香港映画脇役悪役列伝コミュの【女優列伝】チョン･マン(張敏)

1967年2月7日生まれ。ＴＶ局主催のミス･コンテストからヒット･メーカー､ウォン･ジン(王晶)監督にスカウトされ､87年よりウィンズ･ムービー･プロ専属となる。妖艶で派手目のルックスとモデル並のグラマラスなプロポーションで"新しいタイプの女優"と一躍話題を集め､同監督作品ではオールスターのシリーズ物を中心にセクシーでコケティッシュなチンミー･ヤウ(邱淑貞)と並び常連出演女優と位置付けられ､クール･ビューティー系のヒロインとしてジェフ･ラウ(劉鎮偉)やチュー･イェンピン(朱延平)といったウォン･ジンと交流のある監督作にも次第に顔を出すようになった。また､当時台頭してきたアンディ･ラウ(劉德華)やチャウ･シンチー(周星馳)の相手役としてスクリーンではおなじみの存在となり､特にアンディと共演した『ダンス･ウィズ･ドラゴン』(91年)でのコミカルなヒロインは印象的で､香港アカデミー賞主演女優賞へノミネートされた。
彼女の個性は時代劇にも活かされ､長い手足で魅せる立回りも好評で､90年代初頭はその多作ぶりから完全にトップ女優の一角へ躍り出たが､単独主演や演技面で評価を受けることはかなわず長期間"無冠の女王"状態が続き､やがてその人気にも陰りが訪れるようになった。また数多くの男性スターと共演するなか､ジャッキー･チェン(成龍)作品のヒロインには抜擢されていない。
日本ではというと､下記のリストを見てもわかる通り､かなりの出演作が入ってきたにもかかわらず､そのほとんどが小規模公開かビデオスルーの作品で､大きな注目を集める機会はなかった。
彼女自身も映画女優として限界を感じていたのか､95年には自らの制作会社を立ち上げてプロデューサーへ就任し､ファッションや美容業界への進出を視野に入れつつ､表舞台からは徐々に退いていった。しかし､2003年からＴＶドラマや映画にも復活。40代を過ぎた現在も美貌をキープしつつ､さらなる活躍が期待されている。

＜主な出演作品＞
マジック･クリスタル(86)、男たちのバッカ野郎(87)、ゴッド･ギャンブラー、チャイニーズ･ゴースト香港の幻(89)、オール･フォー･ザ･ウィナー、スウォーズ･マン、ケネディ･タウン･ストーリー、ゴッド･ギャンブラーⅡ(90)、リー･ロック伝/大いなる野望PARTⅠ 炎の青春、チャイニーズ･レジェンド、ダンス･ウィズ･ドラゴン、リー･ロック伝/大いなる野望 PARTⅡ 香港追想、新精武門、ファイト･バック･トゥ･スクール、ゴッド･ギャンブラーⅢ(91)、ファイト･バック･トゥ･スクール２、キング･オブ･カンフー、ロイヤル･トランプ、ロイヤル･トランプ２(92)、妖刀秘伝、フライング･バトル、カンフー･カルト･マスター、ファイト･バック･トゥ･スクール３(93)、ラスト･ヒーロー･イン･チャイナ烈火風雲、広州殺人事件、ワンダーレディ、天龍八部、ゴッド･ギャンブラー完結編(94)