香港映画脇役悪役列伝コミュの【男優列伝】チェン･シン(陳星)

1936年12月29日､タイ･バンコク生まれ。幼少時に両親と共に中国･海南島へ移住。1958年､共産党の迫害を逃れ香港へ渡り､剛柔流空手のインストラクターをしていた。1960年末にショウ･ブラザース入りし､チャン･チェ(張徹)監督作『続･片腕必殺剣』(69年)でデビュー､同監督作品に多数出演。70年代初頭にはショウ･ブラザースを離れ､新進監督のウー･セイエン(吳思遠)の下で主演のカンフー映画を撮る。口髭をたくわえたワイルドな風貌と､空手とボディビルで鍛え上げたマッチョな肉体から"香港のチャールズ･ブロンソン"と呼ばれ､人気を博した。日本でも『危うし! タイガー』(72年)やジミー･ウォング(王羽)と共演したオールスター作『怒れるドラゴン不死身の四天王』(74年)が公開されている。しかし､主役を張った時点で年齢が30代後半に差し掛かっており､スーパースター､ブルース･リー(李小龍)急死後はカンフー映画の人気が衰えた為70年代中盤にゴールデン･ハーベスト入りして以降は悪役などもこなすバイプレーヤーに転じた。その後は主に台湾で多数のカンフー･武俠映画に出演する傍ら､勃興し始めた"香港ニューウェーブ"派の映画人からも声が掛かるようになり､非カンフー系の現代アクションでも存在感を示した。80年代にはコメディー作品にも参加し､過去作とは違った一面も披露している。90年代初めまで映画に出演していたが､以降はカナダ･トロントに移住。晩年はインドネシアで貿易会社を営んでいたと言われている。
2019年9月4日､病気の為亡くなっていたことが､11月18日香港からの報道で明らかとなった。享年82歳。

＜主な出演作品＞
続･片腕必殺剣(69)、英雄十三傑、ヴェンジェンス/報仇、吼えろ!ドラゴン起て!ジャガー(70)、新･片腕必殺剣、復讐武俠客、フィストバトル/拳撃(71)、続･拳撃悪客、危うし!タイガー(72)、怒れるドラゴン不死身の四天王(74)、レディ･クンフー密宗聖拳、新･怒りの鉄拳(76)、必殺!少林寺武芸帳、少林寺怒りの鉄拳(77)、アムステルダム･キル、真説･モンキーカンフー(78)、猫拳カンフー無宿、少林の鉄爪･鷹拳(79)、狼達の挽歌、カンフーエグゼキューショナー、カンフーエンペラー、新Mr.BOO!アヒルの警備保障(81)、悪漢探偵(82)、上海･13、ファイヤー･パワー男たちの銃火(84)、ジャングルヒート(85)