☆北京に住んでる人☆コミュの第100回北京日本人学術交流会のお知らせ

みなさん
お世話になっています。

山口直樹＠北京日本人学術交流会です。

とうとう北京日本人学術交流会が、記念すべき第100回を迎えます。これまでには
http://www.nihonjinkai.org.cn/html/doukoukai/beijingribenrenxue-jiaoliuhui/201105/19-1072.htmlということをやってきました。
2008年1月に始まって以来、日中関係をはじめとして国際関係、政治、文化、経済、歴史、社会、文学、思想、哲学、科学技術、メディア論など多様な分野で継続的に日中共同討論をおこなってきました。また日中サイエンスカフェ、日中歴史カフェ、日中経済カフェ、日中文化交流カフェなど映像を用いた実験的な試みも行ってきました。
こうした試みに留学生、社会人、ジャーナリスト、研究者、日本人だけでなく中国人、韓国人、オーストラリア人などこれまででのべで約3000人の方々に参加いただいてきました。
今回は、そうしたさまざまな試みの総決算となる回となります。日中の知を結集させる試みにご注目ください。
第100回北京日本人学術交流会は、二部構成で行われます。
第一部では、湯重南氏（社会科学院研究員）に「満鉄中央試験所の技術者たちの日中技術交流―丸沢常哉氏を中心に―」という報告をしていただきます。湯重南氏は、中日関係史学会編『新中国に貢献した日本人』（日本僑報社,2005 ）に丸沢常哉氏についての論文を書かれています。実は、北京日本人学術交流会は、代表の山口直樹氏の「満鉄のなかの科学技術―満鉄中央試験所の活動をめぐって」という報告から始まっています。
南満州鉄道株式会社（満鉄）のなかに設立された満鉄中央試験所という「満州」の化学工業の中心となる研究所の最後の所長は、丸沢常哉という化学者でした。
ソ連軍が、「満州国」になだれ込んできた終戦時、関東軍がいちはやく「内地」に逃げ帰る状況のなか丸沢氏は、新中国に10年も滞在し、中国の技術者に技術を教えていました。
日中関係が最大の危機を迎えているといわれる現在、一般にはそれほど知られているとは言いがたい丸沢常哉という化学者を想起し、日中の技術交流について考えます。
そして、もうひとつの報告では、賈蕙萱氏（北京大学教授）に「中日間の文化的差異からその相互補完関係を考える」という報告をしていただきます。
日本と中国の文化の特徴を探り、その相互補完関係を考えることを通して日中の戦略的互恵関係を探るという未来の日中関係にとって非常に重要と思われるものです。
第二部では、ほぼ100人の参加者の方からいただいたメッセージを掲載した北京日本人学術交流会第100回記念メッセージ集を出席者全員に配布します。かなり分厚いものになりますが、このメッセージ集に寄せられたほぼ100のメッセージの中から重要なものをピックアップして紹介しながら、これまでの100回の北京日本人学術交流会の歴史を映像や写真、などを使いつつ代表の山口直樹が、総括します。
また溝口雄三氏と「日中知の共同空間」のプロジェクトを行った孫歌氏からのメッセージも当日会場で読み上げられる予定です。さらに、ゲストできていただいた多彩な人々にもその場でコメントを頂く予定です。
関心がある方は、ご参加いただければ幸いです。
参加を希望される方は、10月16日（水曜）深夜までに連絡係の吉田氏（pngk218523@gmail.com）までお申込みください。席に限りがありますので先着順とさせていただきます。参加希望の方は、早めにお申し込みください。
（また当日は人民網などメディアの取材カメラが入る予定ですが、あらかじめご了承ください。）
どうぞよろしくお願いいたします。
以下の要領で開催されます。
◎日時：10月19日（土曜）午後1時から午後6時ごろ（12時半開場）
◎ 場所：国貿のSK大厦三階国際交流基金多目的ホール
◎ 司会進行：山口直樹氏（北京日本人学術交流会代表）高向東氏（TBS）
第一部報告（午後1時から午後3時半）
◎報告者：湯重南氏（中国社会科学院研究員）
賈蕙萱氏（北京大学国際関係学院）
◎テーマ「満鉄中央試験所の技術者たちの日中技術交流―丸沢常哉氏を中心に―」
「中日間の文化的差異からその相互補完関係を考える」
コメンテーター：周永生氏（外交学院教授）
それぞれ挨拶と前説5分、報告40分、質疑応答20分、コメント５分。
第二部：北京日本人学術交流会の全100回を振り返る（午後3時半から午後6時）
北京日本人学術交流会第100回記念メッセージ集に寄せられたほぼ100のメッセージの中から重要なものをピックアップして紹介しながら、映像や写真、などを使いつつ、代表の山口直樹氏が、北京日本人学術交流会の歴史を総括する。
ゲストからコメントもいただいて日中の未来について総合討論。
◎参加費（60元：資料代、運営費：いつもと異なり配布資料が多いのでいつもより若干高めですが、ご了承ください。）
◎ 言語：主に日本語（ときに中国語）
◎ 予定しているゲスト（：現在交渉中の方もおり、必ずしも全員来られるわけではないのであらかじめご了承ください。）
宮内雄史氏（東京大学北京事務所所長）
池上善彦氏（元『現代思想』編集長）
加藤隆則氏（読売新聞中国総局長）
三上正裕氏（在北京日本大使館公使）
王衆一氏（『人民中国』編集長）
高海寛氏（中日関係史学会理事）
井上亘氏（北京大学歴史系教授）
歩平氏（社会科学院近代史研究所所長）
梁爽氏（清華大学日本語学科）
徐園氏（中国人民大学講師）
田中政道氏（魯迅博物館カメラマン）
