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時尚産業コミュの新百貨店構想に関する私論

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◆はじめに
 かつて百貨店は「小売業の王様」と言われた。しかし、王様はいつしか「裸の王様」になってしまった。
 百貨店人は「百貨店は場所貸し業」と言われるのを嫌う。しかし、場所貸し業である不動産ビジネスの世界でさえも、ITを導入しテナント企業の利便性を高め、時代に対応した新しいコンセプトを立案し、様々な業態を編集し、顧客ニーズに応えている。現在の百貨店業界は不動産業界より進んでいると言えるのだろうか。
 私自身、百貨店の商品本部に3年間、契約社員として在籍した。それ以前は、アパレルの企画担当者として百貨店の自主MDプロジェクトに参加していた。また、いくつかのリニューアルフロジェクトにも外部スタッフとして参加した経験を持っている。百貨店の問題は他人事ではなく、自分の問題として受け止めている。

◆ストアブランド企業としての百貨店
 百貨店の黄金期には、百貨店の包装紙に価値があった。中元歳暮では「一流百貨店の包装紙でないと恥ずかしい」と考える人が大勢存在したのである。百貨店は確かにブランドだった。そして、そのブランド価値が崩壊しようとしている。
 私は百貨店復活の第一歩は、そのブランド価値を認識し、ブランドビジネスを再構築することにあると思う。百貨店は自身が小売業なので、百貨店ブランド商品は百貨店で販売しなければならないと考えている。しかし、自社ブランドであっても、自社で販売しなければならないということはない。問題はブランド価値である。ブランド価値が維持できるのであれば、自社以外の通販やテレビショッピング、インターネットショッピングで展開してもかまわないだろう。
 資生堂の子会社であるふ専門店の「ザ・ギンザ」は、ザ・ギンザオリジナル商品として、ノベルティ商品を供給している。当初は、資生堂の化粧品のノベルティだったが、次第に他社にも拡販していった。
 たとえば、○○デザインの三越オリジナル商品をノベルティ商品として供給することもてのるだろうし、ファッション雑誌等と提携して通販をしても良いだろう。
 パリの老舗ディオールは、若手のアバンギャルドのデザイナーを起用している。その理由は、ディオールというブランド価値を保ち、ブランドビジネスを展開するためであり、若手デザイナーの服を販売するためではないのである。老舗百貨店も同様のことが言えるだろう。若手のアバンギャルドなデザイナーを起用することによって、ブランド価値を高め、そのブランドを活用したブランドビジネスを展開するという手法もありうる。
 たとえば、特定のデザイナーやクリエイターと提携して三越オリジナルの香水を開発する。高級時計を開発する。スカーフを開発する。販路は自社だけでなく、デューティーフリーショップや通販、専門店への卸売を行う。また、ファッション雑誌とタイアップしてオリジナルの下着やアクセサリーを開発するのも良いだろう。
 食品も重要な分野である。シェフや料理人と提携したオリジナル商品を開発し、店頭及び通販で販売するのである。場合によっては、コンビニのネット販売等との取り組みも有効だろう。
 これらの商品開発には、それぞれの分野の一流メーカーと取り組み、限定生産を基本とする。
 自社ブランド高めるためには、様々なイベント、ウインドーの活用など、百貨店が可能なことを全て試みるべきと考えている。

◆マルチチャネル、メディアミックスの小売業
 現在の百貨店は、店頭販売、店外催事、訪問販売、カタログ通販、インターネット通販等が縦割りで行われており、非常に効率が悪い。
 現在、通販業界でも百貨店カタログは不調であり、新しいカタログに人気が集まっている。また、カタログではなく、雑誌として書店で販売したり、実際の店舗を設置するなど、数多くのメディアをミックスした取り組みが好調である。
 百貨店も同様のことができるはずである。原則として店頭で販売している商品は、カタログに掲載されている。同時に、インターネットでも購入ができるようにする。
 店頭で販売した商品と一緒にカタログを配布できれば、通販事業のコストダウンにもつながる。勿論、これまでの総合カタログではなく、薄手の専門カタログに編集しなければならない。
 百貨店が楽天やライブドアと提携する時代も遠くはないだろう。本来ならば、百貨店が彼らの事業を先取りしていなければならなかったのである。

