香港映画脇役悪役列伝コミュの【女優列伝】ロー･ラン(羅蘭)

1934年11月13日､香港生まれ。本名･盧燕英､中国(漢族)とインドのハーフで英語名はヘレナ。幼稚園児の頃から芸能界入りし､学業と兼業で続け高校卒業後専業の俳優となった。終戦から間もない1948年､当時香港で戦前から量産されていた広東語映画にデビューする。子役時代のブルース･リー(李小龍)が主演した『ドラゴンスモール･ブラザー』(50年､映画祭のみ)にも出演。1960年､映画会社のオーナーだったウォン･チェク･ホン(黃卓漢)から演技に関し賞賛を受け､悪役や敵役への可能性を感じ芸名を現在の｢羅蘭｣と名乗る。國語(北京語)映画を主とするショウ･ブラザースが台頭する1960年代後半まで､広東語映画に100本以上出演。
67年にTVB入りして以降はテレビが活動のメインに移っていくが､後年｢香港ニューウェーブ｣と呼ばれる気鋭の若手監督たちが演出するドラマにも多数出演している。ドラマでは母親役が多かったが､武俠作品ではエキセントリックな悪役に扮したりもした。
映画出演も順調に継続するなか､日本で彼女が最初に認識されたのは『Mr.BOO! ギャンブル大将』(74年)でマイケル･ホイ(許冠文)の妻に扮した頃からだろう。その後も話題作へコンスタントに顔を出していったが､90年代半ばごろからは老け役が増えていき､そのリアルな演技からますます多くの作品に呼ばれるようになった。特にホラー系作品でなくてはならない存在となり､97年からは彼女をレギュラーキャストとした｢陰陽路/Troublesome Night｣シリーズが10数作作られたが､残念ながら日本では未公開に終っている。そして若い刑事コンビと交流する認知症気味の老婆を演じた『OVER SUMMER』(99年)で､第６回香港電影評論學會大獎､第５回香港電影金紫荊獎､第19回香港電影金像獎の３章で最優秀女優賞を獲得。特に香港電影金像獎での最年長授賞(65歳)は大きな話題を呼んだ。
世紀が変わった2002年には香港特区政府から長年の芸能活動にかんし栄誉勲章を授与され､映画のみならず香港各局のＴＶドラマにも精力的に出演。熱心なキリスト教徒でもあり､慈善活動にも積極的に取り組んでいる。80歳後半を迎えた現在も元気に女優業に勤しみ､400本以上もの映画出演作を重ねている香港映画界の重鎮的存在。

＜主な出演作品＞
ドラゴンスモール･ブラザー(50)、ドラゴンファイター、ブルース･リーの生と死(73)、Mr.BOO! ギャンブル大将(74)、皇帝密使(84)、密会、皇家戦士(86)、開心物語ときめき美少女隊(87)、バンパイアコップ２、グレイテスト･ラヴァー、機動女戦士ハリケーン･コップ、チャイニーズ･ゴースト香港の幻(88)、奇蹟<ミラクル>、タイム･ソルジャーズ、ミッシング･マン(89)、98分署香港レディ･コップス(90)、ロイヤル･トランプ２(92)、ブッシュマン４、白髪魔女伝２(93)、アニタ･ユンの恋はあせらず(94)、残虐13大淫魔術、新･欲望の街Ⅰ/古惑仔疾風､再び(96)、八仙飯店之人肉饅頭２、硝子のジェネレーション(98)、OVER SUMMER(99)、Ｓ猟奇連続殺人(2000)、特攻! BAD BOYS(2001)、ドミノ(2002)、導火線 FLASH POINT(2007)、桃さんのしあわせ(2011)、レクイエム最後の銃弾(2013)、インターセプション盗聴戦(2014)、サンダーストーム特殊捜査班(2018)