林同勇氏（五道口カフェ2ndplace経営）
峰岸宏行氏（メイドカフェ「屋根裏」経営）
大西邦佳氏（留学生雑誌『TOKOTOKO』編集長）
薛偉氏（中国語学校“説吧”総経理）
大上智子氏（長江商学院）
黄静波氏（清華大学「次世代」）
于智為氏（清華大学「次世代」）
潘　明宇氏（中国青年国際交流センター）
ほか多彩なゲストを予定。
報告要旨
◎タイトル：【満鉄中央試験所の技術者たちの日中技術交流―丸沢常哉氏を中心に―】
報告者：湯重南氏（中国社会科学院研究員）
要旨：1904年の日露戦争勝利後、日本は、中国大陸に権益を得て、1905年に南満州鉄道株式会社（満鉄）という植民地会社を設立した。
このなかに初代総裁の後藤新平によって、満鉄調査部などの社会科学系のシンクタンクのほかに自然科学系の研究機関も設けられていた。1907年関東都督府中央試験所として成立し、1910年に満鉄のなかに移管された満鉄中央試験所である。この満鉄中央試験所の研究は、満鉄調査部のそれにくらべるならば、まだまだ進んでいない。
満鉄中央試験所は、初期は「満州」の衛生調査などを行っていたが、次第に「満州」の代表的な化学工業の研究所へと成長していく。
この満鉄中央試験所の最後の所長だったのが、化学者の丸沢常哉氏である。
私は、中日関係史学会編『新中国に貢献した日本人』（日本僑報社）で丸沢氏についての論文を発表したことがある。
丸沢常哉氏は、1883年現在の新潟県高田市に生まれ、東京帝国大学工学部応用化学科を卒業後、ドイツ留学などを経て、九州大学教授、旅順工科大学教授、大阪大学教授などを歴任し、1936年には満鉄の顧問と同時に満鉄中央試験所の所長となった。四年の任期で一度は満鉄中央試験所を離れるが、終戦直前の1945年7月再び満鉄中央試験所の所長に就任する。
終戦時、満鉄の各部署では、上層部からの司令で、研究資料を燃やしたところも多かった。しかし、丸沢常哉氏は、上の命令に抗してまで満鉄中央試験所の研究資料を守り抜こうとした。満鉄中央試験所の研究資料は、人類共通の遺産だと考えていたためである。研究所は、ほぼ無傷のまま、まずソ連に接収され、その後、新中国に継承され、現在は大連化学物理研究所となっている。
今回の報告では、丸沢常哉氏と満鉄中央試験所との関係、とりわけ1936年からの4年間の所長時代そして終戦時からソ連に接収されている時期、新中国に接収される時期の三つの時期に分けてそれぞれについて報告したい。また、接収された新中国の研究所には、郭末若の息子、郭和夫氏など中国のすぐれた技術者がいた。丸沢常哉氏と彼らの交流を探り、日中技術交流がどのようなものだったかを考える。
終戦時、ソ連軍が「満州国」になだれ込んできたとき関東軍は、いちはやく「内地」に逃げ帰った。そうしたなか満鉄中央試験所の責任者の丸沢氏が、1955年までの10年間、中国に残って中国人に技術を教えていたというケースは、それとは対照的なものであるといえる。日中関係が最大の危機を迎えているといわれる現在、北京日本人学術交流会第100回を記念するこの会で、このそれほど一般的に知られているとは言い難い化学者のことを日中で想起することの意味は、決して小さくないと私は考える。
◎タイトル：【中日間の文化的差異からその相互補完関係を考える】
報告者；賈蕙萱氏（北京大学国際関係学院）　　　
本報告では、主に中日の文化的差異を確認したうえで、その相互補完関係について考える。中日两国国民の個々人の性格は千差万別であるが、大多数の人々の物言いや振る舞いには、法則的特徴がみられる。これを比較するならば、両者の間にはおのずと違いが出てくる。例えば、中日两国国民の思考パターンは違いがある。中国人の多くは「マクロ的思考」であるが、日本人の多くは「ミクロ的思考」である。ところが两者の差異には相互補完関係がみられる。周知の通り、「マクロ的思考」をする者は物事の大まかな部分をみるが、「ミクロ的思考」をする者はものをきめ細かくみる傾向にある。もしこの「マクロ」と「ミクロ」を相互補完の関係におくならば、両者をふまえた形の効果的なものの見方となる可能性が大きい。また、两国人の行動パターンを見ると、中国人は「柔軟で融通が利く」のに対して、日本人は「きちんとルールを守る」傾向にある。もちろん、上記の二つの行動パターンは相互補完関係を持っている。このような文化的差異は、枚挙に暇がない。
　この問題を考える目的は次の通りである。中日两国国民が互いの長所をとって、短所を補うこと促すことによって、お互いの理解が深まり、近くて遠い国家関係から友好的な隣国となり、戦略的互恵関係の実現の可能性を探ることである。
（以上）
　　　　　
北京日本人学術交流会代表：山口直樹（ngodzilla2185@gmail.com）
http://j.people.com.cn/96507/97399/6683166.html
これまでの北京日本人学術交流会の記録
http://www.nihonjinkai.org.cn/html/doukoukai/beijingribenrenxue-jiaoliuhui/201105/19-1072.html

エスペラント版
http://www.espero.com.cn/se/txt/2013-01/29/content_515338.htm
第89回北京日本人学術交流会の様子

http://beijing.shvoice.com/community/5588.html

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