◆目利きによる商品セレクトと編集
 かつては百貨店に目利きが存在した。仕入れの神様と呼ばれた人たちである。しかし、最早百貨店内部にその種の人は存在しない。内部にいないのであれば、外部の人材を活用すべきである。
 目利きといってもバイヤーである必要はない。その道の専門家や職人、研究者でも良いし、趣味人、収集マニア、鑑定人でも良いのだ。たとえば、顧客に信頼されている芸術家、作家、主婦、趣味人がセレクトした商品を編集するという方法もある。
 私は、百貨店たるもの、世界中から顧客の喜ぶ商品を集める義務があると考えている。百貨店問屋に限定せずに、あらゆるメーカー、卸売商、作家、貿易商、収集家から商品を仕入れられるようにしなければならない。
 完全買い取りが困難な場合は、委託でも良いから商品を集めるべきである。たとえば、あらゆるジャンルのメーカーはテストマーケティングの場を欲している。質の高い顧客を持っている百貨店でテストマーケティングができれば、委託だけでなく、スペースの賃貸料を支払ってでも商品を供給したいという業者はいるだろう。
 また、最近は、東欧や中近東等、世界中のメーカーが日本市場進出を計画している。こうしたニーズに応えて、キャンペーン+イベント+販売会を計画すれば、顧客にも仕入れ先にも喜ばれるに違いない。
 こうした構想を実現するには、一回限定の取引口座を簡単に開設し、柔軟な仕入れができるようにしなければならない。特定の仕入れ先とのパイプを拡大し、依存を高めるばかりが仕入れ政策ではないだろう。

◆女性の人財力の徹底的な活用
 欧米の百貨店にはありえないが、日本の百貨店の常識となっているのが、男性の婦人服バイヤーである。これは、男性中心の企業文化ゆえだろうが、本来ならば婦人服のバイヤーは全員女性にするべきである。自身で試着もできない人間がバイヤーであるということが異常といえよう。
 同様に婦人アパレル企業も男性が多すぎる。まず百貨店が女性中心の婦人服組織をつくり、それをアパレル企業にも拡大するように誘導すべきである。現在、大きな問題とされているサイズ問題、環境問題等も女性の視点で考えた方が解決が早いはずである。
 5カ年計画で、百貨店の役員の三分の一を女性にする。10年後には半々にすることを目指すといった目標設定が望まれる。

◆社内起業家の育成
 百貨店はスペースを持っている。それを活用した社内起業家を育成することが、百貨店企業の魅力づくりにつながるだろう。
 まずは、社内起業家を募集し、企画書、経営計画書を提出させ、外部の専門家を含めた審査を行い、審査にパスすれば百貨店で資本を投資する。もし、起業家が自ら株式を買い取れれば独立させる、という制度である。
 もし、応募する候補者が出ない場合、社内起業のための教育を行うべきである。各百貨店が行えないのならば、協会が行うことが望ましい。
 社内起業を促すことは、独自の業態開発、商品開発につながるはずである。

◆サービス事業の展開、ソリューション型百貨店
 百貨店ブランドのサービス展開は有望な分野である。平出専務理事も話していたように旅行、健康、ペット関連、介護、スポーツ、スクール、趣味等、様々な分野が考えられる。これも全てを内部で開発するのではなく、外部とのコラボレーションが必要である。
 私は、百貨店は顧客の問題解決(ソリューション)を請け負う業態にならなければならないと考えている。物販に留まらず、あくまで顧客のための問題解決を図るのである。

◆街づくり型の新ビジネス
 私は、中心商店街の活性化はかなり難易度が高いと考えている。私も商店街の活性化の仕事をいくつか経験しているが、商店街の商店は高齢化が進んでおり、後継者もいない。また、店舗運営に必要な知識やノウハウも欠如している。資本力もない。
 こうした商店街と提携することは、ウインウインの関係にはならない。百貨店に依存するような取り組みになる可能性が高いのである。
 私は繊維産地の活性化も数多く経験している。行政と弱者連合という組み合わせは、最終的に保護政策となり、依存心を高め、自立を阻害してしまう結果になるケースが多いことを指摘しておきたい。
 企業としては、ウインウインの関係になれるような、好業績の企業と取り組むべきと考えている。嫌な言い方になるが、強者と組まない限り商店街や地域は活性化しないだろう。強者である地元の一流レストラン、地元企業、様々なサービス企業との取り組みを通じて、街づくりのビジョンを掲げ、弱者である商店街をリードするという発想でなければ成功は困難だと思う。


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