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怖い話スキーコミュの作業妨害

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 誰でも自分の「領域」というものを、他人に土足で踏みにじられるのは耐え難いものだと思う。たとえば、丹精こめた花壇の花を、どこの誰とも知らないやからに持ち去られたら…ふつうの人間なら激怒すると思う。花泥棒は罪にはならない。そんなことは、よほどの余裕のある者の、たわごとにすぎない。そうではないかな?
 そう。それくらい自分の「領域」「領分」というものは不可侵なものなのだ。
 …大阪府下のS市内で、小規模ではあるけれど分譲住宅が建てられることになった。
 小規模とはいっても、それなりにけっこうな敷地面積である。その一角にはプレハブ小屋が設けられていて、昼間は作業員が休憩をしたり、会社の人間が会社の事務仕事をするためにあてられていた。
 そして夜間は、というと管理人が詰めていた。
 Yさんは夜の間、作業現場に不審な人物が入り込んだり、運び込まれた建材等に異常はないか見回ったりするために会社に雇われた、夜間管理人なのであった。
 契約は半年あまり。もう若いとはいえないYさんではあったが、若い頃から警備畑でならしていて腕っぷしは、ひとかどで自負するところがあった。
 このような仕事には、うってつけであったといえるだろう。
 作業員が引き上げる頃。十分に仮眠をとったYさんは、出勤してきた現場の責任者に挨拶をし、昼間の警備兼車両誘導員と交替手続きをし、それから仕事にかかる。
 …初夏がちかづいているのにもかかわらず、どうかすると小寒さすら感じる、雨がちの時期であった。
 現場の周囲は小工場の、くすんだブロック塀が続き、人がいるのかいないのか古びた民家が続き、道路に面しているのにもかかわらず、ひっそりとした雰囲気である。そうしてシートを張りめぐらせ、夜間灯をいくつもつけているとはいえ、外部から現場に入り込もうと思えば、そう難しいことでもなかった。
したがってYさんにやることはいくらでもあった。
 定期的に巡回し、敷地内チェックする。道路で車両の停車する気配があれば、外にでて警戒の目を向ける。資材を盗もうとする者も、皆無とはいえないからだ。
 Yさんはマニュアルに忠実であり、何よりも熱心であった。
「Yさん」
 ある日、いつものように出勤してくると、現場責任者が渋い顔をして近付いてきた。Yさんよりも年下の、少し横柄なところのある中年男性であった。
「ちょっときてくれないか」
(何か、トラブルでも起こったのか?…)
 Yさんの悪い予感は的中していた。
「これを見てくれよ」
連れていかれたのは資材置場だった。毎日小雨がちで、防水シートかけてある資材の小山のひとつを指差してから、現場責任者はシートを無造作にめくった。
 搬入したばかりの真新しい木材に、傷が付けられていた。小さくはない傷だ。そして偶然についたものではないことは、一目でわかった。
「な。見てのとおりだ。確かにこれで木材がへし折れることはない。研磨すればごまかせるだろう。でもいいたいことはわかるよな?」
「しかし Sさん(現場責任者)…」
 自分は昨日もマニュアルどおりに点検はしたし、最後にシートをめくって確認はしたが、こんな傷はなかった。…Yさんは要約すればそんな意味の抗弁を試みた。けれども現場責任者の態度は、けんもろろであった。
「あのさ、あんたを雇っているのは、どっかのバカにこうゆうことをさせないために雇っているんだ。今回は初めてとゆうこともあって、俺の胸の中にしまっておく。今後同じようなことがあれば、上に報告せざる得ない。そしたら…わかるよね?」
「……はい」
 現場責任者が去ってから、Yさんはいいようのない怒りをおぼえた。
(いったい、どこのどうつが、やりやがったんだ!?)
…地上げ(当時)が横行しているのは自分もしっている。このあたりも都心部までさほどかからない距離にあるということで、町並みが大きくかわろうとしている。意に反して立ち退かされた住人もいたかもしれない。そういった人間が恨みでこうゆう行動に出たのだろうか。

つづきまたコメントに書きます。

コメント(14)

つづきです。

もしもそうならYさんは、とんだとばっちりを受けたことになる。
(それにしても、いつの間に)
 少し冷静さを取り戻したYさんは、無意識に傷をなぞっていた。
 よくよくみれば、妙な傷ではあった。力任せに違いないだろうが、どうも刃物や釘のたぐいで刻んだものではなさそうだ。ささくれたそれはジグザグに走り、下のほうに向かってのびている。
「ん?」
 ひょいとYさんは傘を斜めにして、かがみこんだ。

