メルボルン日本的クイア組コミュの映画【The History Boys】

イギリス映画【The History Boys】(2006)がメル大近くのNova Cinemaで上映始まったということで早速、格安$5.50デーの月曜日に見て参りました。

この物語はイギリスの北部にある高校で名門大学OxfordかCambridge大学のいずれかへ進学を目指す優等生達とその先生達との心のやり取りを中心に描かれている。子供達に文芸学を通して敏感な感受性を養わせる事に専念するHector教員と、それとは対象的に受験のイロハを機械的に叩き込もうとする新任教師Irwinとの間で翻弄する生徒達。そんな学習生活の中で、Hector自身のみならず、生徒の間でも交渉される同性愛というテーマがこの映画の貴重要素を成している。

ただ興味深いのは、この映画が男子寄宿学校で繰り広げられるお決まりの同性愛ボーイ達の苦しみと陰の美学というパターンに還元されないところ。教師と生徒とが対等の立場性から自らのセクシュアリティも含め、学校で学ぶべきして一番学ぶのが難しことー「皆、生身の人間であること」ーを学習して行く様が見事にスクリーンに描かれている。また男子寄宿学校青春ドラマによく見られがちな女性嫌悪的なジェンダー空間が、この映画では一人の女性教師の存在と彼女の役柄によって生産的に批判象徴されている様も僕的にはプラスでした。

同性愛、小児性愛、教育論、社会風刺などのテーマをイギリスの文脈において素描してみせた【The History Boys】は一見の価値ありかもです。全般に英国風コメディータッチで気楽な週末映画としても最適でしょう。ただ英国英語のアクセントと文学的な表現が随所に駆使されているため少し聞き取りが難しいかもしれませんが、こまかいことは気にせずレッツらGo-!　美的にも男前の生徒がたくさん登場するので、それだけでも目の保養になるかも（←浅はか）。

この前にもレビューしたレズビアンがテーマのイギリス映画【Notes on A Scandal】と比較鑑賞して見るのもおすすめです。

Nova Cinema @ Melbourne
http://www.cinemanova.com.au/index.html

【The History Boys】
レビュー
http://www.time.com/time/arts/article/0,8599,1562682,00.html

内容情報
http://en.wikipedia.org/wiki/The_History_Boys