香港映画脇役悪役列伝コミュの【女優列伝】ドゥドゥ･チェン(鄭裕玲)

1957年9月9日､香港生まれ。実際の英語名はキャロルだが､幼少時の愛称であるドゥドゥを芸名として使用している。75年に開局したばかりの佳藝電視(CTV)のタレント養成所入りし､そのまま同局でデビュー､女優として時代劇に出演。78年に財政問題で同局が閉鎖されるとショウ･ブラザース傘下のTVBへ移籍､バラエティ出演を経て翌年にはチョウ･ユンファ(周潤發)の相手役など大役を次々得て､80年代初めには40本前後のドラマに出演しお茶の間に知られる存在となる。同時に司会業もこなすなど､名実共に80年代を代表するTVタレントとなった。またこの頃映画デビューを果たした『終らない愛をさがして』(83年､ソフトのみ)で香港電影金像奨の最優秀新人賞を授賞している。
87年には一旦TVBを離れ､映画出演を本格化。当時の香港映画では日本のトレンディドラマやハリウッドの影響を受けたラブコメディーが流行しており､話題作に次々抜擢されたドゥドゥは､そのジャンルの女王的な存在となったが､日本ではその時期の主演作は未公開に終わっている。88年には台湾ゴールデン･ホース賞で最優秀女優賞を授賞。硬軟自在の演技力､バツグンのスタイルと美貌に加え､コメディエンヌの資質も高く､90年には中国共産党を風刺した社会派コメディー『彼女はシークレット･エージェント』が大ヒットしてシリーズ化され､香港電影金像奨最優秀女優賞を授賞､日本でも香港映画関連のイベントにて上映された。勢いに乗って『プロジェクト･イーグル』(91年)では大スター､ジャッキー･チェン(成龍)との共演が実現。しかしTVと"香港ニューウェーブ"の錚々たるメンバー相手に鍛え上げたドゥドゥの演技は､ジャッキー演出と噛合わず､映画はヒットしたものの精彩を欠く結果に終わった。
『恋のトラブルメーカー』(92年)へ出演直後休息も兼ねてカナダのバンクーバーへ移住するが､返還翌年の98年に香港へ戻り､TVBを中心に司会業やTVタレントとして活躍。海外からの取材も受けるなど､香港を中心とした中華圏で最も著名な女性司会者･タレントとして盤石の地位を築いている。映画出演は94年以降途絶え､女優としてはTVドラマへの散発的な出演にとどまっている。

＜主な出演作品＞
終らない愛をさがして(83)、相続ゲーム(86)、男たちのバッカ野郎、トップレディ(87)、愛と銃弾の掟、タイガー刑事、月､星､そして太陽、僕たちは天使じゃない!(88)、バーニング･センセーション(89)、タイガー･コネクション、涙で乾杯、彼女はシークレット･エージェント(90)、プロジェクト･イーグル、ゴッド･ギャンブラーリターンズ(91)、恋のトラブル･メーカー(92)、幸せはイブの夜に(94)