 ……歯型。資材の一番下。傷がとぎれている場所に…人間の歯型がくっきりと、ついていた。
(まさか搬入される以前から、こんなもんがついているはずがないな。だったらこいつも傷をつけたやつがやったのか?)
 しかし、地面すれすれの箇所なのだ。上に載っている資材を一度除けて…といったマネは重量を考えれば絶対にできない。だったらどうやってどんな姿勢をとれば、こんなところに歯形をつけることができるというのだろう?
(そういえばこのジグザグの傷も、歯を使ったように見えなくもない。かじったとでも?歯が裂いたとでも…まさか)
 Yさんはなにかうすら寒いものを感じた。

 その後、建築資材への悪質ないたずら、あるいわ嫌がらせは、跡を絶ってたかというと…まったく正反対であった。
 Yさんは最初の一件依頼、それこそ非常な努力で犯人の姿を求めていた。巡回も規定の2倍3倍とやり、プレハブにもどっても窓越しに何十分も外を…資材置場のあたりを見ていた。
 にもかかわらず最初と同じような傷がつけられることは、2度3度繰り返された。不審者の影も姿も見当たらないというのに。
 悪臭を放つ汚物が、シートの上にぶちまけられていたことがあった。どうやら小便のようだ。
 
 また、あるときはなどは腐乱して、グズグズになった犬の死骸が飛び散っていた。そのなかには黒いものが混じっていて、鼻を押さえた現場責任者は無言でつまみあげると、Yさんにそれを突きつけた。
 ………房になった人毛だった。ウィッグなどでは、ない。その証拠に髪の毛先には少量であるけれど、かさかさに乾いた皮膚が、こびりついている。自分の髪の毛を力任せに、むしりとったのだろうか。それとも……
 Yさんはうなるざる得なかった。
(こいつはどうやらまともな精神状態の奴じゃない…)
 正直、大変なものに巻き込まれてしまったという思いが、あった。嫌がらせの規模は小規模ではあったが、執拗極まりなかった。現場責任者は最早、いちいち嫌味をいわなくなっていた。すでに上とやらに報告をすませているのでだろう。ということはYさんの解雇も時間の問題になる。
 悔しかった。この仕事に関しては、昔も今も誇りをもって勤めてきたYさんである。それがここにきて自分の人格や能力までもが、全面的に否定されたような気がした。現場責任者の報告書には、自分の職務怠慢云々という文章があるのに、違いない、そのことを思うと屈辱に頭の中の心棒がどうかなりそうな気がした。
 侵入経路はもちろん、姿すらとらえられない犯人。それはたしかに不可侵で、それ以上に気味がよくなかった。
 けれどもYさんの偏執的な怒りは、そんな感情をどこかにやってしまう。いつまで続けられる仕事がわからないにもかかわらず、Yさんはプレハブを出て、防水・保湿ウェアを着込み、資材置き場のすみで夜明かしをするようになった、もう、マニュアルも何もあったものではない。手には頑丈な警防があり、心の中に復讐心といっていい怒りがあった。

そして。
「うん?」
 夜明かしを始めて、数日後。Yさんは資材置場のシートがめくれるかすかな音を聞いた。
 誰かいる…
 夜間灯の光に照らされているのにもかかわらず、よく見てとれない。けれども資材の前に、じんわりとした影がみえる…
(あいつ…あいつかっ!)
 Yさんは怒りで視界がくもるのを感じた。とうとう見つけた…それ以外になにも考えられなかった。
(やった。見ろS!やっと尻尾を、つかまえてやったぞ)
 慎重に立ち上がり、腰の警棒を手に持ち直す。
 影は向こうをむいたまま動かない。何をしているのか手元もみえない。傷をつける音は伝わってこない。しかし不法侵入であることには間違いない。そして資材置き場にいるのなら、状況から何を考えられるかというのだろう。
(こいつこそ張本人なんだ。いままで散々自分を苦しめて、仕事をだいなしにしてくれた犯人。ただではおかない…)
「お前っ!!」
 Yさんは人影から数メートル近付くと大声をあげた。この距離ならにげようとしても、取り押さえる自信があった。そして、今までの経験から泥棒の類は大渇されると、案外、腰抜けになってしまうことも計算に入れていたのだ。
「そこで何してるんだ。ええ?お前だろ。今まで資材に傷をつけたり汚物をなすりつけたりしていたのは、もう警察にも連絡してある。今日は覚悟するんだな。ゆっくりこっちを向くんだ。」
 警察うんぬんはハッタリだったが、これで気の弱い賊なら抵抗する気力をなくしてしまう。
 しかし
「………………」
 影は動かなかった。逃げるそぶりも見せない。Yさんの指示に従う様子もない。
 少しうつむきかげんに黙って向こうを向いたまま、佇んでいる。Yさんの声がまるで聞こえていないかのように。
「おい!なめるのもいい加減にしろ!地上げの恨みか何かしらんが、こっちに迷惑をかけるのはお門違いなんだよ!おいっ!聞いているのか!」
 なめられている、Yさんはそう思った。Yさんは頭に血が上り始めた。本気で問答無用に警棒で殴りつけてやろうかとさえ考えた。
「こっちむけって言ってるんだ!貴様!」
 影がゆらりと動いた。


