ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

平澤智コミュの高橋克彦『火怨』-北の耀星アテルイ

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「AKURO 悪路」観劇の参考資料(?)として読みましたので、ちょっと紹介します。

蝦夷をまとめ22年もの長きにわたり大和朝廷軍と戦い、一度も負けなかった阿弖流為(アテルイ)の半生を描いた作品です。

阿弖流為の右腕であり策士である母礼(モレ)の策により、また阿弖流為を慕い、母礼の策を忠実に実行してのける猛者たち、伊佐西古(イサシコ)、飛良手(ヒラテ)、猛比古(タケヒコ)たちの働きにより、何度となく何倍もの兵を率いる朝廷軍に勝利し続けます。

しかし蝦夷を人とみなしていない朝廷に何度勝利しつづけようと、戦は終わらない。和議とは対等の立場のものに対して図るものであり、朝廷が臨んでいるのはただ蝦夷の降伏のみ。

最後に、朝廷軍の将として坂上田村麻呂が登場します。田村麻呂との戦いはこれまでの戦いとは違っていた。田村麻呂は唯一、蝦夷を人として見ていた将であり、蝦夷の強さも十分にわかっていたから。
最後に、阿弖流為はある策を用い、蝦夷を戦いから開放する。朝廷の将が田村麻呂だからこそできた策であった。
------

ネタばれに気を使って書くと、こういうお話です。
また、物語の背景となる状況としてはこんな感じ。

------
朝廷による本格的な蝦夷討伐は、陸奥の地に黄金が出たのが端緒。
それまでは、蝦夷を得体の知れないものとしてさげすみ境界を定め見張ってはいたものの、蝦夷は陸奥で平和に暮らしていた。

朝廷は仏像建立のために黄金がほしかった。陸奥に黄金が出たという知らせは朝廷を歓喜させた。今まで辺境と打ち捨てられてきた陸奥がにわかに宝の国となったのである。
蝦夷は黄金などいらなかったから、ほしいのなら勝手に取っていけばいいと朝廷を静観し、朝廷のふるまいに耐えてきた。しかし朝廷は蝦夷をもって蝦夷を制するという侮蔑的な政策に転じ、蝦夷の中にも朝廷に恭順するものが出てきた。

朝廷は黄金を求め、いずれ陸奥の奥深くまで踏み荒らすであろう。このままただ耐えていたのでは蝦夷は戦わずして壊滅する。危機感を覚えた蝦夷は守りの戦のための準備を進め、そして蝦夷の抵抗が始まったのである。蜂起した蝦夷による小競り合いが続き、ここにきてやっと朝廷はいままで侮っていた蝦夷がじつは強靭な敵であったと悟る。

そして780年、天皇は蝦夷討伐の勅を出す。「兵を用い、卑しい蝦夷の残党を刈り取り、もって敗残兵を滅ぼしてしまうように」と。

蝦夷を「卑しい者」と断じたこの勅により、蝦夷は誇りを深く傷つけられるものとなった。これまで朝廷に従っていた蝦夷もこの勅によって朝廷から離反した。ここに蝦夷はひとつにまとまる時期を迎えたのである。
その中心となったのは、阿弖流為の父、阿久斗が治めている胆沢(いさわ)の蝦夷たちであった。

阿弖流為は若くして蝦夷の長となり、小さな集団が点在するだけだった蝦夷をひとつの大きな力としてまとめていく。
------

「AKURO」はアテルイの死後、坂上田村麻呂の指示により蝦夷の監督に来た安倍高麿が、謎の若者(幽霊?)に導かれ、蝦夷討伐の真実を知っていくというお話らしいので、この『火怨』で描かれている世界とはまったく違うものになっているとは思いますが、そこに至るまでの戦いが過去を振り返る形で描かれるのかなと。。
現在公表されている役名には「アテルイ」はありませんが、その中でアテルイが登場しないわけがないので、、、きっとあの人がそうなんだろうなーと想像してます。

謝先生も、この『火怨』について、作品を作るに当たってとても参考になったと語ってらっしゃいますし、読んで損はない作品です。

劇団☆新感線により上演された「アテルイ」は同じ題材を扱ってはいますが、また全然違うお話です。あまり多くの事実が知られていない時代のことだけに、いろんな解釈というかお話の創造ができるんだなぁと思います。二作品に共通してるのはアテルイと田村麻呂の友情(というべきか?)ですかね?

「悪路王」「鈴鹿御前」「坂上田村麻呂」に関してはいろんな伝説、お話があるようです。ネットで調べてみてもいろいろ出てきますので、興味のある方はちょっと調べてみては?

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

平澤智 更新情報

平澤智のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング