香港映画脇役悪役列伝コミュの【男優列伝】ダミアン･ラウ(劉松仁)

1949年10月14日､香港生まれ。父親は上海の銀行家であった。幼い頃にカトリック教徒として洗礼を受ける。1970年､後にATVとなる麗的映聲の第5期テレビタレント養成クラスに合格し芸能界入り。直後TVドラマに出演を開始しキャリアを積む。76年にTVBと契約を結んでからはテレビ俳優として本格的に頭角を現し､特に時代劇アクションで演じた剣士が当り役となり､香港の大衆に強い印象を残した。
80年代に入ると､TVドラマへの出演で多忙を極めるなか､ジョン･ウー(吳宇森)､ジョニー･トー(杜琪峯)､チン･シウトン(程小東)､そしてツイ･ハーク(徐克)と後年香港映画史に名を残す”ニューウェーブ派”の映画監督から次々オファーが殺到し､新感覚の時代劇アクション映画に出演した。特にトー監督のデビューとなった中国ロケ作品では大きな刺激を受け､共同ながら全篇中国ロケと現地キャストによる監督作『天魔の剣』(86年､ビデオのみ)を発表する。
90年代には映画出演を本格化させ､ジョニー･トー監督作を始め､チャウ･シンチー(周星馳)やジェット･リー(李連杰)といったトップスターと共演。特に映画では初共演となったアンディ･ラウ(劉德華)の主演作『天與地』(94年)では､自身のキャリアで初となる悪役を熱演し話題を呼んだ。
香港返還を経て､21世紀に入ってからもTVドラマを中心に順調な活躍を続け､2012年にはジャッキー･チェン(成龍)も所属した中華圏最大手の映画会社エンペラー･フィルムとマネージメント契約を結び､念願だったミュージカル劇の制作に着手。ジョニー･トー監督の協力も取り付けて自ら企画･演出を務め2019年に上演､大きな反響を集め翌年再演を行った。
実生活では92年にキャセイ航空の客室乗務員と結婚。デビュー以来目立ったゴシップなどもなく､写真を撮られることや社交的な場へ登場することも少なく､また｢緊張する｣との理由で個別のインタビューを受けることもほとんどないという。

＜主な出演作品＞
妖刀･斬首剣、蜀山奇傳天空の剣(83)、ロイヤル･トランブ、ロイヤル･トランブ２(92)、ワンダー･ガールズ東方三侠、ワンダー･ガールズ東方三侠２、ＴＨＥマジック･クレーン(93)、新･少林寺伝説、天與地(94)、Ｄ＆Ｄ完全黙秘(95)、ファースト･オプション飛虎、スタントウーマン(96)、ファイヤーライン(97)、三国志(2008)、処刑剣(2010)