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時尚産業コミュの日本企業が中国市場で成功するための必勝戦略

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・高い価格に納得するのは「ブランド」だから
 中国の衣料品は、物価の割りには高い。世界の一流ブランドは日本と同じ価格だし、百貨店の店頭を見ても日本と大差ない。しかし、百貨店は中国の標準ではないし、一流ブランドが高い価格でも売れるのは、それがブランド商品だからである。
 多くの中国人が買物している市場等に行ってみると、あまりの安さに驚く。日本製品を輸出する場合、ブランド商品ならばヨーロッパの一流商品との競合が待っており、ノーブランド商品ならば市場で販売されている一般製品との競合が待っている。
 中国の富裕層に自社製品を販売したいと考えている日本企業は、どちらかの競合に勝たなければならない。日本製品の特徴は、「品質の高さ」「デザインの良さ」と言うが、残念ながら多くの中国人消費者は品質やデザインを見極める選択眼を持っていない。テレビ広告で見た商品が一流ブランドであり、品質が良いと考えているのである。実際に、ヨーロッパのブランド企業は積極的に広告宣伝を展開している。「テレビCMに出てくる商品=有名ブランド=デザインや品質の良い商品」という思考回路が定着しているのだ。
 こうした市場特性は中国ばかりではない。60年代の日本でも同様だったはずだ。急激な経済成長で市場に出てくる商品は、全てが10年前よりも良い商品である。したがって区別がつかない。現在の日本市場にある商品は10年前よりも良いとは限らない。自分の目で商品を選び、媒体よりも口コミを重視するようになるのは、経済や消費が成熟してからのことである。

・プロモーションで認知度を高める
 中国市場で成功するためには、まず顧客の認知度を高めることである。どんなに良い商品でも認知されない商品は売れないのだ。
 商品を認知させることと、商品の性能、品質、デザインを理解させることとは異なる。とにかく、商品名やブランド名を認知させることが優先する。そのため現在の中国では、商品とは全く関係のないイベントを通して、ブランド名や商品名の認知度を高める活動が盛んである。「蒙牛」というヨーグルトメーカーは、日本の「スター誕生」のような新人オーディションイベントを展開し、一気に認知度を高めた。その結果、市場シェアも確実に増やしたのである。
 現在の日本市場では、アパレル企業がテレビCMを流してもあまり効果がない。むしろ、自社ブランドのターゲットに対応したファッション雑誌に集中的に商品を掲載させることが有効である。したがって、日本のアパレル企業は中国でも同様にファッション雑誌主体のプロモーションを展開しようと考えている。しかし、現在の日本と中国のメディア状況は全く異なっている。日本の方が進んでいるのだから、日本の販促方法が有効と考えるのは過ちである。
 中国はマス媒体によるマスプロモーション全盛の時代なのである。

・欧米企業のライセンス戦略を応用する
 広告宣伝の戦略を立てる時には費用対効果を考える。日本企業にとって、中国市場参入は様々なハードルがあり、日本のように簡単にはいかない。「店舗も売上も増えないのに、どうやってプロモーション費用を捻出するんだ」ということになるのは明らかである。
 中国市場で成功するには、プロモーションが欠かせない。しかし、日本企業はプロモーション費用を投資することができない。この矛盾をどのように解決するのか。
 私はヨーロッパ企業が日本市場に参入した時の方法が参考になると考えている。ヨーロッハ企業は、直接日本市場には進出しなかった。まず、日本のアパレル企業にライセンス生産を認め、広告を展開させ、売場を確保していった。そして、市場が成熟し、ブランド認知度も十分にあがり、店舗展開の予測も立つようになってから、ライセンス契約を打ち切り、直接進出に切り換えたのである。
 日本では、「日本企業がブランドを育成したのに、それを突然取り上げられた」という怨み節ばかりが聞かれたが、見方を変えれば、日本企業もかなりの長期間、有名ブランドを活用したビジネスを展開し、利益を上げてきたのである。
 ヨーロッパ企業は、中国市場進出に際しても、同様の戦略を展開している。某有名ブランド企業は最初に中国アパレル企業にライセンス供与を行い、10年後、ライセンス供与から直接進出に切り換えた。中国企業の反応は日本とは異なっている。10年間も利益を確保できたのだから、良い契約だった。今後も同種のライセンス契約があれば、是非取り組みたいと考えているのである。
 日本企業も自前主義を捨てて、まず中国企業にライセンスを与え、ブランド認知度を高め、それから直接進出に切り換えるという選択肢も検討すべきではないだろうか。多分、日本企業では「そんな方法では時間がかかり過ぎる」「独資企業を設立して、日本と同様に店舗展開すればいい」という意見が支配的に違いない。
 問題は、「自前で進出を決め、10年後に成功している姿をイメージできるか」である。自前で進出して、何年で黒字化する計画を立てているのだろうか。その計画通りに売上や利益は進行しているのだろうか。結局、プロモーションもできず、赤字を解消できず、撤退ということにはならないだろうか。取り越し苦労であることを祈りたい。◆
繊研新聞2006年5月11日付に寄稿した原稿です。

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