2. チャイメリカという造語は、ハーバード大の経済史家ファーガソンのものだ。The Ascent of Money 2008の末尾で登場する。これはWonderful dual economyだという。この影の帝国は、世界陸地の1割を占め、人口の25%を占め、生産の33%を占め、過去8年の世界GNP増加分の半分を占める(矢吹111ページ)。これはまさにmarriage made of heavenではないかと彼は皮肉る。そこを直撃したのがリーマン・ショックだ。下図は英『エコノミスト』2009年1月24日号「マネーフローが洪水になるとき」である。※図は掲載できないため省略 中国の楼閣から溢れる洪水が米国のサブプライム住宅を押し流す。米国の下層階級にマイホームを提供したのも、それを押し流すのも、チャイナマネーだ。洪水のような輸出で外貨を貯め、それで米国債を買う。
4. ペンタゴン(国防総省)は2010年8月に発表した国防白書で中国軍の国際貢献を称賛して、International Public Goods(国際公共財)を運んでいると指摘した。国連の平和維持活動、反テロ活動、国際的災害救援活動における中国軍の役割を評価したものだ。誠に皮肉な話だが、前原外相がニューヨークでヒラリー長官と会い、日米安保は国際公共財と言ってもらい有頂天になったのは、国防白書の1カ月後だ。安保=国際公共財論は、大報道されたが、中国軍に同じ表現を用いた事実は日本マスコミではいまなお報道されていない。偏向報道の一例だ。
6. 6月8 日のドニロン米大統領補佐官(安全保障担当、国務省スポークスマンではない) 記者会見。オバマ米大統領と、3 月の全人代で就任した習近平国家主席が互いに早期の会談を通じ、「腹を割った話し合いをしたい」と望んでいた背景。ドニロン補佐官によると、両首脳の会談は当初、ロシアのサンクトペテルブルクで20 カ国・地域(G20)首脳会合が開催される2013 年9 月まで実現しない予定だった。しかし、これでは「間が空きすぎる」として前倒しを決め、米国側が中国側に働き掛けたところ、中国側は渡りに舟とばかり即座に応じた。会談時間は2 日間で計約8 時間行われた。2 日目の8 日には通訳だけを交えた約50 分間にわたる「両首脳の密談」も持たれた。オバマ・習近平の「秘密会談」を強調して、ドニロン補佐官は次のように述べている。「オバマ大統領と習近平国家主席は、1対1の対話のために散歩に出た。通訳だけしかいない、本当に1対1の対話であった。その対話は今朝50 分行われた。そこでは米中間のいくつかのカギになる争点が話し合われた。[これは2時間足らずのオバマ安倍会談とは雲泥の差ではないか。またケリー長官とヘーゲル長官が千鳥ヶ淵へ献花したのも初めて。日米の同床異夢は、要注目](Donilon reported, on the last morning: “… President Obama and President Xi went for a walk to have a one-on-one meeting ― a true one-on-one meeting ― with just interpreters present. That meeting lasted for about 50 minutes this morning ― and again, talking about a number of the key issues between the United States and China.”) ※文字化けのため、中国語部分省略