香港映画脇役悪役列伝コミュの【男優列伝】チャン･ユー(張翼)

1945年2月24日､日本占領下の香港に生まれる。本名･張伯燊。成人前､台湾の復興劇校にて京劇の所作､演技､殺陣などのトレーニングを8年間受ける。
1967年､香港へ戻るとショウ･ブラザーズに入社。端正かつ押出しの強いルックスとたくましく頑強な肉体､そして演技のみならずアクションにも高い身体能力を発揮し､デビュー間もなく主演作を撮るようになり､主に時代劇アクション映画で活躍する。同時期人気を博していたジミー･ウォング(王羽)､ロー･リエ(羅烈)､チェン･レイ(鄭雷)､チェン･ユアン(解元)を含め"邵氏五虎"と称され､新進スターとして注目を集めた。
しかし､1971年にジミーが契約トラブルの果てにショウ･ブラザーズから出奔。ジミーと交流のあった張翼も彼に追随し､共に新興のゴールデン･ハーベストに移籍する。ジミーとは勝プロ制作の港日合作映画『新座頭市･破れ!唐人剣』(71年)にも助演し､彼が台湾へ去った後も『怒れるドラゴン不死身の四天王』(74年)など複数の作品で競演を果たしている。ゴールデン･ハーベストでは当初から主演級スターとして迎えられ､作品の武術指導にはサモ･ハン(洪金寶)が就き､復興劇校の後輩であるアンジェラ･マオ(茅瑛)との共演が実現した。
しかしアメリカから戻り彗星の如く現れたブルース･リー(李小龍)の台頭でゴールデン･ハーベストでの居場所を失い､ジミーと共に台湾へ渡りＢ級カンフー映画に主演する。元々台湾にはジミー始め芸能関係の知合いも多くテコンドーやハプキドー(合氣道)､空手を体得し､難易度の高い立回りをノースタントでこなす身体スキルを買われ出演オファーが殺到。ティン･シャン･シー(丁善璽)､ジョセフ･クオ(郭南宏)､チャイ･ヤン･ミン(蔡揚名)､リー･ツォー･ナン(李作楠)といった台湾のヒットメーカー監督からも厚い信頼を得て着実に出演本数を重ねながら､彼と同様にゴールデン･ハーベストを離れ台湾映画界へ来たドン･ウォン(王道)やカーター･ワン(黃家達)にも胸を貸す形で共演した。70年代後半から徐々に悪役へとシフトし､数々の功夫･武俠映画でラスボス的な役どころで優れたアクションスキルと高い演技力で存在感を示した。
1980年､台湾の功夫映画ブームに陰りを感じ､久々に香港へ戻りゴールデン･ハーベストで知遇のあったサモ･ハンの監督兼主演映画に出演。翌年からはTVBやATVなどの連続ドラマ出演に軸足を移し､幅広い役を演じ続けた。
1996年にはショービジネス界の第一線から一旦退きカナダへ移住したが､2007年には香港へ帰郷し散発的ながらTVドラマに出演を続けている。

＜主な出演作品＞
新座頭市･破れ!唐人剣、大剣客･無敵の七剣(71)、ドラゴンの逆襲、旋風レディ!鉄掌拳(72)、怒れるドラゴン不死身の四天王、英雄榜(74)、少林寺羅漢拳(75)、ブルース･リーを探せ!、少林寺炎上、邪拳迫る!死守せよ少林寺秘伝(76)、少林寺への道４、少林寺マスター(77)、少林の鉄爪･鷹拳、セイント･スティック怒りの聖拳!(78)、真説･モンキーカンフー、少林寺カンフーマスター(79)、燃えよデブゴン地獄の危機一髪(80)、少林寺への道(82)、虎狼反撃のテクニック(83)、デブゴンの霊幻刑事(86)、武闘派烈伝(90)、戦神～ムーンウォーリアーズ(92)