 ふらり、ふらり、ふらり…左右に揺れながら、それはYさんのほうにゆっくり向きをかえた。そして…数歩前にでてきた。
 Yさんは、夜間灯の下、黒いジャージを着ているように見えるそいつが、
(何かがおかしいが、何がおかしいのかわからない)とゆう思いにとらわれていた。
 どうしてこいつは、両手をうしろに回しているのか?武器を隠しもっているのか?それに、なぜ目鼻が見えないほどに黒い帽子を目深に被っているのだろう?目出し帽代わりにしても、これでは何も見えないだろうに?
「…うっ いぎ!?」
違う。ぜんぜん違う。違うのだ。
両手を後ろに回しているのではない。腕は肩からずぼっとぬけ落ちていた。そして顔は、帽子が隠しているのではない。
 口から上は、顔が削がれたようになくなっていたのだ。帽子だとおもったのは…
そいつの向こうに、果てしなく広がる暗闇だった、
 つまり。
 目の前にいるのは。
 ふらり、ふらり近付いてくるものは…。
 生きてるものではなかった。
「ふわっ。うわぁぁ」
 Yさんは、起こっていることがよくわからなかった。
 Yさんは大きく叫びながら、プレハブまでもどった。
 中に飛び込み、簡単なプッシュ式のキーしかないため慌ててそれを押し、ドアを閉めた。
(そうとは知らなかっただけで、自分はとんでもない仕事に就いていた。)
(まだ、それは終わっていない)
 という思いであった。
 …………ガン!
 もたれかかっていたドアが、ものすごい力で外から体当たりされた。
 ガガンっ!
(あいつが…すぐそこにいる。)
 ドアは上半分がすりガラスだったので、わかりにくいが外の様子がなんとなく伺えた。
 ガチャガチャと、ノブを何回もまわされた。両腕がない「あいつ」がどうやってノブを回しているのか。ドアノブを「あいつ」が、がちがちと噛んでいる姿をドアのすりガラスの向こうから見えてわかった。
(あいつが入ってきたら…この中に入ってきたらどうなる)
 やがて。ノブの動きはとまり、静になった。
 Yさんは窓から日除け外をのぞいてみる。
 いない。ドアの側にも、資材置場にも。どこにも黒い影はいない。

 その分譲住宅の夜間管理人におこったトラブルは内々で処理されやがて工事は完成した。けれども売り物件の看板が掲げられたり、引っ込められたりそうこうしているうちに住宅は価値をさげつづけていった。
 住宅群の建設や売買にかかわった企業等でも担当者の不審死や失踪があったようだ。
 ……バブル期に横行した地上げでは、多くの人がうまい汁をすった陰で、多くの人が泣かされたり、その後の人生をめちゃくちゃにされたという。
 誰もが、かけがえのないものと思っているものを踏みにじってお金に変えてきた。
 けれども、かけがえのない「領域」や「領分」は人の側だけにあるとは限らない。
 そこを侵したときに何が起こるか…誰もわからない。



おわり
え"っexclamation & questionあせあせ(飛び散る汗)………え"っー(長音記号1)exclamation ×2あせあせ(飛び散る汗)終わりですかっexclamation & question冷や汗





………続きは、ないですかexclamation & questionあせあせ
あんまり怒鳴り散らすと、アッチも逆ギレするから・・・
下手すると朝明けるまで事務所などに逃げ込むようになる。

場所悪いと、沢山群がってきて事務所中の扉、窓を叩かれたり・・・

下手すると憑いてくる。

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