エーリッヒ・フロムコミュの精神分析と宗教　についての感想など

表題「精神分析と宗教」から
　ここ1週間に、この本を2回通読しました。読む中で、これまで、言葉にしようとして整理できなくていたことが整理されていったからです。　ここ、エーリッヒ・フロムのコミュニティは書き込みも、読む人もほとんどないようですが、縁がつながるとしたら、やはりここかなと思い、感想を書くことにしました。
　1950年にアメリカで発行された本ですが、内容は決して古くないように思います。
　表題の「宗教」について
　私にとって「宗教」とは、私はどう生きるかを考えるとき、拠り所とする最も根源的で、体系的な教えのことです。「神」とか「仏」という用語は必ずしも必要ありません。　如何に生きるべきかの論拠において、「この世界の究極の存在は何なのか・存在」について、「この世の一切とは何なのか・関係」について、「人は如何に認識するか・認識」について、当然語ることになります。　また「死ぬ」とはどういうことか、どう向き合うかについての考えが当然含まれます。
　以上のような私自身のための定義だと、いわゆる「世界観」とどう違うのかということになりますが、世界観と同じといってもいいと思っています。　つまり、ヒトは、無宗教であることはあり得ない、と思っています。

　人は何らかの宗教を必ず持っており、そして、46頁にあるように、
　「無神論的宗教と有神論的宗教の差異にかかわりなく適用できる、権威主義的宗教と人道主義的宗教」に区別できると思います。

コメント(7)

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[1] mixiユーザー 12月11日 14:45

多分、この本を僕は読んでないので、書き込む資格は無いのでしょうが、

「禅と精神分析」におけるフロムの書き込みの
Well　Being（最良の状態）それを精神分析で目指すようなことを読んだ覚えがあり、
僕自身のパーソナリティを確立するのに役に立ちました。

鈴木大拙先生の禅講義に圧倒され、
外国人が禅について日本人に尋ねる訳は、ここにあったかと、勝手に納得してます。

たぶん、宗教者は、宗教に依存し、宗教に酔い、
現実社会の生きることを、疎かにしている人が多い為、
一般人は、宗教を毛嫌いして知識だけ得てるのは、その辺でないかと推察します。

その社会から与えられてる環境で、いかに自律しながら、愛を与えていくか？
どこの環境にも向き合って、考え行動出来る器も人には求められてる様にも感じます。

嘘とごまかしなく、

宗教と向き合うこと。
社会に向き合うこと。
神仏人と向き合うことが、

僕は大事に思います。賛否は人それぞれで、
自分にあった栄養を吸収しながら、愛する技術を人と関わることで磨く。

もうフロムの本は何年も読んでないですが、書き込みがあったことが凄く嬉しく思います。

ありがとう。

[2] mixiユーザー 12月11日 21:00

「精神分析と宗教」　Ⅰ「問題」(2頁～12頁)

　縄文時代の平均寿命は、出土した骨の調査から約15歳と推定されています。　江戸時代になると、30～40歳といわれ、昭和２２年だと、男性は50歳です。　平成28年には、男性約81歳となりました。
　地球史46億年の中で、1万年前に人類は農耕を始めました。46億年を460mの道に例えると、1万年は1mmです。そのわずかの間に、人類は物質文明を築き上げました。

　全ての動物は、目の前に危険が迫ると、それを避けようとするでしょう。人間は、危険を避けるだけでなく、環境に働きかけ、環境を変えることによって寿命を延ばしてきました。　人間は、そのことによって充実した人生を送れるようになったでしょうか？　平均寿命が延びても、目の前に食べ物があっても、ヒトは、やがて自分は必ず死ぬということを知っていて、生きることの意味を見出せなかったりします。

　ヒト以外の動物は、精神分析や心理学を知らないし、また宗教を持つこともないでしょう。　そしてその宗教には、死と向き合う宗教と死の不安を忘れるための宗教があるように、私は思います。

[3] mixiユーザー 12月13日 12:22

「精神分析と宗教」　Ⅱ「フロイトとユンク」（13頁～28頁）
　フロイト　1856年生　精神科医　ユダヤ系　　フロム　1900年生　ユダヤ系
　フランクル　1905年生　精神科医　ユダヤ系　マズロー　1908年生　ユダヤ系
　ブーバー　1878年生「我と汝」　ユダヤ系

　私が、フロイトの存在を知ったのは、今から約40年以上も前、高校生の頃だったと思います。　自分自身の行動を振り返った時、知らない間に選んでしまっている行動とか、わかっていても止められない行動があり、どうしてだろうと考えていた時、小此木啓吾氏等の著作から「無意識層」という言葉と一緒に知ったのだと思います。

　そこで「夢判断」を読んだのですが、理解できませんでした。フロイトに関する解説本を何冊か読み、自分の行動の選択について、なるほどそうなのかと思う一方で、エディプス・コンプレックスに納得できなくて、そのうち、ユンク（ユング）を知り、アドラーを知りました。
　14頁に、「フロイトは宗教に対して反逆的であり、ユンクは友好的である、という一般的見解を修正する」ことが、この本の意図のひとつと書かれています。

　原始仏典に、「生聞一切」という経典があり、釈尊自ら「一切（存在と認知）」について語っています。　要約すれば一切とは、「色（対象）」と「受想行識（認識）」である、と。　フロイトは、確かに宗教に対して「批判的」だったのだと思います。ただ、フロイトが捉えた「宗教」は、フロイトの「色と受」であって、「宗教のすべて」ではないと思っています。

