hold my hand! , Darling kiss me!}、この文章が表現する意味[手を取って、キスをしてダーリン。こっちはイメージではなく行動でしょう]、前者の言語から後者の言語への「比喩」と呼ばれる写像、この写像によって引き起こされる音声言語の意味から彼女の気持ちへの対応関係、こんなところでしょうか。
この方法は、自然ですし有効ではあるのでしょう。
しかし、ぼくはややこしすぎると思う。
もっと単純に記述可能なのではないか?
分析すべきは{Fly me to the moon}という文章でしょう。
{Hold my hand! , Darling kiss me!}のほうは気持ちを解説しているのだから、前の文章に対しては「メタ言語」なのではないか。
さらに、文章とその意味はほぼ一対一に対応しているのだから、両者を同一視してもよいのではないか。
また、「標準の文法」ではなく「彼女の文法」を形式化すればよいのではないか。
などなど考慮すると次のようになる。
彼女が言った文章{Fly me to the moon}は、彼女の気持ちの中では、[手を取って、キスをしてダーリン]という概念になっている。