　フロイトを通して、ユンクを知り、最初は魅かれました。深い深い精神世界ジャングルにあって、他の人は、地図を作ろうとしたり、そこを抜け出そうと考えたりしている中、ユンクはジャングルから抜けることは考えておらず、目の前の植物の輝きに見とれている印象を受けました。　ジャングルの中で息苦しさを感じないうちは、それでもいいかもしれません。　緑に見とれているうちに、つたに絡まって身動きが取れなくなった時、ただ見とれている人とは相談できない、そう思うようになりました。

[4] mixiユーザー 12月14日 18:00

「フロイトとユンク」
　40数年前、フロイトを知ったことにより、「人間の行動は意識だけが決定しているわけではない」と思うようになりました。　しかし、エディプス・コンプレックスは、理解できませんでした。
　行動分析学では、人間の行動を説明するにあたって、無条件反応、レスポンデント反応、オペラント反応で説明したりします。　やはり、人間の行動は意識だけで決定しているわけでないということでしょう。　アドラー心理学では、原因より目的に注目します。
　そういうこともあって、ここ40年は精神分析よりも、他の行動理論に興味を抱き続けてきました。　フロムの著作を読むことで、再びフロイトに関心が生まれました。著作よりも、その生い立ちなどに。
　鈴村金彌著、「フロイト」清水書院を読み始めました。
　いきなり精神分析理論や技法が出来上がったわけでなく、長年の模索があったことを知りました。
　その模索の過程はとても面白いと思いました。しかし、理論が出来上がった後の活動についてはやはり、あまり関心がもてません。

[6] mixiユーザー 12月15日 09:40

「精神分析と宗教」　Ⅲ「宗教体験のある種の型の分析」（29頁～81頁）

　冒頭に「宗教に関する論議は、用語上の大きな困難ゆえに制約されている。」と書かれています。（30頁）
　そして、フロムが使う「宗教」という言葉の定義が書かれています。
　「およそ、一つの集団に共有され、そして各個人に構え（orientation）の体制と献身の対象とを与える思考と行動との組織一さい」（30頁）

　フロムが使う宗教という言葉の定義はされていますが、「一神教」という言葉については定義されていません。
　一神教について定義し、語るだけで、一冊の本以上になると思います。実際、この本を読み進む中で、「一神教」と表記は同じであっても、意味が全然違う「一神教」があることが明らかになってくると思いますが、世間一般でいう一神教の「一」は、「一、二、三…」の「一」であり、それとは別に「全一」という意味の「一」での「一神教」があることを忘れてはならないと思います。　一、二、三の一と捉える人は、要素論を基本としていることでしょう。　全一の一と捉える人は、要素論ではなく、汎在神論、全体論を基本としているでしょう。

　このことは、最終章まで読み進むとより明らかになります。
144頁には「厳密に一神教的な立場からしてさえ、神という言葉の使い方は問題とされる。聖書はいかなる形にしろ人は神の像を彫（きざ）んではならぬ、と主張する」と書いています。
　
　簡略に言い切ってしまえば、一神教にも偶像を崇拝する一神教と偶像を否定する一神教があるということでしょう。引用が長くなるのでここには書きませんが、142頁から150頁にかけて、私はそのように読みました。

[7] mixiユーザー 12月23日 11:03

「精神分析と宗教」　Ⅲ「宗教体験のある種の型の分析」　一神教に関して

「十戒」　洗礼を受けたキリスト教徒でない私も、「十戒」という言葉を知っています。同名の映画も、何度か見ました。
　つい先日まで、十戒は十の「戒め」だと思ってきました。　ところが、旧約聖書の原典、ヘブライ語では、出エジプト記の十戒の部分は「十の言葉」という意味であり、「戒め」「命令」という意味はないと知りました。

　日本語に訳された聖書の十戒の部分を見ると、例えば
「あなたは、自分のために、偶像を造ってはならない。」
　と禁止・命令形で書かれています。しかし、原典のヘブライ語の意味では命令形ではなく、「（奴隷の家から導き出され）救われたあなたは、当然偶像を作ったりはしないだろう」「救われたあなたには、存在そのもののわたしの他に、他の神々・偶像があるはずがないだろう」という表現になるそうです。　つまり、救われた体験があり、その実感を保ち続ける生活をするには、当然「あなたは」～するであろう、という表現になります。

　戒律を守れば救われるということではなく、救われたことを忘れないでいる暮らしをするには、当然偶像を作らないだろう。

　私はこのことを知り、道元禅師のことを思いました。
　一般的に、七仏通戒偈は　
　諸々の悪事をなさず、自分を清めなさい、これが仏になるおしえだ　と訳されます。

　しかし、道元は、一度「清浄」を知ったならば、悪をなすことができなくなるし、自分を清らかに保とうとし続けるだろう、と訳しました。　悟りを得るために禅・瞑想をするのではない、と。

　ただ、モーセとエジプトを脱出した民も、山に籠ったモーセを待ちきれなくて、偶像を作ってしまうことが旧約聖書には書かれています。　嗚呼。

　これまでのコメントに対して、直接感想を語りたい人は、以下の電話におかけください。
０７３５－３０－４５６０　熊野健康接骨院

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